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進学通信

2022年6月

この記事は1年以上前の記事です。

The Voice 校長インタビュー
教員が生徒に本気で向き合い
徹底的に「学力」「人間力」を伸ばす学校

大中 章 校長先生
兵庫県尼崎市出身。学習塾の先生に勧められて公立中学から金蘭千里高等学校へ。
京都大学に進学し、在学中、家庭教師のアルバイトの経験から“教える喜び”を知り、教員を目指すように。
教育実習生として金蘭千里を訪れた際に生徒が弟・妹のように感じられ、
母校で教鞭を執ることを決意し、数学科教員として教壇に立つ。
2008年、教頭に就任し、学校改革を積極的に推進。2018年、校長就任。
生徒が大好きで、現在も数学の授業を行う。座右の銘は「平凡な幸せを大切に」。

公開日2022/8/1
入学後に大きく学力を
伸ばす金蘭千里

 毎年、大学の合格発表後に発行される教育系の雑誌があり、本校は、「入学しやすいのに医学科がねらえる“お得”な中高一貫校」「わが子に最強の中高一貫校&小学校&塾」といったテーマで何度も取り上げられていて、有難いことだと思っています。実際、2022年、171名の卒業生のうち、医学科合格者が34名、医歯薬保健獣医学部を合わせると121名という実績を残しています。入口である中学入試時の偏差値と比べて、出口である大学合格実績で良い結果を出せていることが評価されているのだと思います。
 第三者から“お得な学校”と称していただける背景には、「毎朝の20分テスト」「1クラス約30人の少人数制」の2点が挙げられるでしょう。これらは本校創設時から継承されています。
 私が本校の生徒であった約40年前を思い起こしますと、少人数クラスでは先生が常に生徒のようすを見ながら授業を進めているような感覚があり、集中力が持続しました。さらに、少人数ならではの質問しやすい雰囲気があり、良い学習環境だと思いました。
 教員の立場から言うと、生徒の表情がよく見えるため理解できているか否かがすぐに伝わってきますから、状況を見ながら解説を繰り返し、質問しやすいように話しかけることで学び残しを防ぐことができると感じます。
 本校は、学校・教室を「私塾」「道場」としてとらえ、教員が塾長であり道場の主で、生徒に真摯に向き合って人間を鍛えて人格を高め、学力を伸ばすことを基本としています。本校の授業は、まさに私塾・道場で鍛錬をするかのごとく進められていると感じます。

「20分テスト」で
自主学習の習慣を養い
学力を伸ばす

「20分テスト」は、英数国理社の主要5教科を、毎朝、1科目ずつ実施しています。本校には中間・期末などの定期テストがなく、この20分テストを基本に、学期末成績をつけています。在校時は「苦手科目のテストはつらい」と思っていたのが正直なところですが、振り返ってみると、毎日、勉強しなければならない環境があることで自主学習の習慣が身につき、その積み重ねが実力になっていくことを実感しています。
 また、一般的な定期テストの出題範囲は授業の約1カ月半分ですが、本校の20分テストは2週間分です。出題範囲が狭ければ、つまずいているところが判明しやすく修復もしやすいというメリットもあります。
 私は数学が得意で、在校時は数学の20分テストではテスト前に確認をする程度でしたが、苦手教科であった歴史と古典などの科目は、テスト前に集中して学習していました。
 20分テストで基準に達しないと、補習や再テストなど、教科担当がそれぞれの方法で補完します。私が教員として本校に戻ってきた当初は、再々テストまで実施していたことがありました。日々の授業と再テスト、さらに次の20分テストの準備、というのは教員にとっても想像以上に大変なことです。在学中は先生方の苦労を理解できていなかったのですが、いざ自分がその立場になると、先生たちには頭が下がる思いに駆られると同時に、生徒は気持ちと手間をかければかけるほど伸びていくということを実感しました。
 今年は、大学入学共通テスト2年目を迎え、問題が難化していることがクローズアップされました。このようななかにあっても本校の大学合格者数が伸び続けているのは、20分テストで学び残しをなくしていることと、どの教科も、少人数制クラスで生徒一人ひとりに焦点を当て、きめ細かな指導や考えさせる授業をしているからだという確信があります。

スポーツマンシップの
涵養と自然に親しむ行事

「男子はサッカー、女子はバレーボールを校技と定め、全員が一つのスポーツを6年間継続して行う」というのも本校創立以来の特徴として挙げられます。週3時間の体育の授業のうち2時間は、男子はサッカー、女子はバレーボールに取り組み、団体競技を行うことによって、スポーツマンシップを育てています。

 また、本校創立以来の伝統行事として、キャンプが挙げられます。大自然の中、自分たちで張ったテントでの寝泊まりや飯盒炊爨、キャンプファイヤーなどを通して、自然の素晴らしさや厳しさ、仲間との協力の大切さ、家庭への感謝など多くのことを学べる機会となっています。現在は中1・中2・高1・高3の4学年でキャンプを実施し、中3は信州での自然研修、高2は北海道での自然研修を実施しています。

時代とともに
進化し続ける

 2015年、創立50周年を機に学校改革を推進しました。30代~40代の教員4人が中心となって改革の方向性と内容を考え、私は教頭として改革に取り組みました。制服を一新し、部活動の数を増やし、自然研修・体育祭・文化祭・芸術鑑賞会など学校行事を充実させ、現在の金蘭千里の原型を構築しました。原型と申し上げたのは、改革すべきところがあれば、今も迷うことなくチェンジをしているからです。本校はこれからも進化し続けます。今後の金蘭千里にご期待ください。

こんな学校です

 約120年の歴史と伝統のある金蘭会学園を母体として(2005年に分離独立)、1965年に「私塾」「道場」自主独立」「スポーツマンシップの涵養」「自然に接する」を建学の精神に創設されました。創設時から、約30人の少人数制クラス、朝の20分テスト、男子はサッカー・女子はバレーボールを校技とするなど独自の取り組みで人間力を鍛え学力を伸ばし、毎年、多数の難関国公立大学や医学部への合格者を輩出しています。