中学 受験plus

コロナ禍における受験生の健康管理

長い受験生活を乗り切るためには「健康第一」で過ごすことが大切です。現在はコロナ禍ということもあり、心配ごとが多いですね。受験生の心身を整えるためにするべきことを、小児科医の宮野孝一先生にうかがいました。

掲載日:2021/7/31
宮野孝一 先生

医学博士。医療法人社団 結草会理事長。東京都江戸川区「みやのこどもクリニック」院長。

新型コロナウイルスの
感染予防を心がけた生活を

 新型コロナウイルスに感染した子どもの多くは〝家庭内感染〟で、ほとんどが外で仕事をしている保護者から感染していると言われています。家庭では、家族全員で予防に努めることが大切です。
 外出時はマスクをつけ、外から帰ってきたら「うがい」「手洗い」を徹底し、ウイルスを家の中に持ち込まないようにしましょう。手を洗った後はアルコール消毒をしておくとより安心です。
 もちろん3密(密閉・密集・密接)を避け、備品の共有なども避けるようにしましょう。とくに受験生は学校や塾では、できるだけ私語を慎み、大きな声を出すことは控えるようにしてください。
 受験シーズンになると、「インフルエンザ」と「新型コロナ」の同時流行が起こる可能性もあります。受験が近づいたときはインフルエンザの予防接種も忘れずに受けておきましょう。
 また、新型コロナワクチン(対象:接種日に16歳以上であること)の接種がスタートしていますが、中学入試の時期までに受験家庭の接種が完了しているかは、現時点でははっきりしません。受験家庭ではこれまでどおり、「3密回避」「マスク着用」「換気」「消毒」を行い、何よりも大人が感染しないようにしましょう。

湿度を保ち
換気と消毒も怠りなく

 新型コロナウイルス感染予防のためには「加湿」「換気」をし、こまめに「消毒」を行うなど、室内の環境を整えることも大切です。
 インフルエンザも同様です。乾燥した環境だとウイルスの繁殖力が高くなるので、乾燥する冬場は室内の湿度を保つようにしましょう。加湿器を使う場合は、必ず清潔なものを。手入れをしていないものはカビが繁殖している場合がありますから注意が必要です。
 換気については、頻繁に窓を開けて空気の入れ替えをしましょう。消毒もこまめに行ってください。受験生が勉強する机やドアのノブなど、家族がよく触るところを消毒用アルコールや次亜塩素酸ナトリウムで拭くようにしましょう。

平熱を知り
発熱+症状があれば病院へ

 平熱には個人差があるので、普段から起床したら検温し、平熱を知っておきましょう。平熱より1度以上高い場合は、気をつける必要があります。
 発熱したら、無理をしないことが大切です。子どもは熱があっても元気だったりするので、安静にして水分補給をしてください。元気があれば2日くらいは様子を見てもいいでしょう。ただ、「咳がひどい」「夜寝られない」「嘔吐がある」「苦しそう」など、発熱以外の症状がある場合は、できるだけ早めに受診してください。医師が診察してインフルエンザや新型コロナウイルスの検査が必要になる場合もあります。
 入試直前に発熱したら、インフルエンザの場合は、医師の診断書を持参して別室受験できるケースもあるので学校に相談を。新型コロナウイルスに関しては各学校の判断になると思うので、学校の募集要項や入試情報で対応を確認してください。

生活リズムを整えて
免疫力を高めよう

 免疫力を高めることも、新型コロナウイルスの感染予防につながります。生活リズムを整え、睡眠時間をきちんと確保するようにしましょう。脳は午前中がいちばん活発に動きます。朝からしっかり活動できるように、早寝早起きを心がけてください。
 必要な睡眠時間には個人差があります。子どもに合った睡眠時間を確保し、夜更かしはさせないようにしましょう。夜遅い時間まで勉強するために夜食を食べさせるのはよくありません。
 また、テレビやパソコン、スマートフォンの見過ぎには注意しましょう。目が疲れて集中力が低下してしまいます。同じ姿勢で勉強を続けていると肩凝りを起こすことがあるので、適度な運動も必要です。勉強の合間に、気分転換を兼ねたストレッチをするのも良いでしょう。

食事は栄養バランスの
とれたものを

 食事は免疫力を高めるための大切な要素です。生活リズムを整えるうえでも、1日3食きちんと食べさせるようにしましょう。とくに朝ごはんは抜いたりせず、しっかり食べさせてください。
 食事の献立は栄養バランスを考えて用意しましょう。炭水化物の構成成分である「糖質」は脳の働きを良くするので、受験生にとっては欠かせません。炭水化物では、腹持ちが良いご飯がお勧めです。
 また、「ビタミンB1」も大切な栄養素です。豚肉や大豆製品に多く含まれており、脳や目に良い影響を与えます。さらに青魚(いわし・さば・あじなど)に含まれる「エイコサペンタエン酸(EPA)」や、「ドコサヘキサエン酸(DHA)」は、脳の血流に良い働きをしてくれます。焼き魚と納豆、野菜、ご飯などの和食メニューを多めにしてあげてはいかがでしょう。

花粉症や虫歯などの
持病は早めに対処して

 2~3月は花粉症の症状がひどくなる時期です。2020年・2021年は新型コロナウイルスの影響による自粛期間にあたり、外出を控えていたため症状の軽い人が多かったようです。しかし今後の花粉症シーズンはどうなるかわかりません。例年、症状が重くなる人は前もって薬を処方してもらい、予防しましょう。
 虫歯については、年度初めの歯科検診で虫歯があると診断されたのにまだ治療していない場合は、早めに歯科で処置をしてもらいましょう。放置していると虫歯の悪化が進み、入試当日に痛みが出る可能性もあります。
 歯列矯正をしている場合、違和感があったり、器具の締め付けによってストレスを感じたりしているのであれば、入試前に少し緩めてもらうといいかもしれません。事前に矯正歯科の先生に相談してください。
 そのほか気になる症状がある場合は、早めに医師に相談して不安を取り除いておきましょう。

メンタル面の配慮も大事
気分転換の時間を

 受験生の精神面を安定させるために最も大切なのは、家族とのコミュニケーションです。受験期間はストレスがたまりやすく、友達との関係がうまくいかなくなることもあります。そんな時に保護者との関係まで悪くなってしまっては大変です。できるだけ親子で過ごす時間をとって、気分転換をさせてあげましょう。
 例えば、親子で散歩しながらおしゃべりをするのもいいですね。受験勉強に関する話ではなく、子どもが興味を示すような、気持ちを楽しくさせたり、リラックスさせたりするような話題を出してはいかがでしょう。趣味や将来の話などもいいですね。
 もし、ストレスが理由で「元気がないな」と感じることがあれば、少し勉強を休ませて、保護者と一緒に遊ぶことがあってもいいと思います。例えば釣りなど、保護者の趣味に誘ったり、子どもの得意なスポーツを一緒にしたりすると、気持ちが切り替わるきっかけになるでしょう。
 保護者が受験一辺倒になって、「この学校でなければダメ」「もっと上の学校へ」「とにかく勉強しなさい」などと言っていると、子どもによってはストレスに感じます。子どもの性格は保護者がいちばんわかっているはずですから、子どもに合った対応を心がけましょう。

マスクの種類と
つけ方を再チェック!

 新型コロナウイルス感染予防のため、皆さんマスクをつける生活に慣れていることと思います。この機会に、もう一度マスクの選び方と正しいつけ方を確認しておきましょう。
 お勧めするのは、感染防止効果の高い不織布の使い捨てマスクです。子どもの顔にフィットするサイズのものを選びましょう。プリーツを上下に広げて顔に当て、あごの下まで伸ばします。鼻に当たる針金部分の中心に折り目をつけ、顔に密着させるように装着してください。一度つけたらマスクの表面は触らないようにし、はずす時はひもの部分のみを触るようにしましょう。もちろん、毎日使い捨てにします。布製マスクの場合は、毎日洗濯して使用することが大切です。

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