サンディエゴ・サファリパークで対応してくれたのは、動物学の専門スタッフ。絶滅の危機にある動物やその保護について学んだ。お話はすべて英語。
「英語への苦手意識を、現地の人々との交流をきっかけに克服したい」という思いで参加を決意。
留学に向けたステップとすることと、コロナ禍で制限された中学時代の思い出作りを目的に参加。
英語で理科を学ぶための多彩なアクティビティが用意されていますね
N さん
まず初日に訪れたのが、科学教育施設『イミロア天文学センター』です。最新型のプラネタリウムを体験したり、さまざまな天体の起源や、それらが今後どうなっていくのかというお話が印象に残っています。
O さん
プナルウ黒砂海岸やキラウエア火山国立公園では地質学に触れました。火山活動の観察や、固有種の動物・植物を見ることもできました。
N さん
火山周辺では、ちょっとでも踏むと崩れる場所があるので、ガイドの方から厳しい指導がありました。日本ではできない貴重な体験だったと思います。
O さん
プナルウ黒砂海岸では地元の方と触れ合うこともできたんです。目の前でココナッツの実を切って振る舞ってくださいました。
N さん
現地の方は皆ノリが良くて、とてもフレンドリーでした。写真を撮ってほしいとお願いした時も、快く応じてくれました。
O さん
僕は海が好きなので、ワイアナエ海岸でのイルカウォッチングが楽しみでした。テーマは“海との共生”。イルカを観測できるスポットに船で移動しながら、ガイドさんから、環境破壊に関するお話を聞きました。
英語での説明は理解できましたか?
N さん
思っていたよりは聞き取ることができました。
O さん
専門用語もありましたが、通訳もしてもらえたので、英語が苦手な僕でもきちんと理解することができました。
中林先生
生徒たちには、単に見学するだけでは観光と変わらないものになってしまうので、学んだ英語の力試しの場として臨んでほしいと伝えていました。英語に対する気づきを得る機会になったと感じています。
サイエンス系のプログラム以外にも、ホームビジットや現地中学校訪問など、交流する機会も設けられていますね。
中林先生
今回はコロナ禍バージョンということで、ホームステイの代わりに、宿泊を伴わないホームビジットを行いました。3人ずつのグループで現地のご家庭の人たちと過ごしましたが、どうでしたか?
N さん
今回の研修での一番の思い出になっています。ホームステイに比べて触れ合う時間は短いものの、自分の英語力を試す場として学ぶことは多かったです。僕が訪問した家庭にはお子さんが2人いて、一緒にボードゲームを楽しみました。ルールの理解には少し苦心しましたが、日々の勉強が実を結んでいることを実感することができました。
O さん
3人1組という少人数での訪問なので、たくさん話すことができました。何か質問されると、「どの構文を使おうか」「何を話そうかな」などと考えていたのですが、同じグループに、文章ではなく単語だけをポンと口にするメンバーがいたんです。意外にも会話が成立していたので、「とりあえず、まずは話す」という姿勢も大切だと知りました。
サイエンス教育が特色のミニラニ中学校ではプレゼンテーションをしたそうですね。
N さん
研修前に、5人くらいのグループごとで準備をして、日本文化を紹介しました。僕の班のテーマは「忍者」。わかりやすいようにコントを取り入れて発表しました。
O さん
僕のグループにはアニメや漫画にくわしいメンバーがいたので、「日本の漫画カルチャー」をテーマに選びました。興味を持って聞いてもらえたと思います。学校内を案内してもらいながら現地の授業を見学したり、美術の授業を受けたりして、日本とは違う開放的な空気感を肌で感じることができました。
海外研修を通して、自分の中で変化はありましたか?
O さん
大学受験で必要な英語力と、コミュニケーションを図るために求められる英語力は全く別物だということを実感しました。英語は苦手ですが、実際はもう少し話せると思っていて。それができなかったことで、「頑張らなければ」という意識が強くなり、勉強に対する意欲が高まりました。
N さん
現地の中学校の生徒たちは、わからないところがあると、恥ずかしがることなく堂々と手を挙げて質問していました。僕はそのように発言するのは苦手なのですが、自ら積極的に学ぶ姿勢が大切だと感じられたことが収穫です。「学びを吸収したい」という強い意識を持って授業に臨むようになりました
中林先生
今年はコロナ禍バージョンの研修でしたが、従来は、ホームステイや大学生との交流などが盛り込まれ、より「英語を話さなければ」「自分から話しかけなければ」という負荷がかかる内容でした。今回訪れたミリラニ中学校とは相互交流を考えており、2024年度に現地の生徒たちを受け入れる方向で調整中です。学校間交流として定着すれば、よい意味で、従来のように大きな負荷がかかる学びとなるはず。ぜひ実現させ、さらなるバージョンアップを図っていきたいと思います。
(左から)英語科/中林 豊先生、高1・Oさん、高1・Nさん
現地の企業訪問などを通じて、「海外の人がどんなふうに働いているのか見てみたい」と応募。
コロナ禍以来初となる海外研修の募集を知って、外国への興味が高まり参加。
『サンディエゴSTEAMプログラム』は、幅広い分野に触れられるプログラムで構成されていますね。
山本先生
STEAM”を意識したアクティビティと、そのなかで多く英語を使うことを重視している点が特徴です。
N さん
世界最大級の科学機器・試薬メーカーであるサーモフィッシャー・サイエンティフィック社を訪問することができてうれしかったです。イチゴからDNA を抽出する実験を行いました。
T さん
社内見学では専門用語が多く聞き取るのが大変でしたが、実験での英語は理解することができました。
山本先生
通訳をつけると安心してしまって、集中力が低下してしまいがちです。“聞き取れない経験”をすることも大事なので、あえて通訳なしにしました。ほかのアクティビティでも同様です。
N さん
サンディエゴ・サファリパークでの絶滅危惧種に関する説明も英語のみでしたが、資料を見たので要点は理解で
きました。
T さん
カリフォルニア州立大学サンマルコス校ではコンピュータサイエンスの教授による講義のほか、発光ダイオードを使ったライト作りにも挑戦しました。
最も印象に残っていることは何ですか?
T さん
ホームビジットです。2~4人のグループで現地のご家庭を訪問し、夕食まで一緒に過ごしました。私がお世話になったのはベトナム系のご家族。ビーチやショッピングモールなど、いろいろなところに連れて行っていただきました。
N さん
私はロシア人のご家庭を訪問したのですが、写真家と画家のご夫婦だったこともあり、感性の豊かなインテリアが印象に残っています。驚いたのが、小さなお子さんが話すスピード。まったく聞き取れませんでした(笑)。私たちのレベルに合わせて、ご夫婦がいかにゆっくりと話してくださっているのかを知りました。
T さん
私も、ホストマザーが息子さんに話す時のスピードとの差に愕然としました(笑)。
N さん
それでも「たくさん話そう」という目的があったので、単語を並べながら、ずっと話していました。
T さん
私は最初、言いたいことが浮かんでも、伝える勇気が出せなくて…。ただ悔いが残るのは嫌だったので気持ちを切り替えました。
N さん
最終的にT さんは、別れ際に泣いてしまうほど打ち解けていたよね? 私も仲良くなれて、帰国後もメッセージのやりとりをしています。英語を勉強している時も「次はこの表現を使ってみよう!」などと意識するようになりました。
ホームビジット
「最初は勇気が出なかったのですが、話さないと意味がないと気を取り直し、積極的に話すようになったらホストファミリーと仲良くなれました」(T さん)
現地高校との交流が、2回設けられていますね。
別所先生
日本文化を紹介するプレゼンテーションに向けて練習を重ね、山本先生からもアドバイスを受けながら、グループごとに準備をしました。
T さん
私はN さんと同じグループで、「帝塚山の生徒の一日」というテーマで発表しました。黒板や和室、掃除風景などを撮影して資料や原稿を作成し、練習を重ねて臨みました。
N さん
現地では、1回目は緊張で声が小さくなってしまったのですが、2回目には改善できていたかなと感じています。
別所先生
1回目よりも格段に堂々と話せていたよ。
T さん
加えて、より興味を引く内容にするために、2回目は私が日本で撮影した桜の画像をプラスしたんです。その画像が出た瞬間、現地高校の生徒たちが盛り上がって…。
別所先生
大きな拍手をもらえたね。
N さん
私たちの発表が一番だったと思います! (笑)
山本先生
2回目の皆の発表は素晴らしかったです。表情もすっかり変わって落ち着いていましたし、何より「伝えたい」という意識が伝わってきました。
この海外研修を通じて、変わった、成長したという実感はありますか?
T さん
単語や文法を知っていても、聞き取れて話せないと意味がないということを、身をもって学びました。最終日のディズニーランド観光では、「一番大きいお土産屋さんはどこですか?」「すぐに食べられる食事はありますか?」など、積極的に話しかけられるようになりました。「自分の英語が伝わった!」と実感したことも大きかったです。
N さん
同感です。拙い英語でも、自分から話しかければ言葉を返してもらえる。そういう成功体験を積み重ねることができてよかったと思っています。あきらめずに伝える姿勢も身につけました。
山本先生
このプログラムのねらいでもある「自ら殻を破ってコミュニケーションを図る」という点は成功したと思います。
別所先生
今回が初の実施となるプログラムでしたが、期待以上の成長と成果をもたらすことができたという自信があります。今後も多くの生徒たちに参加してほしいですね。
(左から)国際交流委員長/別所 誠先生、高1・Tさん、高1・Nさん、英語科/山本 香里先生