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私立中高進学通信

2024年特別号

私学だからできるオリジナル教育

東京電機大学中学校

自らの学んだことを言語化し、発表
主体的に学びチームで取り組む金融経済教育

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の本社で、役員を含めた関係者に向けてプレゼンテーションをする生徒たち。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の本社で、役員を含めた関係者に向けてプレゼンテーションをする生徒たち。

 2015年より金融経済教育に取り組んできた同校。2023年度からは三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社と連携協定を結び、金融経済に関する知識習得に留まらず、よりよく生きていくことについて主体的に考える力を育成する探究学習の充実を図っています。

自分の夢を
実現するための学び
池田巧先生(社会科・入試広報室)池田巧先生
(社会科・入試広報室)

 同校は『人間らしく生きる』を校訓とし、視野の広さ、冒険心、専門性、共感力、向上心からなる『5つの力』を重視した教育活動を展開しています。企業との連携による金融経済教育についてもそうした教育活動を背景とし、生徒が主体的に学びチームで取り組む探究学習を重視したプログラムを展開しています。
「本校の金融経済教育プログラムは、単に金融のノウハウを学ぶだけではなく、表現力やチームワーク、そしてアントレプレナーシップを学ぶ貴重な機会として位置づけています。高校2年生を対象とした金融経済教育は三菱UFJモルガン・スタンレー証券との連携授業です。「株の力」と呼ばれる全5回のプログラムを通じて、資産運用だけでなく、生徒たちが自分の夢を実現するための学びとして、お金や社会のしくみについて深く考えることを大切にしています。
 本校は理系の学生が多く、将来学んで得た知識や経験、技術を起業という形で具現化させたい生徒も少なくありません。その際に、株式を活用して資金を集める方法を知っていれば資金不足を理由に起業をストップさせる必要はなくなるかもしれません。
 金融経済教育の授業は以下の3つのステップで展開されています。まず、企業の専門家を本校に招いて行う講義形式の授業。続いて、クラス内でのチームごとのプレゼン。株の力を伝える新聞広告を用いるものですが、伝わるプレゼンを行うために、キャッチコピーからビジュアルを考え、どう伝えるかを検討する試行錯誤を繰り返しました。クラスでの選抜を勝ち取った2チームが、本校の代表として本社プレゼンに参加するのが3つ目のステップです。
 このプロセスを通じて、生徒たちは自ら学んだことを言語化し、発表を経てアウトプットの伴った機会を得て成長しています。クラス代表に選ばれた生徒たちは、証券会社の本社でプレゼンテーションを行い、こうした経験は彼らのキャリア形成においても大きな影響を与えています。また連携する学校同士での交流を通じて、新たな視点やアイデアが生まれる場としても機能しています」(池田巧先生)

証券会社の本社を訪れ
プレゼンテーションを実施

 金融経済教育の集大成として、2023年に証券会社の本社でプレゼンテーションを行った2チームのうち、女子生徒5名によるメンバーは、本社でのプレゼンを次のように振り返ります。

Sさん(高3)Sさん(高3)

「株の力を理解するために行った、クラス内でチームを組み各自どう投資してもらうかというプログラムでは、女子だけの私たちのチームに投資してくれる生徒はいませんでした。テーマを練り直しても同じ結果でした。この現象が、理系の起業家に女性が少ないという日本社会の現実と重なりました。東京電機大学中学校・高等学校は男女の仲が良く、日頃不平等を感じることは全くありません。だからこそ、こうした社会問題の複雑さを実感し、身近な問題として取り組んでいきたいと考えました。
 私たちは『性別や年齢に関係なく、希望すれば誰もが起業に挑戦できるような世の中をつくりたい』という方針を固め、そのメッセージが伝わるプレゼンを行うために、キャッチコピーからビジュアルを考えることに取り組みました。
 本社のプレゼンは、会社の社員さんたちの雰囲気が良く、皆さんは穏やかで程よい緊張感のなかで発表ができました。また第一線で活躍する社会人の、前向きで明るい雰囲気に触れ、こんなふうに働いてみたいと思いました。
 私たちのチームは、一人ひとりの異なる得意分野を活かして、一つの作品を作り上げることができました。目標は同じでも人によって考えるプロセスや進め方は異なり、どんなことを感じてどう考えるのかもやはり違ってきます。今後は今回の活動で学んだことや気持ちを忘れずに、男女の違いを認め合いながら、だれもが起業で同じスタートを切れるような社会をつくるために貢献したいです」(Sさん)

Wさん(高3)Wさん(高3)

「企業へのプレゼンに向けて、図書館でビジネス書などを読んで参考にし、何度も練習しました。本に書いてあったビジネスマナーを真に受け過ぎて、私が社会人のように背伸びして挨拶をすると、その様子がよほど面白かったのか会社の人からわっと笑いが起きました。それから私自身がリラックスでき、和やかな雰囲気のなかで発表できました。企業の役員の方と聞いていたので、威圧的な人ではないかと構えてしまいましたが、みなさんとても親しみやすく物腰もやわらかくて、素敵な人たちでした。
 私たちのグループが心がけたのは、起業と株主のどちらかの立場になって考えるのではなく、常に中立的な視点を持つこと。そして、男女平等です。ポスターには、そうした思いを込めました。そのため、『独自の視点が盛り込まれている点が素晴らしい』という言葉をいただいたときは、『思いが伝わった』と感じとてもうれしかったです。
 私はこれまで経済や株に興味を持てずにいたのですが、みんなの熱意に引っ張られてどんどん積極的になったように思います。それが目に見える形で結果として残ったことは、本当に嬉しかったです」(Wさん)

Oさん(高3)Oさん(高3)

「金融経済教育というと、ギャンブルのような株式投資など極端なイメージしかなかったのですが、高校生起業家の事例などさまざまなことを学び、金融と経済をとても身近に感じるようになりました。
 プレゼンでは、デザイン面でチームに貢献しました。私たちの伝えたいメッセージが伝わるようなオリジナルのデザインを意識し、男女の壁をなくしたいということから中性的な人物を中心に描き、明るい未来を想起させるようなイメージにしたいと工夫しました。
 当日、私は事情があって海外からオンラインで参加しました。トラブルなくタイミングを合わせられるよう、何度もリハーサルをしました。チームでの活動を通して、報告・連絡・相談や情報共有がとても大切だと実感しました。ポスターのデザインに関して、自分が作りたいものを自分のペースで進めるのではなく、メンバーとイメージが合っているかどうかを擦り合わせながら進めていきました。情報を共有するタイミングや、どんなことを確認すればいいのかなど、そうしたことを読み取るスキルが身についたと思います」(Oさん)

Kさん(高3)Kさん(高3)

「金融経済教育は取り組んでみると、非常に自由度が高い授業で、さまざまな経験を積むことができました。授業で株の知識を学んだ際に、『株はギャンブルではない』と理解できた瞬間はとても印象に残っています。
 本社プレゼンに向けた準備では、Oさんが描いた絵をデジタル技術にて加工することを担当しました。グループのメッセージに合わせて、全体的に彩度を上げ、明るくパッと目を引く印象に残るような色合いにしました。
 当日、本社は巨大な高層ビルの高層階にあり、慣れないオフィスにドキドキしました。社員の皆さんは厳しいビジネスマンを想像していましたが、気さくでとてもやさしかったです。金融業界というと男性の多いイメージでしたが、新入社員には女性もいらっしゃったので安心しました。
 私たちのチームは皆が一つひとつ納得しながら形にしていったからこそ、良い発表ができたのだと思います。チームではメンバー全員が納得する決め方で物事を進めていくことが大切だと思いました」(Kさん)

Hさん(高3)Hさん(高3)

「金融経済教育の授業は、教科書に書いてあるようなことを学ぶのではありません。金融を通して社会における企業の役割などを学び、社会人として自分のことを考えるきっかけとなりました。
 私たちのチームは日頃から絆が強く、お互いのことをよく理解しています。このメンバーとアイデアを出し合い、意見交換をしながら一つの目標に向かっていくことは、とても楽しかったです。このチームで取り組めたからこそ、プレゼンテーションも勇気をもって楽しく取り組めたのだと思います。
 本社訪問した際には、実際にお金の取引が行われている現場(ディーリングルーム)も見学しました。何億円という莫大な金額のお金がやり取りされていることを知り、とても驚きました。プレゼンは緊張しましたが、何度も原稿を読み、繰り返し練習してきたことが功を奏し、ミスなく満足のいく取り組みができました。今回の発表で終わらず、社会に出てからも、伝えるために努力を惜しまないよう何事にも取り組んでいけたらと思っています」(Hさん)

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の本社にて、同校代表チームと社員のみなさんと一緒に記念撮影。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の本社にて、同校代表チームと社員のみなさんと一緒に記念撮影。
講義形式で行われた「株の力」の授業の様子。講義形式で行われた「株の力」の授業の様子。

生徒が自ら問題意識を感じ取り
それを形にして伝えたプレゼンテーション

 彼女たちは「ジェンダー・ギャップ」を自分たちの問題として捉え、取り組んだことが素晴らしかったです。自ら問題を感じ取り、それに対するアウトプットを形にする感性も見事です。今回インタビューに答えてくれたグループだけでなく、他のグループにも優れた点がたくさんあり、私も発表を聞いて学びになることが数多くありました。生徒たちはそれぞれが問題意識を持ち、自らの作品として表現している点が際立っていました。

 また、次の行動を起こそうとする姿勢にも期待しています。本校では女性の起業家を招く取り組みを2学期に行う予定で、そうした機会にも彼女たちを支援できればと思います。「楽しかった」で終わらせるのではなく、大学での学びや社会での目標につなげたいと話してくれたことも、とても嬉しく、誇らしい生徒たちです。(池田先生)

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