創立130年余、校祖・法然上人の教えと仏教的価値観に基づき、徹底した全人教育を実践する上宮学園は“心を育てる”ことから始まる教育を何より大事にしています。水谷善仁校長は、次のように理念を語ってくれました。
「よく“知・徳・体のバランス”と言われますが、まず心が育たなければ、どれも実現できません。目標の達成に向けて努力する力は、心の成長に伴い身につくものだと思うからです。心が育っているからこそ、正しい判断に基づいて行動することができるはずです。これがすなわち、校訓である『正思明行』(ものごとを正しく見つめ、明らかに行動すること)の体現です」
同校では、『正思明行』を実践するための『学順』があり、「一に掃除」「二に勤行」「三に学問」と定めています。つまり、学問は大事だけれど、あくまで三番目。身の周りと心身を美しく整頓し(=掃除)、日々努力を重ねた(=勤行)うえで、学問に臨むべし、という教えです。“心”の成長をいかに大切にしているかがわかります。
もちろん、このような理念を実行するには、教育環境そのものも大切です。そのため、授業・学校行事・部活動・施設設備にいたるまで、非常に多様で個性的なものになっています。“変わらずにいるべきもの”と、時代に即した“変わるべきもの”を見極めながら、柔軟でしなやかな学校づくりを行ってきました。生徒たちはそうした環境で、日々を過ごしています。
たとえば、法然上人の月命日にあたる25日に毎月執り行われる『御忌式』は、思いやりの“心”に立ち返る場。また、文武両道を重んじ、部活動が活発であることも変わらない同校らしさです。行事を通して先輩は後輩を思いやり、さらに後輩は先輩から学ぶ関係性を築くことも、伝統が息づく校風だと言えるでしょう。
「さらに生徒と同じ目線で教員自身も学び続けること。私たちは教育ならぬ『共育』と称していますが、これも変わらない部分ですね」 (水谷校長)
一方で、時代を見すえた変化としては、英語学習への注力やICT環境の整備が挙げられます。食堂や図書館、人工芝のグラウンド、多様な運動施設など、先進性を備えた設備面の充実も同様です。
不易・流行を見極めた環境で、生徒たちは上宮イズムを“心”に根づかせていきます。文字どおり心身ともに成長を続け、自己実現に向け走り続けているのです。