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進学通信

2023年9月

この記事は1年以上前の記事です。

実践報告 私学の授業
学ぶ意欲を高める 大学と連携した体験学習

大学附属校である強みを活かして15の学部を持つ近畿大学と連携し、多彩な体験学習を展開する近畿大学附属中学校。
さまざまな経験を積み重ねることで、進路実現の支えとなる職業観や目標の形成へとつなげます。

2022年からスタートした『湯浅農場体験通年プログラム』は全3回で構成されている。
班ごとに担当のみかんの木を観察・スケッチし、5月に「剪定」、7月に余分な実を取り除く「摘果」、3月に「収穫」を体験するほか、「近大マンゴー」の栽培状況も見学。
湯浅町の協力のもと、伝統的建造物郡保存地区を散策したり、みかん農家の方や町おこしに携わっている方の話を聞いたりと、充実のプランとなっている。

公開日2023/9/23
進路指導の一環として多彩な体験学習を実施

 近畿大学附属中学校では近畿大学との連携教育として、多彩な体験学習を実施しています。

 国公立大学を目指す『英数コース アドバンスト』と近畿大学進学を見すえ総合的な学力を身につける『英数コース プログレス』、医薬系大学進学に特化した『医薬コース』各コース対象のもの、さらに全コース対象のものがあり、その意義や目的は、コースの特性によって異なります。『英数コース アドバンスト』『英数コース プログレス』における体験学習の位置づけを、入試企画部長の原隆博先生は、次のように話します。

「進路実現のためには学力の向上が不可欠ですが、それだけでは十分とは言えません。日々の学びや受験勉強の原動力となるのは、『こんな研究をやりたい』『◯◯大学・◯◯学部に行きたい』『自分はこんなふうになりたい』という目標を持つこと。学力を伸ばしながら将来の目標を見つけられるように導くことが、進路指導だと考えています」

 7月に実施した『湯浅農場体験通年プログラム』(中2)を引率した入試企画主任の田代悠先生は、「みかんを教材として、ミツバチによる受粉など、これまで授業で学んできた内容を実体験しながら、知的好奇心を高めるプログラムとなっています。積極的に質問する生徒の姿が見られました」と言います。

「何が進路選択につながるかは、一人ひとり異なります。だからこそ、数多くの多様な体験が必要です。先日、新たな企画として『英数コースプログレス』の中3生が近畿大学情報学部を見学しました。将来的には、これを体験学習に発展させることができればと考えています」(原先生)

医療人としての心を育てる『医薬コース』の体験学習

 一方、『医薬コース』の生徒は、『医薬コース』のみを対象とした体験学習にも全員が参加。医療人に求められる倫理観や職業観を養うことを目的として、近畿大学奈良病院のほか、医学部・薬学部の見学・体験実習を用意しています。

「なぜ医療人を目指すのか、どのような医療人になりたいのかを考える機会となるように、どのような気持ちで実習を迎えるべきかを指導します。さらに実習後には、『命とは何か』『命を救うとはどういうことか』といったことや、医療関連の報道について考える時間を設け、次の体験学習へとつなげます」(原先生)

 近畿大学の建学の精神、真に社会に貢献できる人物を育てる「実学教育」を基盤とする同校ならではの、進路実現にとどまらない、医療人として活躍するうえでの指針となる学びが、実践されているのです。

大学附属校としての強みを活かした多様なプログラム
●湯浅農場体験通年プログラム[全3回](全コース/中2全員対象)

1回目は、みかんの花が咲く5月。ミツバチが飛び交うなか、日当たりや風通しをよくするための「剪定」に挑戦。「花が実になるということを実感できる貴重な機会。作業については農場の方から、ポイントを教えてもらいながら行います」(田代先生)

2回目は、緑色の実がなる7月に実施。事前学習で学んだ、みかんの木のトゲに注意しながら、日当たりが悪い場所にある実などを間引いていく。農場の方が気さくに話しかけて指導してくれるので、1回目よりも上手く行動できるようになり、複数回行くことのメリットを実感。

有名な近大マンゴー。
説明のなかで百貨店での販売価格が明かされた際は、驚きの声があがったそう。「楽しみながら体を動かすなかで、何かを発見したり、疑問を持ったり、関心を持ってほしいと思っています」(原先生)

●南紀体験学習(全コース/中2希望者対象)

「近大マグロ」で知られる近畿大学水産研究所を見学できる人気プログラム。応募者数が定員を超える場合は、志望理由書による選抜を行う。生け簀の規模や、地元の人の雇用につながっていることなど、現地に行って初めてわかることがたくさんある。水族館のバックヤード見学やカヌー体験、熊野古道の散策、青岸渡寺での座禅体験なども盛り込まれた、充実の3日間となっている。

●E-challenge(全コース/中1全員、中2・中3希望者対象)

近畿大学のキャンパス内にある英語村で、オールイングリッシュで過ごすプログラム。多様な国籍のネイティブ教員とともに、クイズやゲームを楽しみながら英語に触れる。

『医療コース』の体験学習
●奈良病院見学会(中1全員対象)

近畿大学奈良病院を訪問。医師から話を聴いたり、施設を見学した後、聴診器やエコー測定も体験する。

●医学部見学・体験実習(中2・高1全員対象)

大学の演習室で人体の構造について学んだり、注射の練習ができる実習室で講義を受けながら、大学生や医師になった未来の自分をイメージして、学びへのモチベーションを高めていく。

●奈良病院看護体験実習(中3全員対象)

朝のカンファレンスへの参加、病室での看護ケア体験など、看護師の仕事内容ややりがいを体感できる内容となっている。

●薬学部見学・体験実習(中1・中2全員対象)

大学病院の薬剤部と連携。中1は医療薬学研修センターにある総合病院の薬局を再現した模擬薬局で模擬調剤を体験。中2は薬用植物園を訪問し、薬用植物を観察しながら、生命について広い視野で考える。

医学部見学・体験実習

奈良病院看護体験実習

薬学部見学・体験実習