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進学通信WEB版

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『DXハイスクール』採択!
中長期的視野でデジタルリテラシーを高める

公開日2024/11/22
学校にDXの波 文部科学省も補助金で全面バックアップ
『教育探求部』部長の清水弘和先生

『教育探求部』部長の清水弘和先生

デジタル技術の推進や浸透により、社会や暮らしをより良いものへ変革していく“DX(デジタルトランスフォーメーション)”。主にビジネス界で用いられてきた発想ですが、近年は教育界でもかなり重視されつつあります。
文部科学省の『高等学校DX加速化推進事業』(通称:DXハイスクール)は、その典型でしょう。国としてデジタル分野における人材育成強化を図るため、そうした教育に力を入れている学校に1,000万円の補助金を出すという制度で、令和6年度の採択校として全国から1,010の高校が選ばれました。

その一角をなすのが常翔啓光学園です。同校の教育環境向上を包括的に担う『教育探求部』部長の清水弘和先生は、採択の理由についてこう分析しています。
「本校ではかなり早くから、一人1台のタブレット端末やプロジェクタなどの環境整備を進めてきました。しかし今後は、それらハード面だけでなく、学園内大学(大阪工業大学・摂南大学・広島国際大学)との連携なども積極的に行い、よりソフト面とのバランスが取れた充実を目指したいと考えています。その点が評価されたのではないでしょうか」

DXハイスクール採択に向けて同校が最重視したキーワードが、「(そのDXが)いかに生徒に還元されるか」ということ。学校でこうしたデジタル改革が行われる際、陥りがちなリスクの一つが“手段の目的化”だと言われます。最先端の環境を整えることを意識するあまり、つい「何のためにそれをするのか」が置き去りになってしまうのです。

しかし同校は本質を忘れず、あくまで「ハードとソフトのバランスが取れたよりよい教育」を目指しました。中でも特徴的なのは、「先生方の学び」にも力を入れていること。
「生成AIなどもどんどん教育現場に入ってきています。専門家を招いて勉強会を行うなど、教員のリカレント教育(社会に出てからも学ぶことをやめず、労働などと両立させながら自らの力を高めていくこと)にもきちんと予算を割きたいです」(清水先生)

DXによる社会変革のスピードはまさに“激流”。昨日の常識が明日には通用しなくなるような現代社会において、先生自身も変わり、学び続けられる仕組みを作ることに、きちんとお金をかけて取り組もうとしているのです。

「まずはチャレンジ」という姿勢でDXを推進

もちろん、新たなハード面の整備や学習そのものにおいてもさまざまプランが動き始めています。3Dプリンタの導入、プログラミング講座の開講、大学入学共通テストをにらんだ『情報Ⅰ』授業の充実などを計画中です。さらにデータサイエンス分野の学びや、AI技術と学校行事の連動などの構想もあります。

「社会ニーズもそうですが、やはり本校としても理系人材をしっかり輩出していきたいという考えがあります。DXハイスクール採択によってできることはかなり増えますし、大学との連携など大胆に動いていきたい。ただし、いきなり専門性の高いことを詰め込むのではなく、2~3年のスパンを見ながらトライアル的にいろんなことにチャレンジしたいです」と、意欲をのぞかせる同校。
先進性を持ちながらも、かつ一歩ずつ着実に生徒の学びの利益を最大化していく考えです。

●プログラミング基礎講座

学園内大学である大阪工業大学から講師を招き、コース・学年関係なく参加できるプログラミング講座。
7月に実施された際には、機械学習やデータ処理に強いといわれるプログラミング言語“Python”を用いて、AR(拡張現実)上のモノを動かすゲームを体験した。
希望者のみを対象とした開講だったが30名を超える申し込みがあり、受講後の感想もかなり好評。今後はロボットやドローンの製作・プログラミングにも取り組んでいく予定。

●3Dプリンタの導入

以前より、大学に訪問し、3Dプリンタで義肢を作って動かしてみるなどの体験学習には取り組んでいたが、DXハイスクール採択によって、学校内に3Dプリンタが設置できるように。
本格的な運用はこれからだが、文化系のクラブ活動で造形物を作ってみるなど、先生も含めて「まずは使ってみよう(最先端の技術に触れてみよう)」というところからスタート。
今後はCADの講習なども取り入れる予定。

●『情報』授業の充実

2025年の大学入学共通テストから入試科目に追加される『情報Ⅰ』。
現時点で過去問が存在せず、確実な対策ができないなかで、いかに高校の授業で基礎的な力を身に付けられるかがカギとなる。
同校では正課の授業の中でしっかり受験対策を盛り込みつつ、数学など関連性の強い他教科との連携も行いながらサポートしていく。
よりハイレベルな『情報Ⅱ』の実施については努力目標ながら、希望者を対象に特別講座などで対応することを想定。

●生成AIなどの活用

世の中を大きく変えつつある生成AI。これを学校で運用するには、基礎リテラシーの習得を含め『情報』の授業だけでカバーしていくのはカリキュラム編成上も難しい。
そこで、学校行事などとも連動してこれらを活用していくアプローチを考えている。
たとえば修学旅行や文化祭でAIを使った動画制作にチャレンジするなど、創作活動の一環として位置付けるプラン。
授業での本格運用はまだこれから。
「そのためにもDXハイスクールのリソースをうまく活用して、教員の指導技術も高めていきたいです」

●“学びの質”そのものの進化

「電子黒板やタブレット端末、デジタル教科書などはすでにあります。DXハイスクールをステップに、今後はこれらをもっと活用して授業を進化させたいですね。学びのデジタルにおけるメリットの一つは、時間や場所の制約を受けにくいこと。学校という場所を飛び越えて生徒たちが活躍できる環境を作りたいです」
さまざまな講習群を設けて文理を横断した学びの場を深めたり、(学校DX化で先を行く)台湾の高校と交流を深め、相互に生徒を送り合えるような体制を作ったりする考えだ。
「学習の個別最適化はもちろんのこと、生徒も教員も学び続ける学校にしていきます」

常翔啓光学園中学校・高等学校

〒573-1197
大阪府枚方市禁野本町1-13-21
072-848-0521
大阪府 共学