大正8年(1919年)、「人格の修養と健康の増進を第一とし、各自が持っている天賦の才能(天才)を開花させること」を建学の理念として、平生釟三郎氏によって開校した甲南中学校。「世界に通用する紳士たれ」を教育目標に、徳・体・知の調和がとれた豊かな人間性と自立心をそなえた人物を育む教育を実践しています。
2023年春、同校は、大阪大学や神戸大学などの国公立大学及び大学校に45名合格(既卒生含む)という過去最高となる実績を挙げました。この実績をもとに『週刊ダイヤモンド(株式会社ダイヤモンド社)2023/10/28 』の「わが子が成長する中高一貫校」と題した特集で「関西圏中堅校のレバレッジ度トップに輝いたのは甲南」と取り上げられたことで、同校への注目はこれまで以上に高まりました。
この躍進の原動力はどこにあるのでしょうか。
現在、同校の学びは『アドバンスト・コース』『フロントランナー・コース』の2コースで展開されています。
『アドバンスト・コース』は、中学3年間で徹底的に基礎学力を養いながら探究心を育て、他者と協働する力を育みます。大学進学を視野に入れて、OBとの強いつながりを利用した職業観を育む学びにも取り組みます。
『フロントランナー・コース』は、難関国公立大学医歯薬理工系・文系を目指す生徒が学ぶコースです。中1から理系科目に重点を置いた学びで、目標に向かって力をつけています。
「どちらのコースも生徒一人ひとりの“天才”を育むための学びにつながっているので、それが学ぶ意欲や興味・関心の喚起につながっているのでしょう。さらに、蔵書数約10万冊の図書館、全校舎Wi-Fi完備などの充実した教育施設が知的好奇心を刺激しているのも大きなポイントだと思います。これに加えて、私は、“真の自由”と表現できる校風があることこそ、生徒の力が伸びる要因であると考えています。この校風は、旧制高等学校として開校し、学ぶ意欲に満ちた若者が巣立った伝統が脈々と流れていることが土台となっているのです」(入試広報部長・田村信平先生)
さらに、「世界に通用する紳士」の育成を実現するべく、海外の名門校への留学制度などの国際交流も、多様な生徒の力・個性を伸ばす機会となっています。
2024年度からは、『アドバンスト・コース』が『メインストリーム・コース』に改称され、より甲南大学との教育的連携を深め、時代に即したスキルを身につけます。今後は『フロントランナー・コース』『メインストリーム・コース』の2コースでさらなる“甲南らしさ”を追求し、社会で役立つ人物を育成します。
「伝統を守りながら進化し続ける甲南は、これからも生徒の“天才”を引き出し、生徒が自ずと伸びていく学び舎として存在感を発揮していきます!」(田村先生)
70年以上の歴史を有する灘中高との定期親善試合「灘甲戦」
西日本の私学で唯一の旧制高等学校の伝統を受け継いでいます。旧制高等学校とは、明治から昭和初期にかけて開校した高等学校を指し、高い志を持ち、切磋琢磨して学ぶ学生が集いました。同校ではその伝統を汲み、学問に対する興味を根底から喚起する教育を実践しているのです。関東圏の旧制私立高校には学習院・成蹊・成城・武蔵がありますが、西日本の私立では甲南のみです。
地下体育館
図書館の蔵書数は約10万冊で、生徒のみならず保護者への貸し出しも行っています。全校舎にはWi-Fiを完備。
また、理系教育に関する施設・設備は大学と同等で、中高ではめずらしい電子顕微鏡をはじめ、分野ごとに実験室、講義室が6室あります。
さらに体育の授業や運動部が使用する地下体育館や雨天練習場など、一人ひとりの“学ぶ意欲””やりたいこと”に応える施設が充実しています。
生徒もOBも“甲南ボーイ”としての誇りを強く胸に抱いているため愛校心が強く、卒業後も切れることのない強固な絆を形成しています。医師・弁護士・経営者などのOBの幅広いネットワークも、人材の多様性も非常に豊富。そのつながりを活かしてOBが講演やセッションを行う『OBワークショップ』や『OB企業訪問』があります。実体験から来る話を耳にすることで、将来に向けての意識が高まります。OBは忙しい時間の合間を縫って、「後輩たちのために」と喜んで協力してくれるそうです。
生徒・卒業生・保護者・教職員は、その強い団結力と愛校心から”家族”にたとえられることもしばしば。
●メインストリーム・コース
甲南大学やOBとの連携を強めながら、正解のない時代を生き抜くために、多様化する社会で必要とされる「ジェネリックスキル」を身につけ、健全で良識を備えた社会で活躍する人物を育成します。
社会で活躍するための「ジェネリックスキル」は、大きく“コンピテンシー”と“リテラシー”に分けられます。
“コンピテンシー”とは、優れた成果を生み出せる人の行動特性のことです。協働力や思いやり、誠実さなどが挙げられます。“リテラシー”とは、知識や能力を活用する力のことで、この両輪がそろいジェネリックスキルとして機能すると考えます。『メインストリーム・コース』では、特に、このリテラシーを高める教育活動を充実させていきます。
●フロントランナー・コース
キーワードは、“サイエンス”と“グローバル”。科学的なものの見方や世界情勢を見極める力を養い、探究心を高め、多様化するグローバル社会を生き抜く力を育成します。要となるのは『サイエンス・ラボ』『グローバル・ラボ』の存在です。
『サイエンス・ラボ』は、「化学」「生物」「物理」「地学」「情報」の5分野に分けられ、大学並みの設備を備えた実験室で高度な実験に挑戦できます。考察やレポート作成を通して科学的な思考力・考察力を身につけることを目的としており、同コースのなかで最も人気の高いプログラムです。
『グローバル・ラボ』は、「世界」「平和」「環境」「歴史」をテーマに世界的視野で地球が抱える問題を探究し、調べ学習やグループ討論を重ねつつ、当事者意識と多様性のある視点を育むものです。各分野の専門家を招いてワークショップなどに取り組み、意見を交わしたり、発表を行うなど、生徒が主体のプログラムです。
高度な実験(サイエンス・ラボ)に取り組むフロントランナー・コース
『OBワークショップ』
『グローバル・ラボ』