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中学 受験plus

受験者数・受験率ともに大幅増!2025年度・ 関西圏の中学入試はこうなった! Vol.1

猛威をふるった新型コロナウイルスも落ち着きを見せ、大阪府では高校の授業料無償化がスタート。
こうした動きが中学受験市場にどのような影響を与えるか注目された2025年度入試。
蓋を開けてみると、受験者数・受験率ともに大きく上昇し、「大盛況」と言える結果になりました。
※掲載データは弊社アンケートに基づいています。(2025年2月8日時点)

掲載日:2025/4/26
受験者増は300人を超え
2024年度から大幅増

 近畿2府4県における2025年度私立中学入試の受験者数(統一入試解禁日初日の午前入試)は17655人、前年度比で306人の増加となりました。この「306」という数値は、市場として見ると極めて明るい材料だと言えるでしょう。仮に1学年が100名規模の中学校があったとして、それが一気に3校も増えるのと同等の意味を持つ数だからです。
 実は2023年度にも、前年度比308人増を記録したことがありました。ただしこのときは、コロナ禍の影響をダイレクトに受けて減少傾向を見せた、2022年度の反動ではないかともいわれました。そのため「この数値は本物か」と試される年になったのが2024年度です。しかし、その不安を一蹴するかのように受験者数は22人増の17349人となり、高止まりの傾向を示しました。加えて2025年度はそこからさらに306人増ですから、コロナ禍以降の関西圏中学入試は、非常に勢いがある状態だと言えます。

受験率も大きく上昇過去最高の10.6%!

 そもそも、国全体の少子化傾向が進む中で受験者数が増えるということは、中学入試そのものがより一般化してきたという意味でもあります。小6児童数全体に占める受験者数の割合を示す「受験率」は10.6%で、前年度から0.4ポイント増。「小6生の10人に1人は中学受験をする」という状況です。近年の受験率は、2014年度の8.7%を皮切りにほぼ右肩上がりの傾向にありました。唯一の低下となったのが、コロナの直撃を受けた2021年度入試で9.7%。それでも2020年度からはわずか0.1ポイント減です。翌2022年度から再び上昇に転じて0.1~0.2ポイントずつ増え続けていましたが、ここにきて一気に0.4ポイントの増加という結果に。記録では、2007年度入試の10.4%が過去最高でしたが、ついにそれを更新したということになります。受験者数・受験率ともに、極めて盛況となりました。

高校授業料無償化の影響か
中学受験は一般的な選択肢に

 その要因となるものは多岐に分かれますが、おそらく強い影響を与えると予測されていたのが大阪府による高校の授業料無償化です。コロナ禍での迅速なICTの整備・オンライン授業への移行や、大学受験等への手厚い対応、設備面の充実など以前から高く評価されていた私学教育ですが、やはり家庭にとって壁となるのは学費の問題です。それが高校授業料無償化により、実質的に中学校の3年間だけでも学費の見通しが立てば、中高6年間を私学に通わせることが可能になります。公立中学校に通いながら高校受験のために塾通いをする費用を思えば、高校受験がない私立中高一貫校を選ぶのもありではないかという、合理的な判断をする家庭も多かったことでしょう。

 いわゆる超難関校や人気校は、常に安定した受験者数が見込まれるものです。しかしこの無償化により、中堅校や、有名ではなくとも独自の魅力的な教育に取り組んでいる私学にも注目が集まるようになるでしょう。かつてのような「中学受験は一部の優等生だけのもの」という価値観は変わり、単に大学進学実績や偏差値だけで学校選びをするのではなく、「よりわが子に合った教育環境を」と考える層が流入してくるはずです。

 詳細は後述しますが、実際に2025年度の中学入試データを見ると、大阪府は受験者数・受験率とも大幅の伸びを示していました。タワーマンションの建設ラッシュで高所得者層の流入が多かったことも一因だとする分析もありますが、高校無償化を導入していない他府県と比べて桁違いの増加幅を見せていることからも、やはり無償化の影響は大きいと思われます。

 一般的に中学受験は、小4頃から意識し始める家庭が多いと言われます。そして、大阪府の高校授業料無償化が2024年度からのスタートです。そこから逆算すると、2年後くらいにはさらに数値的な上昇を示しているかもしれません。また政治的な面では、大阪府や東京都以外でも高校授業料無償化に向けた動きが見られており、これが実現すれば、全国的に中学受験熱はより高まっていくことでしょう。

午後入試の実施はほぼ定着
初日と2日目で決まる傾向

 受験者数・受験率の算出は、基本的に初日午前入試における数値がベースとなります。一方で近年は、「午後入試」もかなり定着してきました。午前と午後に異なる学校をダブルヘッダーで受験するスタイルで、ほとんどの受験生が初日と2日目のそれぞれ午前・午後、計4回の入試スケジュールの中で受験戦略を立てます。3日目以降に入試日を設定する学校ももちろんありますが、実質上、初日と2日目でその年の動向や大勢はほぼ決まっていると言っても過言ではありません。

 そのような中で午後入試の受験者数に目を向けてみると、初日が10965人で前年度から508人増、2日目が7862人で364人増。初日午後受験率(午前入試を受験した人数のうち、午後入試も受験した人数の割合)は2府4県の平均で62.1%と、こちらも高い水準を示しています。早く入試を終わらせて進路を確定させたい受験生側と、経営的側面からも早めに入学者を確保したい学校側の思惑が一致した形でしょう。入試全体の〝早期決着化〟が現在のスタンダードです。

 

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