私立中高進学通信
2024年特別号
2024年特別号
学習院女子中等科
仲間と共にさまざまな経験をし、成長する
『総合定期戦』実行委員会の役員たち
筑波大学附属高等学校、学習院高等科、学習院女子高等科の3校による『総合定期戦』は、2024年に第73回を迎えました。
例年6月に、筑波大学附属高等学校、学習院高等科、学習院女子高等科の3校による運動部の対抗戦、総合定期戦が行われます。2024年6月1日(土)に実施された第73回総合定期戦では、学習院女子が幹事校として3校の取りまとめを担い、学習院女子の校内で多くの競技が行われました。第73回総合定期戦実行委員会の委員長Aさん・副委員長Bさん・会計責任者Cさん、の高3の3人にお話を聞きました。
大きな責任感をもって
由緒ある伝統行事を運営
総合定期戦は、各校の歴史と伝統を守りながら、スポーツを通じて親睦を深める由緒ある行事です。実行委員長のAさんは「その運営に責任を感じ、最善の方法を模索しながら準備を進め、貴重な経験を積みました」と振り返ります。
「昨年12月に各校の役員が集まって行う第1回目の三役会が開催されました。そこから本番まで、毎月のように話し合いの場がありました。会議の進行や原案の立ち上げは、今年度の統括校である私たちの役割でした。また、各校の部活動、応援団、チアリーディング、ブラスバンドに対する予算調査や主将アンケートなど、さまざまな参加団体との調整も私たちが担当しました。
私は実行委員長として準備や運営を行い、さらにバドミントン部の部長として競技にも出場するため、特に競技団体の取りまとめに力を入れて取り組んできました。その負担や責任は重く大変だと感じることもありましたが、常に前向きでいようと心がけました。結果として、良い定期戦を実現できたことは大きな自信となりました」(委員長・Aさん)
そんな実行委員長Aさんにとって大きな支えとなったのが、副委員長のBさんと会計責任者のCさんです。
「私は中等科から委員会活動を始めており、その活動から多くのことを学びました。その経験を活かして貢献できるのではないか、自分の取り組み方次第でさらに成長できるのではないかと考え、運営に関わることを決めました」(副委員長・Bさん)
「私は中等科2年生の時に委員会に所属し、高等科の先輩の指導を受けて会計を担当するようになりました。定期戦では多くの団体が関わるため、予算の作成に苦労しました。予算決定時には、それぞれが納得できるようにその金額の理由や根拠を説明し、わかりやすく柔軟な対応を心がけました。会計の仕事は大会後も続き、各団体からの領収書などを確認し、次の三役会で発表するため、引き続き努力していきたいと思います」(会計責任者・Cさん)
3人はこれまでも各種の実行委員として、校内のさまざまな取り組みや総合定期戦の運営に関わってきました。その絆と経験を活かされ、素晴らしい総合定期戦が実現しました。
協力し合って一つの目標に向かう
中高で培ったコミュニケーション力
総合定期戦には多くの団体が関わりますが、そこで役立ったのは学習院女子で培ったコミュニケーション力だと3人は口をそろえて話します。特に副委員長のBさんは、3校の統括役員と現場の部員を繋ぐ中間管理職のような立場で、コミュニケーションの重要性を実感したそうです。
「誰がどんな役割を担うのか、細部まで含めて全体を把握し、物事が順調に進むように意識しました。多くの情報が飛び交うなかで、それらを整理し誤解のないよう全体に伝えるため、クラウドなどのツールも活用しました。ただ、そうしたデジタルツールだけではなく、細かいところまで連絡が行き渡っているか、アナログというか声を掛け合って確認して、抜け漏れのないようにもしました。これまでの先輩たちの取り組みをノウハウとして参考にしつつ、細部にも配慮してコミュニケーションの取り方も工夫しました。同じ内容でも相手によって受け取り方が異なってくることもあります。そうした相手に合わせて正確に情報が伝わるように伝え方を考え、ツールを使い分けることで情報伝達の確実性を高めました。
学習院女子では、授業などでグループ発表が多く、協力し話し合って一つの目標に向かう機会が多くあります。そうした経験のなかで、『この場面では、こう伝えた方が伝わりやすい』など、状況や相手に合わせたコミュニケーションの方法を学びました。自分の意見を伝えるためには、単に自分が主張するだけではなく、伝え方も大切です。こうして学んだことが、今回の取り組みにとても役立ちました」
そう振り返る副委員長のBさんの言葉に、委員長Aさん、会計責任者Cさんも大きくうなずきました。
困難を乗り越えて手に入れた
大きな感動と成長
開会式は同校のグラウンドで行われる予定でしたが、開催前日の午後2時に雨の予報を受けて、総合体育館に変更となりました。それに伴う各種準備は時間とのたたかいもあり、とても困難を極めたそうです。やがて開会から競技実施・閉会式まですべてを無事終えたときに感じた手応えを、3人は次のように話します。
「閉会式が終わり、他校の実行委員やこれまで一緒に準備をしてきたメンバーと会話しながら片付けをしました。その時、日常の風景に戻っていくグラウンドを見て、『みんなの力で非日常の空間をつくり上げたんだ』という実感とともに、大きな達成感が込み上げてきました。
仕事を自分でやる方が早いし楽だと思うこともありましたが、委員長として感じたのは、分業することの重要性です。その方が終わった時の達成感や感動がより大きく、皆で力を合わせることの重要性やありがたみを改めて実感しました。リーダーシップとは、一部の幹の意見を通すことではなく、みんなの声を聴き、全員の意見を汲み取ることが大切なのだと学びました」(委員長・Aさん)
「大学受験に向けた焦りを抑えながら準備を進めるのは簡単ではありませんでした。それでも無事に終わり、『とても楽しかった』『ありがとう』という多くの声を聞いて、『やり遂げてよかった』と心から嬉しく感じました。こうした声は、私の次の目標への新たなモチベーションになっています」(副委員長・Bさん)
「当日、ブラスバンドの代表として閉会式に参加しました。会計として裏方の仕事をこなしつつ、ブラスバンドの演奏で皆を応援できたことは、とてもやりがいがあり楽しかったです。また、普段接することのない他校の生徒と交流できたことも新鮮で、心に残る経験となりました」(会計責任者・Cさん)
興味・関心が明確になり
自分の強みを伸ばしていける学校
実行委員会の取り組みを含め、3人は学習院女子の学校生活を通して得られたものを次のように振り返ります。
「この学校では幅広い教養と豊かな学びの機会が提供されています。例えば高1から第二外国語としてフランス語とドイツ語を選択でき、私は週に4回フランス語を学んできました。こうした多彩な学びの中で、自分の興味や関心のある分野を明確にし、目標を定めることができる環境が整っています。自分の強みやアイデンティティを築いていける学校だと感じています」(委員長・Aさん)
「皆が自分の意見をしっかり持ち、それを表現する力を備えています。同時に、他者の意見を受け入れる柔軟性も持っていることが、この学校で学んだ生徒たちの強みだと感じています。多くの発表の機会を通じてお互いに刺激し合い、成長し、そのプロセスを経て生徒たちは、さまざまな力を着実に伸ばしています」(副委員長・Bさん)
「学校には一生懸命で努力できる人が多く、その姿勢に触発されて『自分も頑張ろう』という気持ちになります。自分の言葉に責任を持ち、信念を貫く姿があり、その信頼を陰から支えたくなり、応援したくなるのです。
また、この学校には部活動とは別にさまざまな活動があり、私はオーケストラに参加しています。今回の行事では男子部の生徒と共に練習し、演奏に取り組みました。このように多彩な活動が行われ、個々に合った活躍の場や交流の機会が提供されていることも、この学校の素晴らしいところだと感じます」(会計責任者・Cさん)
人を思いやる心や誠実さ、
美しい言葉遣いにも感心させられます
高橋和希先生
「選手として出場する生徒も、それを応援する生徒も、運営に携わる生徒も、皆がなみなみならぬ思いで取り組んできたことがわかり、この行事の重みを感じています。
実行委員の皆さんは、常に誠実に行動してきたと思います。開会式が予定通りに行えなかった時も最初は悔しさがあったと思いますが、すぐに立ち直り前向きに対応したその姿勢は本当に見事です。
委員長のAさんは前面に立ち、皆を引っ張っていくのですが、常に他者への気遣いを忘れず、他の生徒に対して思いやりを示す姿勢が素晴らしいと感じています。副委員長のBさんは、本校の生徒の芯の強さを体現していると感じています。信念を貫き、どんな困難にも屈しない姿勢が立派です。会計責任者のCさんは細やかな確認を欠かさず行ってくれる、非常に信頼できる存在です。
私はこの学校に来てまだ年月が浅く、今回の取り組みを通じて私も本当に多くのことを学ばせてもらいました。また、日頃から生徒たちの言葉遣いや表現力の豊かさ、そしてそれらを含めた立ち居振る舞いの美しさに感心させられることが多くあります。実行委員の皆さんは、本校の中高6年間で培った力を見事に体現しており、その姿を誇りに感じます」
学習院女子中等科
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