理事長・麻野博司先生
2025年4月に男女共学校として、新たなスタートを切るヴェリタス城星学園高等学校。共学化の目的について、学校法人城星学園理事長・麻野博司先生は次のように語ります。
「本校は女子修道会『サレジアン・シスターズ』を設立母体とするカトリックミッションスクールとして、人々の幸せのために貢献する“良心的な人間、よき社会人”の育成に尽力してきました。子どもたちの命を力づけていくことが、本校の使命であると考えています。あらためて若い人たちが置かれている社会環境に目を向けると、今後の変化の予測が困難で、『社会を変えていこう』『新たな社会をつくっていこう』という気概や希望を持ちづらい状況にあります。そこで、より多様な人と出会ってさまざまな刺激を受け、ジェンダーの枠を超えた協働の経験を得ることで、不透明な時代を生き抜くタフさを培ってほしいという思いから、共学化に踏み切ったのです」。
共学化に伴い、新たに2つのコースを設置。国公立大学・難関私立大学を目指す『キャリア進学コース』では、認知能力(テスト等で数値化できる能力)はもちろん、社会で活きる非認知能力(数値化できない能力)も向上させることを重視。勉強とクラブや習い事を両立させ、充実した学校生活を送りながら、きめ細かな進路指導のもと進路実現を目指します。
『キャリア探究コース』は、探究心を持ってさまざまな分野を学ぶことで自分に合う進路を目指すコース。基礎学力の定着を図りながら、多彩な体験を通して経験的知識を獲得することで、やりたいことの発見へとつなげます。
多彩な講座から 各自の興味・関心に合わせて選択ができる探究学習『学びの森』。
カリキュラムも一層充実。週4コマの探究学習『学びの森』プロジェクトでは、教員の趣味や得意分野を活かした講座、大学や企業・NPOとの連携講座など幅広い選択肢から、自由に選び学べます。各コースの特徴に合った学びのテーマが用意されており、今後もニーズやトレンドに応じてブラッシュアップしていきます。
また、グローバル教育として、アイルランドでの短期留学制度、4か国での中期・長期留学制度を整備。修学旅行は、イタリア、韓国、八重山諸島・石垣島から選べるようになりました。大阪芸術大学・桃山学院大学と協定を結び、探究学習などにおいて連携して学びを深める仕組みも構築。約650名もの指定校推薦枠のさらなる拡充も推し進めます。
「強化クラブとして男子バスケットボール部を新たに設けました。スイミングスクールを併設しているという強みを活かして水泳部の活動も強化していく予定です。また、保護者の方々の協力も得ながら、ボリューム・栄養とも満点の食事を提供できる仕組みも整えつつあります。すでに丼やサンドイッチの自動販売機を設置していますが、さらなる充実を検討しているので、楽しみにしていてください」(麻野先生)
さらに、生徒会主導で校則の見直しを進め、下校時間を17時半から18時に変更したり、体育委員が体育祭に向けてクラス対抗から3学年縦割りチーム対抗への移行を検討したりと、生徒たちも新しい学校づくりの準備を着々と進めているといいます。
そんな新生ヴェリタスですが、伝統の教育理念は変わりません。
「本校では“ともにいること”を意味するイタリア語“Assistenza(アシステンツァ)”と、“私がやります!”という意味を持つ“Faccio io!(ファッチョ イオ)”という、二つの言葉を大切にしてきました。今後も、一人ひとりの心の動きを把握して必要に応じたサポートをする、質の高い“アシステンツァ”を実践しながら、学びを通して自ら意見を述べ、行動する積極性を育み、人とともに幸せに生き抜いていく力を育んでいきたいと考えています」(麻野先生)
週4コマの探究学習『学びの森』プロジェクトは、答えのない時代に必要な力“好奇心”を育む場でもあります。東京農業大学生物産業学部の協力のもとで地域創生について考える「オホーツク学」、チャリティ文化の育成、飢餓の克服を目指すNPO法人より講師を招いて行う「国際支援のためのソーシャルビジネス探究」など、多様なテーマの講座から興味に沿って選べます。
『オホーツク学』では直接現地を訪問し、他校の生徒と班を組んで取り組むフィールドワークも実施。
希望制の留学制度が整備されています。
アメリカ・ニュージーランド・アイルランド・フィリピンでの3カ月の中期留学では、寮生活や職業体験などを盛り込み一人ひとりの希望に合わせた留学が可能。
10カ月~1年程度の長期留学では、アメリカ・アイルランド・ニュージーランド・オーストラリアの希望に合った学校を選び、受け入れ先の学校の生徒として学びます。
全員参加の修学旅行も、希望すれば海外へ行ける選択制となっています。
短期留学(1~2週間)・中期留学(1タームor3カ月)・長期留学(10カ月~1年)と、生徒一人ひとりに合わせた充実した留学制度が設けられている。
修学旅行は希望のエリア(イタリアor八重山諸島/石垣島or韓国/対馬)を選ぶことができる。
強化クラブとして男子バスケットボール部を新設。男子バスケットボール部・水泳部・剣道部への入部希望者を対象とした運動部特別推薦制度も設けています。
「今後は生徒の要望に耳を傾けながら、幅を広げていければと考えています」(麻野先生)