京都府
受験者数・受験率ともに低下 京都私学にとって逆風の入試に

初日午前受験者数2510人(前年度2690人)、受験率は12・8%(同13・3%)となった京都。兵庫県と同じく、大阪の高校授業料無償化との特段の関連性は見られませんでした。
◆男子校◆ 高水準で推移 不調な京都で勢い光る
後述する女子校と共学校の受験者数減少が目立ったなか、高いレベルをキープしたのが男子校です。東山は前期A453人(同419人)、競争率1・37倍(同1・25倍)。残る2回の入試でも数・率ともに上昇。前年度もすべての入試で増加を示しており、人気校としての存在感をキープ。複数回受験による加点制度を採用したことも影響しているのかもしれません。
洛星は前・後期とも前年並みながら、昨年に大幅増だったことを考えると、こちらも好調だといえるでしょう。なお、6日目という変則的な日程で、難関校を目指す受験生の“最後の砦”として定着している後期日程は、今年も255人(同256人)、競争率6・54倍(同6・92倍)と驚異的な数値になっています。
◆女子校◆ 目立った変動なし 京女・同女で微減
京都女子はA入試116人(同128人)ながら、競争率に大きな変動はありませんでした。同志社女子も、前期・後期でともに減少ですが、後期は合格者数を絞っており、競争率は2・31倍(同1・80倍)とかなりの狭き門になっています。
京都聖母学院・ノートルダム女学院・平安女学院に大きな変動は見られず、例年並みの落ち着いた入試となりました。
◆共学校◆ 初日午前で113人減 人気の大学附属校も明暗
初日午前受験者数が2 5 8 9 人( 同2664人)となった共学校でしたが、洛南高等学校附属は818人(同798人)。特に女子が290人(同257人)と増えています。競争率も男女ともに2・90倍を超え、変わらぬ狭き門でした。
大学附属校では、同志社が486人(同513人)ながら、合格者数も絞ったため競争率は上昇し1・83倍(同1・75倍)となっています。同志社国際は236人(同196人)と大幅に増やして競争率も3・42倍(同2・45倍)となり、1ポイント近く上昇するという難易度の高い入試でした。
立命館系列は立命館が前期ABで242人(同311人)、後期360人(同504人)と減少した一方、立命館宇治では一般A 232人(同227人)、2日目の一般Bで272人(同238人)という結果に。
京都産業大学附属は前年並みも、併願生の多いB日程で31人増となる134人(同103人)。競争率も2・63倍(同2・06倍)へと上昇しています。6回の入試を実施する龍谷大学付属平安は、前年に続いてそのすべてで受験者数が増加し、活気ある入試となりました。
また、公立中高一貫校が多い京都府では、その併願先として適性検査型入試を導入している私学が多い傾向があります。該当する入試では、大谷が16人、京都橘が30人、京都先端科学大学附属が37人、花園が46人が受験する結果となりました。

奈良県
受験者数・受験率ともに前年並み 落ち着いた入試傾向

初日午前受験者数は781人(前年度775人)、受験率は7・2%(同7・1%)と、微増となったのが奈良県です。
目立った数的変動なく最難関校を中心に安定
県下私立最難関校に位置付けられる男子校の東大寺学園は846人(同923人)で競争率2・04倍(同2・26倍)。女子校の育英西は初日午前のA日程で94人(同66人)を皮切りに、4回の入試すべてで増加していました。
共学校トップの西大和学園は初日の「21世紀型特色入試」が昨年と同数の181人。競争率は5・84倍という、例年通りの高い難易度を示しています。4科・3科入試は微減となりました。
帝塚山は1 次Aが1 7 9 人(同186人)で微減、特に女子は昨年に続いて減少が目立ちましたが、反面、男子が増加しています。奈良学園はすべての入試で増加、奈良学園登美ヶ丘は例年並み。智辯学園は適性検査型で10人増の22人(同12人)となったほか、智辯学園奈良カレッジは一般A・Bともに増加しています。
和歌山県
和歌山は減少傾向

初日午前受験者数594人(同633人)で受験率8・1%(同8・4%)と、ともに前年度より減少となった和歌山。各校の増減に目を向けると、増加したのは和歌山信愛・近畿大学附属和歌山、減少したのは開智、近畿大学附属新宮・智辯学園和歌山。
智辯学園和歌山では「算数特化入試」の新設が注目を集め、24人の受験生がチャレンジしていますが、合格者はわずか2人と、非常に難易度の高い入試となっています。
滋賀県
4校すべてで受験者数増加

公立志向が強く、私立中学は近江兄弟社・光泉カトリック・比叡山・立命館守山の4校のみの滋賀県ですが、そのすべてで初日午前受験者数が増加しました。トータルでは460人(同415人)ながら、もともとの小6児童数が少ないため前年度比は110%を超える伸びで、受験率も3・4%(同3・1%)となっています。
京都府の受験者数減少と大阪府の高校授業料無償化に目立った相関性が見られなかったことから想定すると、今年は滋賀在住で京都志向の受験生が、滋賀へ回帰したと考えることもできるかもしれません。
