
多様なバックグラウンドを持つネイティブ講師と交流し、授業だけでは得られない体験をと、小林聖心女子学院が中1夏に実施する『English IntensiveProgram』。生徒の「もっと異文化を知りたい」という気持ちと、豊富なアウトプットの機会で「英語で伝える力」を育てる、特別な3日間の魅力を紹介します。

英語科・高橋良子先生
かねてより英語教育や国際交流プログラムに高い定評があり、さまざまな取り組みを実践してきた小林聖心女子学院。2022年度から導入したのが、7年(中1)の夏に行われる『English Intensive Program(以下、EIP)』です。
「語学力そのものも大事ですが、まずはコミュニケーションへの意欲や主体性を育てたいですね。本校では文法を踏まえながら、できるだけ“実際の場面に近い”状況を取り入れた活動的な授業づくりを進め、課外授業でワークショップの機会を何十年も前から設けています。その内容は長い歴史の中で少しずつ変化し、発展してきました。そして“英語を話す人のうち、第2言語として話す人が8割を超える今の時代にふさわしい体験をさせたい”という願いから取り組みの幅を広げ、現在はネイティブ講師を招いたワークショップ型の形式へと進化しています」 と、経緯を話すのは英語科・高橋良子先生。
プログラムは7月16日~18日の3日間で実施。ネイティブ講師の出身国や、互いの文化の違いなどについて学ぶ「Small World Tour」、日常生活を英語で表現する「Daily Routines」、英会話トレーニングの「ActiveSpeaking」、3日間の集大成としてグループ発表を行う「Presentation」で構成されます。

最大の特徴は、多彩なバックグラウンドを持つ講師陣です。毎年、アメリカ・アジア・ヨーロッパ・アフリカからさまざまな出身国の講師が約10名来校し、生徒は各国の生きた英語に触れることができます。しかも講師全員が専門のトレーニングを受けた英語指導の有資格者で、日本人の生徒の特性を理解し、最初はゲームや自己紹介などのアイスブレイクで緊張をほぐしてくれます。
また、講師1名に対して生徒8~9名という少人数指導だからこそ自然に打ち解けることができ、別れ際には涙ぐむ生徒の姿も見られるほど。毎年参加してくれる常連の講師もおり、温かな交流が築かれていることがうかがえます。
授業は原則としてオールイングリッシュのため、入学したばかりの中1生にとっては挑戦にも思えます。しかしそこで重要視するのは「伝えようとする姿勢」です。
「生徒たちが社会に出たときに出会うのは“教科書どおりの英語”ではなく、多様な背景を持つ人々の“生きた英語”。そう考えたとき、EIPで得られる経験は、普段の授業にはない価値があると考えています。さまざまな出身国の先生方からどのような話を聞き、どう思ったのか。自分は何を尋ね、何と答えたのか。ツールとしての英語スキルの向上も大事ですが、実は話す中身が最も大切であることにも気づいてもらいたいですね」 (高橋先生)

中1のFYさん(左)とYMさん(右)。講習後に授与される修了証書を手に、達成感のある表情。
そのようなかけがえのない学びを通して、生徒たちの変化は目を見張るものがあるようです。
「人前で話すことが得意ではないので、プレゼンが不安でしたが、発表が終わった後にみんなが拍手してくれて自信が持てました。英語は苦手でしたが意識が変わり、もっと外国の人と触れ合いたいと思うようになりました」(中1・YMさん)
「英語が完璧に理解できていなくても、一生けんめいに伝えたら理解してくれるのがうれしかったです。受講後は、自分の英語力が向上した実感があるので、来年参加する生徒たちも積極的に話したほうがいいと思います」(中1・FYさん)
ほかにも「海外留学やボランティア活動に興味を持った」「字幕や吹き替えなしで外国の映画を鑑賞できるようになりたいと思った」など意欲的な声が上がっており、多くの生徒たちが〝新しい世界〟との出会いを果たしたようです。
グローバル社会では、多様な文化背景を持つ人々と協働する力が求められます。EIPでの経験は、英語のスキルだけでなく、相手に敬意を払い、互いを理解しようとする姿勢を育ててくれるはず。それはまさに、同校の根底にあるカトリック教育が大切にしてきた精神とも響き合うものだと言えます。EIPは単なる英語の講座ではなく、生徒一人ひとりが“世界とつながる力”を育む、特別なプログラムなのです。

講師の出身国ごとにブースを用意し、生徒たちは各ブースをめぐりながら、その国の文化や風習について話を聞いたり、日本との比較を行ったりする「Small World Tour」。「そうなんだ!」「知らなかった!」という新たな発見の連続で話が盛り上がり、時間をオーバーしてしまうことも。その名が示すとおり、まさに「小さな世界旅行」。教室の中で海外の人や異文化に触れることができる、生徒たちからも特に人気のプログラム。

「毎朝起きてから、まず何をする?」「それを英語で言ってみよう」など、日常生活の汎用的な英語表現を体験する「DailyRoutines」では、絵と文章で自分のルーティンを英語で発表。「Active Speaking 」は、グループあるいは1対2、1対1で、自分のことを伝え、相手の話を聞くことを中心にした英会話レッスン。豊富なアウトプットの機会で、コミュニケーション力、表現力に自信をつけ、最終日の「Presentation」に備える。
3日間の講座の集大成として、グループごとに実施する「Presentation」。もちろん発表や質疑応答はすべて英語。テーマは「日本の食文化」について。その食べ物の特徴や歴史などを調べてまとめ、ポスターセッション方式で紹介する。この日も、おでんやすきやき、年越しそば、鰻重など、日本らしい食文化の発表がずらり。ネイティブ講師からは「それはどんなときに食べるの?」「特にあなたが好きなお正月のメニューは?」など、活発に質問が飛んでいた。