
帝塚山中学校・高等学校ではグローバルリーダーとしての素養・能力を育むことを目指し、中高6年間を通して系統的なプログラムを展開しています。その中でも“海外へのファーストステップ”として用意されているのが中3希望者対象の『シアトル海外研修』。中学3年間で積み重ねてきた英語力を試せる場となっており、これを機に将来の目標が生まれる生徒もいるなど、参加者に大きな転機をもたらしてきた30年以上続く伝統的なプログラムです。

今夏、シアトル海外研修に参加した中3・Ⅰさん(左)とNさん(右)。
毎年約60名もの生徒が参加する『シアトル海外研修』は、中3希望者を対象に夏休みに実施されます。“自分なりの目的意識を持って参加すること”を重視しているため、志望理由書の提出が必要になり、現地でその目標を意識しながら行動することで、自身の成長につなげてほしいという思いが込められています。
「私は末っ子で、つい周りに頼ってしまう自分を変えたくて。英語は得意ではありませんが、思い切って挑戦しようと思いました」(I さん)
「英語を話さざるをえない環境に身を置くことで発話の機会を増やし、英語力を伸ばしたいと感じたからです」(N さん)
と、生徒たちはそれぞれに明確な目標を語ってくれました。
『シアトル海外研修』のプログラムは二本柱で構成されています。 その一つが前半に行われる『キャンプ』。各キャビンに現地のキャンプカウンセラーがリーダーとしてつき、雄大な自然の中で乗馬など多彩なアクティビティに取り組みます。リーダーは生徒たちより少しだけ年上のほぼ同世代なので、ほどよい距離感で話しやすい雰囲気です。
「英語が聞き取れないときは、わかるまで何度も話してくれました」 (Iさん)
「リーダーがフレンドリーだったので、臆せずに“授業で習った構文を使おう!”とチャレンジができました」 (Nさん)
気軽に話しかければ笑顔で返してくれ、うれしいことがあれば一緒に喜んでくれる。そんな年齢の近いリーダーの存在こそが、環境に慣れるスピードをぐっと早め、異文化へのハードルを下げてくれるのです。

英語科・野呂 綾子 先生
二つ目の柱が、州立大学での『特別研修(英語研修とホームステイ)』。ホームステイをしながら、日中は大学で英語研修を受ける約一週間。生徒たちは、前半の『キャンプ』で異文化や英語の環境に慣れてきたので、ここでは萎縮することなく行動できます。
「自分の部屋にこもらずに、ずっとホストファミリーと交流していました。キャンプで自信がついたので、ミスをおそれずに積極的に話すように心がけました。最初は単語を並べるだけでしたが、帰国前には文章で話せるようになっていました」(Iさん)
日本とはケタ違いの大自然に触れ、世界をリードする都市での貴重な経験は、生徒たちに大きな変化をもたらしたようです。
「英語の表現が多少間違っていても、コミュニケーションができるとわかったことが大きな収穫です。また海外研修に参加して、もっと積極的に現地の人と交流したいです」(Nさん)
「遠慮して受け身にならずに、自分から相手を知ろうと行動できるようになりました。客室乗務員になりたいという漠然とした憧れが、“目標”に変わりました」(Iさん)
「“自分を信じて行動していいんだ”という実感が得られるとともに、日本では見えにくかった個性や力が自然と表に出てきます。何でも吸収できる柔らかな感性を持つ中学時代に経験をすることに、『シアトル海外研修』の大きな意義があるのです」 (英語科・野呂綾子先生)

乗馬やアーチェリー、プール、Tシャツのタイダイ染め、キャンプファイヤーなど大充実の6日間。リーダー同士が毎晩のミーティングで出来事を共有し、キャンプをより良いものにするための議論をしてくれます。
「私のグループは壁や窓がない半屋外キャビンで生活。最初は不安に感じましたが、2日目以降は慣れてきて(笑)。一番楽しかったのはプールです。泳ぐだけではなく、スライダーや飛び込み台を使いながら自由に遊ぶ感覚。プール後のシャワーがお風呂代わりでした」(Iさん)
「森でテントを張って寝た日もあります。キャンプファイヤーが毎日あり、ピザやマシュマロを焼いて皆で食べました。乗馬では、自分が乗る馬のお世話をしました。最初は前に進むだけでも苦労しましたが、3日目には森を一周できるまでになり、気持ちよかったです!」(Nさん)

『キャンプ』を通して英語でのコミュニケーションに慣れたうえで、自ら行動しなければ物事が進まない『ホームステイ』という環境へ。
「ホストファミリーのルールに沿って、朝食は各自で準備し、22時までにお風呂に入り、洗濯は夜にしていました。会話が続くように、とにかくたくさん話しました。日本の料理として、お茶漬けと親子丼を振る舞い、喜んでいただけました」(Nさん)
「家族への感謝の気持ちや、自立への意識が芽生える良い機会になりました。印象に残っているのはバースデーパーティー。念入りに準備して、家族のお祝いごとを大事にしていることが伝わってきました」(I さん)
「ホームステイでの生徒の自主性や積極的な姿を見ていると、キャンプで自信と度胸がついたことが表情でわかります。自分を温かく受け入れてもらえたという経験が、成長や新たなチャレンジにつながっているのでしょう。この海外研修をきっかけに『トビタテ! 留学JAPAN』(文部科学省による留学促進キャンペーン)に挑戦した生徒もいます」(野呂先生)
ワシントン州立大学Bellevue Collegeでは、外国人留学生が生きた英語を効果的に習得することを目的に設置されたインターナショナルコースで、約一週間の『英語研修』に臨みます。言うまでもなくオールイングリッシュの環境。午前中はアメリカの文化や自然、社会の仕組みなどについて学び、午後からは企業見学やキャンパス外でのプログラムを実施。研修の最終日には、大学より修了証書が授与されます。
「アメリカの文化や教育をテーマにした授業は、とても興味深かったです。特に教育に関しては、大学の知名度などではなく、生徒一人ひとりに合った進路を大切にする考え方に共感しました。授業はとにかく必死で聞き取り、わからない単語があれば調べて、きちんと理解するようにしていました」(Iさん)
「キャンパス外のプログラムでは、ボーイングの工場、アマゾン本社、マイクロソフト本社のビジターセンター、スターバックス1号店などを訪問。特にボーイングの工場は圧巻!アメリカという国のスケールの大きさを感じました」(Nさん)