進学通信

2022年6月

The Voice 校長インタビュー
「一生を描ききる女性力」を身につけ
未来を切り拓く

世良田 重人 校長先生
兵庫県出身。大学では文学を専攻。
当時、教育実習で訪れた昼の定時制高校で、
仕事をしながら学校に通う生徒たちに出会い、熱心に学ぶ姿に心を打たれた。
同時に、学校という場所のすばらしさを実感し、教員になる決意を固めた。
卒業後は公立高校で国語科の教員として教鞭を執り、2003年〜2019年は教育委員会へ。
その後、公立高校に赴任し、2022年4月から現職。趣味はウォーキングで、西国三十三所を巡礼中。
大切にしている言葉は、何ごとも逃げずに立ち向かうという意味の相撲用語の「がっぷり四つ」。

公開日2022/8/1
多様性を
自然に認める環境

 2022年4月、校長として本校に着任するまでは、県立高校で国語科の教員として教鞭を執り、その後16年間は、教育委員会で教育環境の整備などに取り組むなど大学卒業から現在まで教育に携わっている私ですが、私学への赴任は初めてのことで、とても新鮮な気持ちで生徒たちを見つめています。
 着任から約1カ月経った5月、本校の文化祭『武庫川フェスティバル』が開催されました。生徒たちのダンスで華やかに開幕し、文化部と一部の体育部が日頃の活動の成果を発表します。模擬店もにぎやかで活気にあふれており、どの催しも「皆で文化祭を成功させよう」「来てくださった方々をもてなそう」と中高生が力を合わせてのびのび自由に行動していました。
 また、自分にできることを探して真剣に取り組み、友だちが困ったときには自然に手を差し伸べる生徒の姿から、本校には多様な力を持った生徒が集まっていることを実感すると同時に、一人ひとりの違いを認め、協働して前進する共生社会のあり方を見せてもらった気がします。“ダイバーシティ(多様性)”と呼ばれるこの考え方は世界的な流れとなっており、本校にはすでにその理想の姿があることに、誇らしい気持ちになりました。
 私学にはそれぞれ建学の精神があり、その理念にもとづいて各校は独自の教育を実践しています。本校は建学の精神を“立学の精神”として、校祖である公江喜市郎先生が唱えられた「高い知性」「善美な情操」「高雅な特性」を掲げています。この三要素を身につけることが、同時に本校が目指す「一生を描ききる女性力」の育成にもつながっているのです。
 私は、「一生を描ききる女性力」とは、女性が持つ“しなやかさ”と“強さ”のことではないかと感じています。女性の一生を考えたとき、出産など、女性にしかできないことがあります。白いキャンバスに、さまざまな出会いやできごとのある一生を描ききるためには、一旦、それまでの筆を置くときもあるでしょう。違う筆に持ち替えてもいい。再度、社会に出る機会を見極めて筆を取り、再び一筆ずつ描き入れてゆく。そんなしなやかで強いイメージです。
 このような力を養うためには、自分の得意分野の力を高めると同時に、どのような女性になりたいのかを考えることが必要です。そういった視点から考えると、中高一貫の女子校では、さまざまなロールモデルに出会えるという利点があると思います。たとえば先述の『武庫川フェスティバル』では、中学生が高校生を、「私もあんなふうになりたいな」と、あこがれの眼差しで見つめている光景が見られました。同世代ではなく、少し上の高校生と一緒に活動する、というのがポイントです。ちなみに本学院は、中学・高校・大学・大学院を擁する女子総合学院です。高校生にとっては、大学生等のロールモデルがすぐ身近にいます。
 また、同性だけの環境は、ジェンダーバイアスのない世界を経験することでもあります。「力仕事は男子」「サポートは女子」といったような暗黙の了解が存在しない環境は、性差ではなく各自の特性や個性を軸にものごとを考えることができますから。成長期にこのような環境に身を置くことは、その後の人生に大きな影響を与えるのではないかと、女子校で学ぶ意義を感じました。
 実際に本校の生徒を見ていると、おとなしい子・元気いっぱいな子・運動が得意な子など個性はそれぞれですが、「女子だから」というレッテルに捉われず、皆のびのびと過ごしています。

リケジョを育成する女子校として
存在感を発揮

「一生を描ききる女性力」を養うために、本校では時代の変化とともにさまざまな取り組みを行ってきました。そのなかで、2006年にスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けたことは重要なことでした。その後、2017年には中学で、文理の枠を越えた学びで、特に英語力を鍛え国際社会に対応する力を養う『創造グローバル』と、世界で活躍するリケジョの育成を目標に、入学直後から理系を極める学びに取り組む『創造サイエンス』の2コース制を導入。翌年には高校で同コースを導入し、新たな学びの領域に取り組みました。これらの2コース制によって「世界を目指せるムコジョ」「リケジョを育てるムコジョ」が一層浸透したことは言うまでもありません。
 また、本校にはアメリカに分校があり、さらに世界7カ国に協定校があります。コロナ禍で留学や海外研修旅行などがストップしていますが、安心して生徒を海外に送り出せる時期が到来した際には、速やかに再開できるように、情報交換を続けています。

どのような時代でも
自分だけの絵を描くことができる力を

 校長室から外を眺めていると、誰も見ていないのに自然とゴミを拾ったり、植木の手入れをする生徒を見かけることがあります。子どもは本当にすばらしい存在です。同時に、どのような時代が来ても、この子たちが悠々と一生を描ききる力をつけるための環境を、今まで以上に充実させていかなければと感じます。今後は今まで以上に探究活動に力を入れて、「課題発見力」「考え抜く力」「伝える力」を培い、一生をかけて自分らしい絵を、自分にしか描けない絵を描く力を養いたいと考えています。本校は皆さんの白いキャンバスです。武庫川女子で、あなたにしか描けない素敵な絵を描きませんか。

こんな学校です

 2022年に学院創設83周年を迎えた、歴史と伝統のある女子校です。2006年、スーパーサイエンスハイスクールの指定を受け、「リケジョを育成するムコジョ」「世界を目指せるムコジョ」として存在感を発揮。「都会の緑豊かなキャンパスで、のびのびと成長できるのが魅力です。ぜひ、見学に来てください」(世良田校長)

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