中学 受験plus

コロナ禍3年目・2023年度 関西圏中学入試はこう動いた Vol.3
【大阪府・兵庫県】

2023年度の中学入試状況を、府県別に見ていきましょう。
まずは大阪府・兵庫県です。

掲載日:2023/4/20
大阪
受験者数・受験率とも大幅増
関西中学受験界をけん引

初日受験者数は7895人(昨年度7654人)、受験率も11・0%(同10・6%)となった大阪。まさに受験生の“大幅増”と評してよいでしょう。全体的に活況だった今年度の中学受験界の中でも際立った伸びを見せ、その中心的存在となりました。

◆男子校◆ 3校すべてで受験者増 高い人気を維持

大阪府下の男子校3校は、いずれも受験者数増。大阪星光学院が702人(昨年度693人)、清風もすべての入試回次で昨年を上回り1449人(同1340人)、同じく明星も3回の入試すべてで増加し、1205人(同1103人)となりました。3校とも安定した高い人気を維持しています。

◆女子校◆ 受験者数微減もグローバル教育に関心高く

女子校全体で見ると、今年は1472人(同1498人)の微減となりました。

医学部・難関国公立大学への進学に強みを持つ四天王寺は678人(同672人)。競争率も1・52倍と高く、女子の難関進学校として変わらぬポジションを築いています。同じく医進系のコースを擁する大谷ですが、こちらは受験者数減少という結果に。ただ、2 次入試では120人(同81人)と大きく増加しており、併願校として同校にチャレンジしたい受験生が多いことがわかります。
大阪女学院は、33人(同26人)が国際特別入試に挑戦。一般入試でも前期・後期ともに増加しています。
プール学院は初日が95人(同81人)と増加。英語必須入試を含む初日午後の74人(同67人)を筆頭に、全4回の入試すべてで増加という結果になり、さらに競争率も上昇しています。同じく英語入試に注目してみると、金蘭会で9人(同3人)、梅花で18人(同21人)がこれを受験しました。ほか、『関学コース』とともに、昨年コース改編を行った『ヴェルジェコース』の評価も高まっている帝塚山学院では受験者数が減少しましたが競争率に大きな変化はなく、難易度は例年並みとなっています。

全体的に、女子校は英語(グローバル)教育への関心の高さが現れていると言えそうです。

◆共学校◆ 関西大学系列をはじめ、大学附属校人気が続く

受験者数が大幅に増加した大阪ですが、それを支えたのが大学附属校人気だと言えます。なかでも今年度は関西大学系列の躍進に注目が集まりました。また、進学校も安定した高い人気を誇っています。

まず、関西大学中等部は、前期で154人(同112人)と増加しました。特に今年度より2科入試となった後期では272人(同144人)の大幅増。入試科目が減るぶん受験しやすくなるのは、他校も含め今後も受験生が大きく動くポイントになりそうです。関西大学第一も493人(同450人)。特に男子の増加272人(同233人)が目立ちました。関西大学北陽も全入試で増加し、全体で1013人(同924人)。すべての競争率が2倍を超える激しい戦いとなりました。
対して、同じく大学附属校の同志社香里では受験者数が減少。ただ、ここ数年の同校の人気上昇は著しく、昨年の後期入試にいたっては競争率が4・6倍を超えるほどの過熱ぶり。今年度はその反動と見られます。近畿大学附属でも、受験者数は減少。今年は同校のように、大学附属校でありながら他大学への進学にも力を入れる“半附属校”で受験者数の減少が目立った年でもありました。

進学校に目を向けてみましょう。大阪桐蔭は減少しましたが、合格者数をしぼったため、競争率は例年並みです。開明は初日で263人(同231人)、2日目午前・午後でも1176人(同897人)と大きく増加。関西大倉は4回の入試すべて合わせて491人(同393人)と大幅増、特に2回目以降の入試では競争率も高くなり、併願志向の受験生にとっては手強い受験となったようです。
1科入試を取り入れている金蘭千里では、国語1科で78人(同63人)、算数1科で85人(同43人)と大きく増加。常翔学園は受験者数こそ減少も競争率は上昇、昨年度入試よりスタートした『スーパーJコース』への期待感もさらに高まりハイレベルな入試となっています。高槻では初日で607人(同539人)、2日目で1136人(同1013人)と増加、特に初日は女子が286人(同216人)と増加が目立っています。桃山学院は例年並みの落ち着いた入試となりました。
大阪南部の清風南海・帝塚山学院泉ヶ丘・清教学園・初芝富田林に大きな動きはなかったものの、羽衣学園・初芝立命館では大幅増。ほか、受験者増が目立ったのは、上宮学園・追手門学院・大阪青凌・香里ヌヴェール学院・浪速・箕面自由学園など。

今年は例年以上に学校ごとの受験者の増減が大きく、志願者動向がそのまま難易度に影響する入試でもありました。

兵庫
変わらず高い中学受験人気
最難関校への挑戦気運も

初日受験者数は4995人(昨年度4941人)、受験率は昨年度同様10・4%だった兵庫県。もともと中学受験熱の高いエリアですが、その傾向は今年も変わりません。

◆男子校◆ 最難関校へのチャレンジ受験が復活

兵庫県の受験者数増の中核となったのが、最難関男子校へのチャレンジです。コロナの影響もあってか、昨年度は安定志向が働き、最難関校の受験者数が減少しましたが、今年は再び増加に転じました。

全国から受験者が集まる同校ですが、今年は地元関西の受験生が戻ってきました。甲陽学院も366人(同327人)、六甲学院もA・B日程計で577人( 同493人)と、大きく増加しています。甲南は受験者数・競争率とも低下。淳心学院・滝川・報徳学園は専願志向の初日午前の競争率が上昇しています。

◆女子校◆ 1科入試など多様な選抜方式に注目

男子校に比べるとやや元気がなかったのが女子校です。全体の受験者数は985人(同1001人)と、微減となっています。
ただ、チャレンジ傾向の高まりは男子校と同様で、最難関の神戸女学院は250人(同228人)。競争率も1・57倍(同1・48倍)と上昇しました。

神戸海星女子学院は、初日受験者数は例年並みも、合格者数が多かったため競争率は1・17倍(同1・38倍)に落ち着いています。甲南女子は、昨年の大幅増の反動か、今年は減少という結果に。
国語1科入試の新設で話題となった親和は、算数1 科73人を大きく超える114人がこれを受験。文系のイメージが強い大学の系列校であることも、同入試の人気の高さを支えたものと思われます。同じく英語1科入試を採用している松蔭では、2回の英語入試に36人(同35人)が挑戦しました。理系教育にも注力している武庫川女子大学附属のプログラミング入試は、3人が受験しています。

そのほか、神戸山手女子・百合学院が、すべての入試で大きく受験者数を伸ばしました。

◆共学校◆ 三田学園が2年連続大幅増 人気校ゆえの反動も目立つ

ここ数年の人気が過熱して難易度が高まり、今年は敬遠され気味な結果となったのが関西学院です。A日程で237人(同326人)、B日程では280人(同339人)となりましたが、同じ関学系列の啓明学院は、初日で257人(同225人)と増加しているため、相対的な“関学人気”の高さは継続していると言えるでしょう。
神戸学院大学附属は、受験者数は微減したものの、定員の60名は充足。開校以来8年、一度も定員割れを起こしたことがない人気校となっています。

共学の進学校として高い人気を誇る須磨学園は、全体で974人(同1134人)と減少しました。同一法人の夙川も719人(同862人)です。両校とも年を追うごとに入試レベルが上がり、ここ数年は3~4倍超えが続いたため、難関の両校を避け、安全志向で他校を受験した結果と思われます。
三田学園は、全体で881人( 同847人)と昨年度に続き増加。滝川第二も専願志向の強い初日午前・午後の入試で248人(同234人)と増加。雲雀丘学園は初日で258人(同295人)と減少しましたが、同時に合格者数をしぼったため狭き門となり、競争率は2・69倍(同1・97倍)と大きく上昇しています。

そのほか、受験者数増加が目立ったのは、芦屋学園・仁川学院・白陵です。

Copyright © Educational Network Inc. All rights reserved.