まもなく創立150年を迎える仏教校としての伝統や、確かな大学進学実績などで知られる大谷。それと同じくらいに生徒や保護者から支持されているのが、行事などに生徒発のアイデアをどんどん取り入れて、生徒が日々の学校生活を楽しめることを大事にしている点です。
その精神は、校舎や施設などのハード面にも色濃く表れています。2018年度よりキャンパスの総合整備を進めてきましたが、「この学校で学べることが楽しい」と感じられる機能やデザインが、随所に反映されているのです。
整備計画の象徴となったのは、複合施設『智身館(ちしんかん)』。関西最大級の広さを誇るアリーナに目を奪われます。バスケットボールコートが3面取れ、バレーボールの国際試合にも対応可能な天井高も確保しています。高校の運動部だけでも15以上あり、中学も含めればさらにその数は多くなりますが、そのような状況でも練習場を効率的にシェアできます。
高校の入学試験や、入学式・卒業式など大規模な行事・式典にも利用されており、生徒・保護者が余裕を持って着席可能です。
アリーナ2階には、内壁に沿って一周する形でスタンドを整備。雨天時のランニングスペースとなるだけでなく、部活動の試合などを観戦できるベンチも設置。
さらに中庭がぐるっと眺められることから「ぐるり」と名付けられた外壁(外周)部分では、筋力トレーニングをする生徒もいれば、練習の合間に食事をとる生徒も。将来的には、このテラスを他の校舎施設と接続する計画もあり、回廊のようにつながります。
専用の広いトレーニングルームも充実しています。床はゴム材で補強された弾力のある安全な作りで、重いバーベルを「ガシャン!」と落としてしまっても大丈夫。利用は主に運動部の生徒たちがメインですが、空き時間を使って個人的なトレーニングに励む先生方の姿を見かけることも…。
トレーニング器具は生徒の要望を受けて、常に改善を図りながらできるだけ希望のものをそろえています。ここにも「生徒が学校生活を楽しめる」ことを大事にする姿勢がうかがえます。
柔道場は、全日本柔道連盟公認の柔道畳が敷き詰められています。柔道部は全国レベルの実績があり、他校を招いて合同練習をすることもあります。柔道部だけでなく競技かるた部の活動のほか、校内合宿行事での宿泊スペースとしても活用中。
広く清潔な更衣室は、高校用・中学用で分けられています。中高生が同じスペースで着替えようとすると、どうしても中学生が高校生の先輩に気を使ってしまうことがあるため、気兼ねなく落ち着いて使えるように工夫しているのです。更衣室には温水シャワールームも併設されています。
また、オープンスクールなどで見学に訪れた小学生や保護者から人気が高いのが智身館内のトイレ。「きれい!」と感激の声が上がるそうです。生徒アンケートの声を反映して、和式・洋式両方をカバーしただけでなく、洗浄便座、センサー式手洗い、ジェットタオルなどの便利な機能も完備。女子トイレは最大で8もの個室があり、多くの来校者がある際にも行列ができにくいそうです。一見気付きにくいポイントですが、細かな配慮が光ります。
智身館に併設して作られた新講堂『樹心閣(じゅしんかく)』。仏教用語で、同校の学校理念でもある「樹心」(一人ひとりが「生かされている」という気持ちを忘れず、自他のために精一杯生きようという心がけ)にちなんで名づけられました。ステージ中央にはご本尊が納められています。
600人が収容可能なため、さまざまな用途で使えることも特徴。朝の礼拝、集会、演劇大会、同校が力を入れている「模擬国連」活動のグループワークのほか、宗教の時間の生徒感話(発表)、軽音楽部のライブ、卒業生らを招いての二十歳のつどい(成人の日のイベント)などで幅広く活用。
ちなみに同校は、里帰り訪問をしてくれる卒業生が非常に多いそうです。いかに生徒たちが「楽しい学校生活」を送ることができ、学校を愛しているかがわかります。
書庫内に収められているものを含めて3万冊もの蔵書数を誇る『図書館』。教員が学習支援コーディネーターとして常駐しているので、自習時でも質問しやすい環境が整っています。土日も開放している点も特徴でしょう。
さらに、司書と図書委員が中心になってのイベント開催や、新刊の入荷がかなり早い点も魅力。卒業生で、メジャー誌で連載を持つ漫画家・竹田陽介先生の作品も読むことができます。
将来的には、隣接する『ダンスルーム』『メモリアルゲート』を併合し、総合学習棟であるラーニングコモンズとしてリニューアルする計画も。
ナイター設備を備えたメイングラウンドは、全面人工芝に生まれ変わりました。現時点ですでに、サッカーコートが1面取れる広さがありますが、次のリニューアルではさらに拡張する方向で計画中です。
芝は、陸上競技・サッカー・ホッケーなどさまざまな競技で利用できる高さに調整されており、クラブ活動はもちろん体育の授業でも利用しやすくなっています。昼休みには仲間たちと楽しそうに遊ぶ、イキイキとした生徒たちの姿を見ることができます。
加えて、同校から車で約45分の距離にある京都府亀岡市に、野球グラウンドも設置しました。グラウンドは水はけもよく、ナイター設備やブルペン(ピッチャー用練習場)も完備。野球部員が周辺住民にカレーをふるまうなどの地域交流も行われています。
生徒の声を反映させてさまざまな校舎リニューアルが行われましたが、新校舎・施設の完成に間に合わなかった卒業生たちもいます。
そのような卒業生のために「せめて形に残るものを」と、一人ひとりが好きな言葉を書き込んだプレートを作り、校舎の外壁の貼り付けるという試みも。
「学校生活を楽しむ」ため、自分たちで考え、つくった学校生活は、きっと生徒たちの人生にとってかけがえのないものになることでしょう。