中1が取り組んだ、「そろばん作り」のワークショップ。
播州そろばんで知られる兵庫県小野市に拠点を置く老舗そろばんメーカーの方を講師に迎え、
歴史や製造工程を学んだ後、カラフルな枠・玉を使って制作スタート。
「日本以外でそろばんを作っている国は?」などの疑問にも的確に答えてくれる、
プロならではのクオリティが生徒たちを惹きつけた。
“教育は感動”をモットーとする滝川第二の大きな特徴は、学ぶ楽しさと素晴らしさを体感するため、多種多様な活動の場を用意している点にあります。その一つが『スペシャル・ウエンズデイ(SW)』。開校以来、水曜日の5・6時間目には、学年ごとに教科学習とは異なる学習・体験を展開してきました。
「多感な時期に“感動体験”を積むことで感受性が高まり、創造力とコミュニケーション能力が育まれると言われています。それらはまさに、人口知能(AI)には持てない必要不可欠な力です。また将来、リーダーとして各分野のスペシャリストをまとめていくためには、幅広い知識・教養が求められます。『学校は楽しいところでなければならない』という考え方は、開校時から受け継がれる教育のメインテーマですが、加えてリーダー育成の観点からも、さまざまな分野に触れ、“すごいな”“きれいだな”といった感動を得られる『SW』は、主要5教科と同じくらい重要なものと捉えています」(中学主任・金子幸平先生)
3年間の流れのなかで、中1はさまざまなジャンルに挑戦し、一人ひとりの興味・関心を喚起させます。いわゆる大学における“一般教養”のような位置づけです。教員の柔軟な発想のもと「図書館の使い方を学ぶ」「収納用カラーボックス制作」「中2によるキャンパス案内」「高3との交流会」「七夕の笹の飾り・短冊の制作」など、毎年定番のものから新企画まで多彩な内容となっています。
中2は年間を通じて、探究学習プログラム『クエストエデュケーション』の企業探究部門「コーポレートアクセス」に取り組みます。これは企業から与えられるミッションに対して、グループで導き出した考えやアイデアをプレゼンテーションするもので、2021年度はエントリー総数4098組中、同校の2組がトップ24チームに選出され、全国大会『クエストカップ』のファイナルステージに出場しました。
中3は2022年度より、『クエストエデュケーション』の起業家部門「スモールスタート」に挑戦します。日常生活の中でビジネスの種を発見し、新商品の企画をプレゼンテーションするという、中2の「コーポレートアクセス」から一歩進んだ内容に、年間を通して取り組む予定です。
さらに期末考査や学年末考査の終了後には、『SW』の拡大版とも言える『SWワイド』を実施。この期間中は、『SW』の特別プログラムや校内外で行うコース別プログラムなどが目白押しで、生徒たちも心待ちにしているそうです。
取材で訪問したこの日は各学年の活動を見学することができました。中1は「華道」と「そろばん作り」にチャレンジ。じっくりと考え、時には周囲と相談しながら、オリジナリティあふれる作品を作り上げていくようすが見られました。中2の「弁護士講演会」は、弁護士の先生のお話を聴くだけでなく、生徒が将来の夢について発言する機会もあり、視野が広がるひとときに。「スモールスタート」の活動に励む中3の教室では、「音楽聞きながら勉強できたらいいよね」「良い目覚めのための音って何だろう?」など、タブレット端末を駆使しながら積極的にアイデアを出し、ディスカッションする姿が見られました。
「テレビ番組の企画・制作に携わる卒業生から、『今やっている仕事は、滝川第二でやっていたことと一緒』という話を聞いたことがあります。その一言に、『SW』の意義が集約されています。同校が目指す学びの場が実現されていることの証と言えるでしょう」(金子先生)
未来を切り拓く力は、日々、着実に育まれているのです。
滝川第二中学校は、コース特性に応じたプログラムが魅力の一つ。今夏の取り組みとして、難関国公立大学を見すえた『プログレッシブ数理探究コース』では「サイエンスツアー」(写真下)を実施。無人島にて理科教諭と共にウニを採取して受精させ、受精卵がプリズム幼生になるようすを観察した。語学力や国際感覚を磨く『I.U.E.知識実践コース』では税関見学(写真上)やJICA(国際協力機構)講演会を実施。個性や潜在能力を伸ばす『エキスパート未来創造コース』では植村直己記念館を訪れ、偉業を成し遂げた先人の足跡を辿った。
『SW』と同様、創造力やコミュニケーション能力を養う場の一つとして、中高の有志の広報組織『キャンパスナビゲーター』(通称キャンナビ)の活動が挙げられます。現在70名以上が在籍し、入試広報室との連携のもと、入試関連のイベントや説明会で活躍。小学生対象の校内オリエンテーションイベント『キャンナビフェスタ』は、企画から運営までキャンナビが主体となって行います。また、活動の一環で作成した学校紹介映像は、動画コンテストで全国ベスト8に輝いたこともあるそうです。
こうした既存の活動だけにとどまらず、“広報につながること”を条件とし、生徒の発案によるプロジェクト単位での活動も展開しています。
「生徒から相談があれば、企画書を作成してもらい、一人でやるのか、仲間を募るのかということを決めてもらいます。これまでに、正門の花壇の整備・オリジナルグッズ作りなどさまざまなプロジェクトがありました。今盛り上がっているのは、ベーカリーと共同で『滝二パン』を開発するプロジェクト。もともとは学校紹介動画のための企画で、高1の生徒2名が進めていましたが、商品化も視野に入れることとなり、プロジェクトへと発展しました。店頭や校内での販売を検討中だそうです」(入試広報室副室長・北垣貴寛先生)
大人顔負けのプロジェクトを手掛けるキャンナビのメンバー。入試イベントなどで、その生き生きとした姿が見られるはずです。