私立中高進学通信
2025年特別号
中1の始め方
千葉日本大学第一中学校
中学3年間で育む「自ら動く力」
非認知能力の育成を軸にした学びと成長
道徳の授業『Being』の発表風景。
クラス全員で対話を重ねながら目標を設定し、その成果を各クラスの代表が発表します。
千葉日本大学第一の校訓は「真・健・和」。
まっすぐな心で真理を追求し、心身ともに健やかで、自分と他者を尊重しながら協働する精神を養うことをめざしています。
「それを実現するうえでは、特に中学時代に育まれる力が非常に重要」と話す中1学年主任の山形浩之先生にお話を伺いました。
個々の非認知能力を伸ばす
行動指標を設定
中1学年主任・山形 浩之先生山形先生はこれまで高3の進路指導に長年携わり、2025年度からは中1学年主任を務めています。
「大学受験に必要な力は、高校からでもある程度は身につきます。でも、最終的に生徒自身が大きく成長するには、自学の習慣や主体的に行動する力、自制心といった“非認知能力”が欠かせない―そう痛感する場面が、高校の進路指導を通して何度もありました。
非認知能力は、学習面だけでなく、委員会や部活動、さらには大学や社会に出てからの良好な人間関係にも直結する力です。だからこそ、心が柔軟な中学生の時期にこそ、しっかりと育てたい」
そんな思いを胸に、現在はさまざまな取り組みを進めています。その一つが、校訓「真・健・和」を日常に落とし込む“行動指針”の導入です。
「抽象的な理念を、生徒自身が“自分ごと”として捉えられるよう、行動指針に具体化しました。9つの非認知能力の項目と、それに紐づく“行動指標”(※)をまとめて『生活管理ノート』に貼り、常に目に触れるようにしています」
さらに、探究学習や道徳の授業である『Being』、行事などの活動では、あらかじめ「今回はこの項目を意識して取り組もう」と伝え、終了後にはリフレクション(振り返り)を実施。
「このサイクルを3年間くり返すことで、生徒たちは徐々に校訓の意味を自分の行動と結びつけて実感できるようになっていきます。時間をかけて、じっくり育てていくことが大切だと考えています」
※行動指標…『非認知能力を伸ばす実践アイデアブック』中山芳一・田中麻衣・德留宏紀/著(東京書籍)を元に作成
非認知能力を育てる授業『Being』と
探究活動のステップアップ
「自分の考えを言葉にし、他者と共有する機会があってこそ、自己認識・他者理解・コミュニケーション力といった非認知能力の土台が育ちます」
そうした考えからスタートしたのが、道徳の授業『Being』です。
中1では入学直後の授業4回で「自制心」「自尊心」「敬意・尊重」「相互理解」の4つの行動指針に取り組み、クラスごとに目標を設定。グループ活動や発表を重ねる中で、「自分もクラスの一員として関わっている」という実感を持てるような環境を整えています。
「こうした経験が、日々の授業にも良い影響をもたらしていると感じます」
また、総合学習では探究の5プロセスを重視。中1では「自分の好きなこと」について探究し、文化祭での発表を目指します。さらに、この取り組みは学年が進むごとに発展。中2では「学校内の困りごとを自分たちで解決する」テーマに挑戦し、中3では「地域の課題に目を向け、自分たちにできることを考える」活動へとステップアップしていきます。
「段階的に、視点を“自分・クラス→学校→地域”と広げることで、生徒たちの主体性を自然に育んでいきたいと考えています」
「諦めさせない」「やり切らせる」支援で
自信と学習習慣を育てる
めざすのは「自ら考え、動き、関わることのできる生徒」。そのために、「困ったときには安心して頼れる」「気持ちが尊重される」雰囲気づくりにも力を入れています。
「万が一、生徒が困難を抱えるときのために、学年内の情報共有は密に行い、必要に応じてスクールカウンセラーや保護者と連携できる体制も整えています」
学習面では、「できるようになるまでとことん支える」ことを徹底。例えば週に5〜6回行われる「小テスト」は、“千葉日名物”とも呼ばれる伝統となっており、合格するまで追試があり、教員も「何としても合格させて帰す」という思いで寄り添っています。そして「やるべきことを終えるまでは部活動に参加できない」というルールも、学びの意味を“自らの気づき”へつなげるための仕掛けです。
「最初は『やらざるを得ない』でも、やがて『やればできる』に変わっていく。この実感が、内発的な学びのスイッチになるのです」
学習内容の定着だけでなく、「ノートの取り方」や「学び方そのもの」にもていねいに寄り添いながら、着実に力をつけていきます。
山形先生が担当する国語科では、週5回の『朝読書』や、文章の読み取りや要約に取り組む週1回の『よむよむワークシート』など、読む力を育てるための継続的な取り組みも実施しています。
「地道な積み重ねですが、継続していくうちに読む力の向上を生徒自身が実感できるようになります」
このように同校では、生活面・学習面の両面から「諦めさせない」「最後までやり切らせる」ことを軸に指導を行い、生徒一人ひとりが互いを尊重しながら自分のペースで成長していける環境を整えています。


生徒全員が自らの意見をもち、共有し合う『Being』の授業。
その姿勢が、主体性の芽を育てています。


一日の終わりのホームルームは、生徒が順番に進行役を務めます。
生活管理ノートを使って日々を振り返ることで、自身の行動や思考を見つめ直す習慣が育まれます。
こうした積み重ねが、非認知能力の向上へとつながっています。
道徳の授業『Being』で使用するリフレクションシート。写真は、生徒が実際に記入した振り返りの一例です。学習(総合学習や道徳『Being』、LHRなど)や学校行事に向けて、身につけたい非認知能力を明示(Mindset)をしたうえで活動(Learning)に取り組み、終了後にはReflectionシートを活用して、その振り返り(Reflection)を行うことで、生徒個々のメタ認知能力を高めていきます。
千葉日本大学第一中学校
〒274-0063 千葉県船橋市習志野台8-34-1
TEL:047-466-5155
進学通信掲載情報
年度別アーカイブ
- 2025年度
- 2024年度
- 2023年度
- 2022年度
- 2021年度
