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2026年度・関西圏中学入試総括 次の入試はどう動く? Vol.2【関西圏中学入試・2026 8つのトピック】

掲載日:2026/4/17
TOPIC 1午後入試のニーズ安定 ほぼ3人に2人が活用

 受験生のほとんどが、初日と2日目の午前・午後、計4回の入試スケジュールの中で受験戦略(併願パターン)を組み立てています。おおむね2~3校を受験するケースが多いようですが、4回すべて同じ学校を受験して熱意を示す受験生もいます。

 学校の生徒募集という意味では、競合する他校との日程重複を避けたり、あえて同じ日に設定するなど、戦略的な動きも見られることが特徴です。また、受験生としては早く合格を決めて安心したいですし、学校としても早く入学者を確保したいのは事実。この両者の思惑が一致する形で、中学入試の動向は、実質この2日間(4回)の日程でほぼ決まってしまいます。

 そのように定着した午後入試ですが、2026年度の初日午後の受験者数は1万1429人(前年度1万959人)。初日午前の受験者数が1万7854人ですから、割合にして64.0%、単純計算で、中学受験をする児童のほぼ3人に2人が初日の午後入試を利用していることになります。

 初日午後に入試日程を設定している学校は前年より2校増加して68校。2日目午後は45校・受験者数は7827人(同7862人)でした。

 3日目以降は実施校・受験者数も格段に減り、3日目で20校・1432人、4日目以降では10校・303人となります。先述した「初日と2日目の計4回でほぼ入試が終わる」という、スピード決着がスタンダードになっているといえるでしょう。

TOPIC 2関関同立附属校人気 受験者数の2割を占める

 例年、安定した人気を誇るのが大学附属校です。特に関西圏では、関関同立のブランドが強いこともあり、受験生や保護者にとって、それらの大学への進学がある程度保障されていることはやはり訴求力が強いのでしょう。また、大学入試の受験勉強に時間を奪われないぶん、探究活動や部活動、芸術やスポーツなど、やりたいことを謳歌できる点も魅力になっています。

 12校ある関関同立系附属校の初日受験者数は3539人(前年度3468人)。提携・連携校まで含めた全17校だと4174人(同4130人)にまで膨れ上がります。初日午前の受験者数1万7854人のうち、実にその2割弱が関関同立系附属校を志望したという計算です。

 併設大学への進学率は大学によって異なり55~95%ほどですが、近年は国公立大学など他大学への進学サポートを充実させる学校もあり、多岐にわたる進路も注目に値します。

 その意味で、より進学校としての期待が強いのが産近甲龍の附属校です。併設大学への進学もある程度担保しつつ、他大学もねらえる受験指導の手厚さが支持されています。

TOPIC 3校名・共学化・コースなど学校改革が続く

 私学は時代・社会に即してフレキシブルに改善と改革を進めています。その中でも目立つ変化と言えるのが、校名変更や共学化、コース改編などです。今年、校名変更を発表したのは2校。大阪の利晶学園(旧名/初芝富田林)と、京都の洛星ノートルダム女学院(旧名/ノートルダム女学院)です。

 学校法人利晶学園は、昨年も初芝立命館を「大阪立命館」に改称するなど、改革色を強く打ち出しています。洛星ノートルダムは、洛星の学校法人ヴィアトール学園に事業譲渡する形で校名変更となりました。両校は京都市で同年に誕生したカトリック校であり、従前から連携の深い学校です。京都屈指の男子進学校である洛星と並ぶ形で、今後は進学校化していくのではないかという見立てもあります。校名変更は単なる名称の変化ではなく、コース改編や新しい教育システムの導入も伴うのが一般的で、その中身の刷新にも注目が集まります。

 共学化したのは、兵庫の松蔭・園田学園、京都の京都光華の3つの女子校です。特に、松蔭・園田学園が立地する兵庫は、ここ数年だけでも神戸山手グローバル・親和・滝川と、共学化が続くエリアになっています。

 少子化の影響もあって、男女別学校が共学化する流れは全国的な潮流にもなっていますが、校名変更と同様、共学化に伴って教育内容も大きく進化させるケースも多くなります。たとえばグローバル系や特進系のコースを新設・改編するなどです。そこが共学化によってその学校が力を入れたい教育分野を示しているとも言えますので、学校選びの一つの指針になるでしょう。

 コース改編を実施したのは、兵庫の親和・滝川第二、和歌山の近畿大学附属和歌山。親和は『探究コース』を『グローバルプラスコース』(女子部)、『グローバルサイエンスコース』(共学部)へと改編しました。滝川第二は『プログレッシブAP』『プログレッシブ』『エキスパート』、近畿大学附属和歌山は『スーパー理数選抜』『スーパー数理』『数理』と、いわゆる“スーパー特進系”のコースを新設しています。これらも、その学校がこれからどこに注力するのかを示すものだと言えます。

 なお、2027年度には兵庫の神戸野田高校が「神戸野田中学校」を新設することが発表されています。こちらの動きにも注目です。

TOPIC 4分岐点を迎えた多様な選抜方式

 国は「①知識・技能(何を知っているか)」「②思考力・判断力・表現力等(知識をどう使うか)」「③学びに向かう力・人間性等(どのように学ぶか)」を学力の三要素として設定しています。このすべてをバランスよく育てるのがわが国の目指す教育ですが、従来の中学受験は①に軸足を置いて受験生を選抜してきました。暗記中心の学力テストで、時間内に何点取れるかというシンプルな評価基準です。

 しかし近年はそれを見直す形で、②や③も考慮しながら総合的に受験生を評価する入試制度が増えてきました。それが『自己推薦型入試』『適性検査型入試』『思考力型・表現力型入試』です。これらの導入は、教科学力だけでは見えにくい優秀な生徒の発掘を可能にすると同時に、それまで中学受験を視野に入れていなかった層の関心を呼び、受験生の裾野を広げることにも寄与しています。

 これらの導入が始まってから数年が経ち、各選抜方式の採用校やその傾向は分岐点を迎えているようです。

●自己推薦型入試

 特に導入校が多いのが『自己推薦型入試』です。2026年度入試での実施校は、60校(前年度56校)。大学の総合型選抜とよく似た選抜方法で、原則として学科試験は課されず、人物評価を中心とするのが特徴です。スポーツや芸術などの習いごと、ボランティア、児童会活動や地域活動、探究活動など、小学校時代に力を入れたことや、その活動の中で得た成長・能力を評価します。先述の学力の三要素で言えば、③が中心となる選抜方式です。

 これまでは、中学受験に臨むために、好きな習いごとを辞めなければいけない子どもたちも多数いました。しかし自己推薦型であれば、自分が好きで打ち込んできたことを武器に、入試にチャレンジできる点が大きな魅力だと言えます。

 当初は「学力試験を課さずに入学させて大丈夫か」という懸念もありましたが、学校側としては「何かに打ち込んで頑張れる子どもであれば、入学後に伸ばせる」という自信があるのでしょう。実際に、自己推薦型入試導入後に廃止した学校がほとんどないことも、一定の成果が得られている証左であると思われます。

 高校授業料無償化によって増加した学力中間層の受験生にとっても相性のよい選抜方式と言えるため、今後も受験生の伸びが見込まれそうです。

●適性検査型入試

 公立中高一貫校(以下、公立一貫)が採用している選抜方式です。「計算力や論理的思考力を生かして解く社会科の問題」といった、教科横断型の総合的な学力が求められます。解にたどり着くまでの過程や理由の解説・記述も求められるため、暗記一辺倒では対応ができません。学力の三要素に拠れば、①と②の要素が強い選抜方式です。

 ただし、ある意味で特殊な出題内容であるため、一般的な中学入試とは対策の内容がまったく異なります。並行して対策を行うのは難しく、公立一貫を希望する受験生は、実質上ここに絞って勉強する必要があります。加えて難易度も非常に高く、結果として「公立一貫を受験して、だめなら地元の公立校へ」という流れが一般的になっていました。

 しかし、せっかく頑張って勉強してきたわけです。そこで、公立一貫の併願チャレンジの場、いわゆる“受け皿”として『適性検査型入試』を導入する私学が登場しました。受験生にとって本命はあくまで公立一貫なのかもしれません。しかし、レベルが高い受験生が多いのは事実ですから、そのうち何人かでも自校に来てくれれば、私学としてもメリットがあります。

 ただし、作問や採点にも非常に手間がかかる入試のため、爆発的な広がりを見せるというよりは、近隣に公立一貫がある学校が採用する傾向にあります。2026年度は15校(前年度16校)が実施しました。

 また、公立一貫の魅力が経済的な面にもあるとすると、高校授業料無償化によってその強みが薄くなる可能性もあります。そうなれば、今後は公立一貫の受験者数や、適性検査型入試の実施数にも影響が出てくるかもしれません。

 実際、開校当初は話題性もあり競争率10倍にもなっていた公立一貫も、ある程度落ち着きを見せ、競争率2~3倍で推移することが多くなっています。つまり「不合格者が減った」ということです。すると“受け皿”の必要性も減ります。良くも悪くも公立一貫校の人気に左右される選抜方式だと言えるでしょう。

●思考力型・表現力型入試

 適性検査型と同じく②が重視されるのが『思考力型入試』です。ただし出題方式は大きく異なります。たとえば身近な社会問題などを取り上げて解決策を考える設問や、グループ討論、プレゼンテーションなどを課す形です。正解がない問題を通して、その思考プロセスを評価します。

 『表現力型入試』では、試験にプログラミングを課して実技や論理的思考力などを問う学校も見られました。

 ただ、共に「一定の正解がない」というのは、魅力であり難しいところでもあるでしょう。考査は評価者(学校)の主観にならざるを得ず、受験生や学習塾は対策が取りにくいのが実情です。そのため、意義や価値は認められながらも、広がりを欠いています。当初は9校あった導入校も、2026年度は大阪の追手門学院、兵庫の武庫川女子大学附属・神戸山手グローバルの3校のみとなりました。

TOPIC 5英語入試は加点方式に移行か

 自己推薦型・適性検査型・思考力型と並んで、新たな選抜方式として定着してきたのが『英語入試』です。小学校での英語必修化や、グローバル教育に力を入れる学校が増えたことなどを背景に、着実に実施校が増加していましたが、2026年度は減し、51校(前年度55校)となりました。

 内容は筆記・英語面接・リスニングなどが中心で、選択科目の一つに設定する学校、必須科目とする学校もあれば、“英語のみ(英語1科)”での受験が可能な学校もあります。レベルも帰国生並みの語学力を求める学校から、英検準拠で4級並みを想定する学校までさまざまです。

 英語入試の魅力は、自己推薦型と似ています。一般的な受験勉強ばかりではなく、キッズ英会話教室など習いごととして頑張ってきたことを、そのまま入試の武器として使えるからです。特に、中学受験の算数は特殊な対策が必要で、塾通いが欠かせないとも言われますが、選択科目として算数の代わりに英語が使えるなら、ますますチャンスが広がります。

 それでも実施校が減少に転じたのは、現状として小学校で学ぶ英語レベルが、学力として測るにはまだ成熟しておらず、作問や選抜において難しさがあったのかもしれません。それならば、英検などの客観的な指標を用いたほうが英語力の実態をつかみやすくなります。実際、英検などの取得級数によって入試の点数に加点をする学校が72校(同67校)となっていることも、その裏づけだと言えそうです。

TOPIC 61科目入試が台頭 得意科目で一点突破も

 中学受験の入試科目は、4科(国算理社)、3科(国算必須で理社から一つ選択)、2科(国算)が一般的です。英語入試の導入により、近年はここに英語を組み込む学校も見られるようになりました。

 一方で、得意な科目一つに絞って受験する「1科入試」も注目を集めています。多くは国語・算数のどちらかを選択するのですが、中には「理科1科」や「英語1科」を採用する学校も。受験生は得意な科目で一点突破をねらえる可能性があり、学校としては受験ハードルを下げつつ、特定科目に秀でた生徒を発掘することができます。

TOPIC 7検定や活動実績で加点 複数回受験も評価

 TOPIC 5の英語入試でも触れたように、英検の取得級数などに応じて試験の点数に加点する学校が増えてきました。英検ではおおむね5級以上が対象となることが多いようです。よりレベルの高い英語力を求める学校は、GTECやTOEFLなどを加点対象とするケースもあります。

 英検以外では、漢検や数検も加点の対象とする学校や、ボランティア活動や文化・芸術・スポーツ活動の公式実績を加点する学校もあります。

 一方、近年猛烈な勢いで増えているのが「複数回受験による加点」です。その名の通り、同じ学校を複数回受験した場合に加点する仕組みで、2026年度は49校(前年度40校)が実施しました。

 加点の基準は「2回以上受験したらプラス10点」「受験回数が増えるほど加点も増える」などさまざま。複数回受験するということは「どうしてもその学校に入りたい」という熱意の表れでもあり、学校としてはその熱意を評価して、入学後の伸びに期待しているということです。

TOPIC 8プレテスト92校が実施

 プレテストを実施する学校は増え続けており、2026年度は92校(前年度91校)。実施回数を増やした学校もありました。会場も時間も本番と同じ条件で体験でき、試験問題の傾向もつかめてフィードバックまでもらえるため、多くの受験生が利用します。中学受験においては、もはや定番となったと言って差し支えないでしょう。

 学校側は受験者数の票読みができるほか、受験生や塾側はプレテスト受験者数から競争率などを予測できるなどのメリットがあります。