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私立中高進学通信

2023年特別号

実践報告私学の授業

東京電機大学中学校

好奇心を満たす学びで
「人間らしく生きる」力を育てる

中学教頭の磧谷和樹先生が担当する、中1・理科の授業風景の写真です。

中学教頭の磧谷和樹先生が担当する、中1・理科の授業風景。

東京電機大学の系列校である同校は、全体の約4割が理系教員という、理系学部出身の先生がたくさんいる環境が特徴の一つです。「見て・触って・やってみる」を大切にする同校の理科教育について、中学教頭で理科を担当する 磧谷 せきや 和樹先生の授業を取材し、お話を伺いました。

実践・観察に重点をおき
自然科学本来の楽しさを伝える
インタビューに応える中学教頭で理科担当の磧谷和樹先生の写真です。中学教頭で理科担当の磧谷和樹先生。

 生徒たちが自分の生きる道を決め、豊かで幸せな人生を送るために必要な資質・能力として、「視野の広さ」「冒険心」「専門性」「共感力」「向上心」という5つの力を重視する東京電機大学中学校・高等学校(通称:TDU)。これらの力の育成に向け、見て・触って・やってみる「理科教育」、伝えたいことをより正確に発信するための「情報教育」、課題発見型授業で解決能力を育てる「探究」といった特色ある学びを展開しています。

 理科教育においては、公式や計算式を丸暗記するのではなく、実験・観察を重視。中高6年間で行う実践・観察の種類は100以上、「理科実験室」や「科学演示室」などの理科専用教室は5つあり、実験は2名の教職員によるチーム・ティーチングで行うことで、「もっと学びたい」という一人ひとりの興味・関心を引き出していきます。

「特に中学では身近な事物・現象をよく観察し考えることを基本方針に、観察・実験を重点的に行っています。中学受験を経て入学してくる生徒の多くは、教科書や参考書に書かれている現象の知識は有していますが、理科そのものの楽しさ・面白さとは、実際に見て・触って・やってみるところにあるのです。簡単そうに思えた実験に失敗して『どうすればいい?』と考えたり、標本を手に取っていろいろな角度から観察して新しい気づきを得たりする機会を数多く提供し、自然科学本来の楽しさを伝えていきます。
 実験のチーム・ティーチング体制は、かつて東京電機大学の夜間部に通う学生たちが、本校で補助員をしていた頃から続いてきました。生徒が興味をもつポイントは一人ひとり異なるので、個々の疑問にその場で答え、好奇心の芽を見逃さないようにできることが、チーム・ティーチングのメリットです。また、実験の準備をサポートしてもらえるので、多くの実験を実施することも可能になります」

理科専用教室の写真です。多くの実験授業を行えるように、5つもの理科専用教室が設置されています。
科学演示室の写真です。実験室のほか、教員が実験を演示して見せる科学演示室もあります。
物理分野は実験道具を
作るところからスタート

「物理の専任教員が5人、理科全体で11人もの専任教員がいるため、いろいろなことが相談でき、理科教員としても恵まれた環境だと思います」

 そう磧谷先生が話すように、同校には各分野での高い専門知識をもった教員がいます。そんな同校ならではのオリジナル教材が豊富なところも特徴の一つです。

 物理分野では、まず実験用具を作るところからスタート。中学生は1人につき1つ自分の『実験BOX』を持ち、手作りした実験用具や試料を保管しています。自分のアイデアで工夫をし、実験用具を改良する生徒もいるそうです。

「本校オリジナルの実験用具は、材料の加工からできる限り教員が手作りし、生徒が自らの手で完成させるものです。実験用具をいい加減に作ったり、乱暴に扱ったりして壊してしまうと実験もうまくいかないので、実験用具の仕組みから理解してていねいに作り上げ、大切に使用していきます。自分で加工しているため、作り直しや修理も可能です。手作りした道具に愛着をもつことで、ものを大切にする習慣も育んでほしいと思います」

実験に取り組んでいる学生を撮影した写真です。取材したこの日、別の教室でも中学生が実験に取り組んでいました。
理科室のバックヤードを撮影した写真です。オリジナル教材が豊富にあるのも同校ならでは。材料の調達から加工まで手がけているため、理科室のバックヤードもこの充実ぶり。ものづくりへのこだわりを感じます。
好奇心を満たす学びが
知識を深める原動力となる

 磧谷先生は教頭という立場から、同校の教育について次のように話します。

「本校では理科のみならず全ての教科・科目において、生徒自身の『面白い』『もっと調べてみたい』という好奇心を満たす学びに力を注いでいます。どの授業でも教員が教える部分は最低限にして、その場で湧いてきた疑問や生徒の声をできるだけ拾い上げ、皆で考えながら学び合うことで、知識を深めていくのです。
 私は理科の担当ですので、もちろん理科を好きになってほしいですし、一人でも多くものづくりに関わって社会に貢献してくれたら、こんなにうれしいことはありません。
 しかし、中高時代はどんな科目・分野もまんべんなく学んで、視野を広げてほしいと思います。授業・部活動・行事・芸術……いろいろな取り組みの中で、好奇心のタネは生徒の数だけあり、それに出会えた時に、自ずと学ぶ姿勢が芽生えていくからです」

 同校の校訓「人間らしく生きる」は、「人間だけが、自らの夢の実現に向かって向上心を持ち続け、その努力を続けることができる」「向上心を持ち続け、積極的に生きてこそ“人間”である」ことを意味します。

 自らの興味・関心を、仲間や教員と一緒にとことん追求していける環境のなかで、「人間らしく生きる」生徒の育成に力を注ぐ同校。今回の取材を通じて、好奇心を満たす学びに生徒たちがイキイキと取り組んでいる様子を実感できました。

1人1台の顕微鏡を使って、全員がイキイキと観察に取り組む様子の写真です。

1人1台の顕微鏡を使って、全員がイキイキと観察に取り組む様子が印象的です。
「グループで実験・観察を行う時も、ほかのメンバーに任せるのではなく、自分で頭を使い、
手を動かして、全員が当事者意識をもって取り組めるようにしています」と磧谷先生。

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