左から、高校生徒会会長Eくん(高2)、副会長Uさん(高2)、中学保健委員長Iさん(中3)、中学生徒会会長Nくん(中3)
2022年6月、同校初の中高合同行事『O-CAST』が開催されました。この原型となるのは、2021年度に行われた高校行事『大谷スポーツフェスティバル(OSF)』で、コロナ禍により中止となった体育大会・学園祭の代替行事として、高校生徒会主催で実施されました。発案から各競技やルール決めも生徒が考案。まさにゼロから創り上げたイベントで、大成功を収めたそうです。
『O-CAST』は、このOSFの進化版。2022年度は従来の体育大会・学園祭ともに実施予定ですが、飯山等校長の後押しもあり、今年度は一つの新しい行事として、名称も変更して行うことになりました。
大きなポイントは、中高の生徒会が企画段階から連携していた点にあります。その橋渡し役を務めた高校生徒会副会長のUさんは、
「中学で生徒会活動をしていたとき、学園祭の準備をする先輩方の姿を見て『自分もやりたいな』と感じたので、この機会に中高一緒に取り組みたいと思ったんです。中学の生徒会に声をかけてみたところ、『やります!』と言ってくれました」と話します。
新しい行事というからには、OSFと同じというわけにはいきません。そこから高校生徒会が中心となって「体育大会・学園祭との差別化をいかに図るか」についての話し合いが始まりましたが、前例がない行事ゆえに、想定外の苦労があったそうです。
「一人1回は競技に参加すると決めたのですが、中高生徒数は総勢2千人超にのぼり、規模が大きいぶん、係の人数も増やさなければならず、各競技の出場人数や業務分担の調整に苦労しました」と振り返るのは、高校生徒会会長・Eくん。昨年OSFの運営を経験したUさんも、「競技の考案に加え、中学とのやり取りやドローン撮影を依頼する外部の方との打ち合わせもあり、全体の進捗を把握するのは大変でした」といいます。そのような状況で支えとなったのは、約70人もの高校生徒会メンバーの存在と、慣れないながらも一生けんめいに役割をこなす中学生徒会の姿勢。結果、新競技やプログラムが実現し、文化部の催し物も同時進行させて、両方を自由に楽しめるという、今までにないスタイルを確立しました。
「次はもっと自分で考えて行動したい」(Iさん)「『O-CAST』を継続させたい」(Nくん)という言葉を中学生から聞けたのは、中高一体となって取り組むことの楽しさや意義を体感したからにほかなりません。“新たな伝統”は、着実に受け継がれていくことでしょう。
『O-CAST』の大きな特徴の一つは、文化部の要素を取り入れているところ。
コーラス部によるコンサート、韓国言語文化部によるK-POPダンス、茶道部によるお茶会、
科学部による実験ショー、模型部や華道部による展示などが行われた。
体育大会でおなじみの色別対抗競技も、中高合同にアレンジ。
玉入れは中1&高1、中2&高2、中3&高3の組み合わせでチームを編成。
リレーは中1〜高3の縦割りチームで競った。
「中学生の意見を踏まえて案を出し、皆で楽しめる競技をつくりました。
リレーの時の盛り上がりは忘れられません」(Uさん)
今回新たに加わった「借り人競争」は、紙に書かれた人を探してゴールまで連れていく競技。生徒会メンバーが仮装し、観客の中に紛れるという凝った演出。中には人気キャラクター指名のユニークなお題も。「先輩が『観客を巻き込んだ競技を』という思いで考えた競技。運営補助を務めた私も楽しめました」(Iさん)
Uさんが考案した競技「宅配便リレー」。担架のような棒がバトン代わりで、バトンをつなぐごとにダンボールの荷物が増えていく。荷物同士がマジックテープで軽く接着されているものの、棒には固定されておらず軽いため、どちらかが早く走りすぎると崩れ落ちてしまう。「スピードを上げるたびに歓声が響いて…めっちゃ盛り上がりました(笑)」「まるで怠け者みたいに、皆ゆっくり走ってて(笑)」と当日を思い出し、思わず笑顔になる生徒たち。
スポーツ以外の要素もふんだんに取り入れた『O-CAST』。「大谷クイズ」はその一つで、全学年合同・色別対抗で4択クイズに挑んだ。
クラス対抗で行われた「缶積み競争」。
「傘を振って応援する人がいたり、審判と一緒に写真を撮ったり、先輩たちが楽しんでいた姿が印象に残っています。審判としてその場にいる私の気分まで盛り上げてくれました」(Nくん)