進路指導を含め、日頃から面談回数が多く、先生に相談しやすい環境がある東山。
「面談以外でも、先生が話しかけてくれることが多く、
勉強や進路のこと、友だちとのことなどが相談しやすくて安心できます」と生徒たち。
学問と職業の関係を知る『キャリア教育』(高1)や、京都大学・同志社大学・立命館大学などを訪問する『キャンパスビジット』(高2)など、進路意識と学習へのモチベーションを高めるためのさまざまな取り組みを実施している。
2022年に創立154周年を迎えた東山。毎年、難関国公立大学への合格者を多数輩出しています。
「このような結果が出ているのは、本校の生徒は“行きたい大学”を目指して主体的に勉強し、受験に強気で立ち向かう姿勢があるからではないかと思います」 (中学副校長・堀澤基先生)
生徒にとって大学受験は最大の難所であり、その後の人生を大きく左右することもあります。現在の学力だけを基準に“行ける大学”を選択することもめずらしいことではないでしょう。しかし、同校の生徒たちは最初に「学びたいこと」「将来の夢」などを明確にしたうえで、“行きたい大学”を考えているので、そこに向けての学力を身につけて目標を達成していくのです。
このように受験に立ち向かう姿勢があれば、その後の人生も主体性を持って、強気に、積極的に生き抜くことができるのではないでしょうか。
では同校では、どのようにして、このような姿勢を養っているのでしょう。
「本校では、入学時から夢・目標を持ち実現するために、逃げずに努力する大切さを繰り返し伝える機会を設けています。高校生になると職業と学問領域の関係を知る『キャリア教育』や、大学を訪問する『キャンパスビジット』などの取り組みを通じて、夢・目標を叶えるためには、どの大学・学部を目指すべきなのかを考えます。現有の学力では難しい大学を志望する生徒もいますが、あくまで生徒の意思を尊重し、頭ごなしに受験校を変えなさいとは言いません。データを見せてリスクを伝えたうえで、合格を目指すのであれば、やるべきことを提案し、生徒と何度も話し合います。それでも本人の決意が揺るがなければ教員が一丸となって全力でサポートしています。受験はデータだけで判断できないことも多く、本人の勝負強さも関係してきます。受験を機に、その子本来の粘り強さが発揮されて学力が伸び、人間的にも成長することも多いのです」(堀澤先生)
同校では、夢・目標を持ち、実現することを意識づけるために、入学と同時に3つのオリジナルツール『10年カレンダー』『生徒手帳』『3年日記』を配布しています。
中学受験を通じて、数字や点数で自分の価値が決められてしまったように感じている生徒もいるでしょう。しかし、これらのツールを手にした生徒たちは、子どもらしい素直な気持ちで夢について考え始めるといいます。「キミの夢は何?」「将来、何になりたい?」と、問いかけられているように感じ、子どもらしい無邪気さや自分の可能性を取り戻すのかもしれません。この瞬間に、夢・目標を持ち、実現に向かって意気揚々と突き進む“東山生”が誕生するのでしょう。
また、大学が、夢・目標を実現するための進路であることが明確になれば「何のために勉強するのか」という疑問は吹き飛びます。
3大ツールは提出する必要はありません。最初に使い方を教わった後は、自分で使い方を考えます。3年日記を毎日書く、あるいは思いついたときに書くなど自由です。自分で決めて実行することに意味があるのでしょう。
また、堀澤先生は、中学生に部活動を推奨していることも強気の姿勢を培うことにつながっているのではと言います。
「特に体育系のクラブは、他校と試合をして完敗することがあっても、すぐ次に向けての練習を始めます。このような環境で、打たれ強く強い心が育つことがあると思います。それに加えて、土台に東山の教育方針『セルフ・リーダーシップ』が根付いていることがポイントです」
同校の『セルフ・リーダーシップ』とは、自ら情熱と主体性を持って行動し、目標を達成し、夢を実現させる力を指します。入学当初から、授業・ホームルーム・学校行事などを通じて、自分で考えて行動する姿勢を養っており、これらの成果が受験で発揮されているというわけです。
「昔は“センターショック”と呼んでいたのですが、共通テスト(当時のセンター試験)が終わり、二次試験までの期間、テストの出来・不出来に関係なく、何も手につかなくなることがあります。このとき、何もしなければ不安が募りますから、『今、できることを考えてみよう』と提案すると、本校の生徒は気持ちを切り替えて行動し始めます。それは、入学時からセルフ・リーダーシップで、自ら考えて行動する習慣が身についているからでしょう。彼らの姿を見ていると、中1からの積み重ねの大切さを感じます」。
セルフ・リーダーシップで培われた主体性が根となり、受験はもちろん、未来に向かって強い気持ちで積極的に立ち向かうたくましい東山生たち。今後も素晴らしい実績を残し、夢を叶えるための第一歩を踏み出して行くのでしょう。
「私は高校で化学を教えています。たとえば、単位格子から氷の密度を算出するとき、単に計算するのではなく、氷が水に浮くのだからどれくらいの値になるかを予想させます。答えを出した先に何があるのか、何のために解いているのかを考え、化学と実生活は密接に関係していることを伝えるようにしています」
(中学副校長・堀澤基先生)
生きること・学ぶことなどをテーマに、夢の描き方を考える『チャレンジ探究』(中1)をはじめ、さまざまな分野で活躍する著名人を招いての講演会『キャリアに学ぶ』(中2)で、受験生時代のお話や大学生活について語っていただくことも。
『10年カレンダー』は、中1から大学卒業までの10年間を、どう過ごし、どうなりたいかを考えながら描く。
『生徒手帳』は、夢を実現するための学習計画や行動計画を書き込み、実行するためのツール。著名人の言葉や先生方の一言メッセージも記載されている。
『3年日記』は、日記を書くことで、自分を振り返り、明日への希望をふくらませていく。
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