私立中高進学通信
2023年特別号
私学だからできるオリジナル教育
学習院女子中等科
『親と子で学ぶライフサイクル講座』で
6年間の成長と課題をサポート
『親と子で学ぶライフサイクル講座』の一環として、高等科2年の保護者を対象に行われた講座
『親子で考えるストレスマネージメント』の様子。講師は同校の専任カウンセラーです。
生徒に対して行ったストレスに関するセルフチェックの結果を踏まえて、
高2ならではの課題とその対処法を確認していきます。
子どもとの関わり方についてのアドバイスもあり、
保護者はメモをとりながら講義に熱心に聞き入りました。
学習院女子では、生徒の幸せで充実した6年間を家庭と学校でともに見守り、支えていくための取り組みとして、中1から高3まで『親と子で学ぶライフサイクル講座』を行っています。教頭の長沼容子先生と専任カウンセラーの中川真由美先生に、同講座についてお話を伺いました。
生徒の伸びやかな成長を想い
学校で作り上げた6年間のプログラム
教頭の長沼容子先生。「ライフサイクル講座は、中高6年間を安心した環境のなかで過ごしてほしいという想いで作り上げてきました」学習院女子中・高等科では、設立当初から「その時代に生きる女性にふさわしい品性と知性を身につけること」を掲げ、全人格的な陶冶を教育方針としています。その実現に向け、知識の習得だけに偏らない特色ある授業や、生徒の自主性が尊重される委員会・部活動・行事などの魅力的な教育環境を用意しています。
その環境を最大限に活かし、生徒一人ひとりの学校生活がより充実することを願い、さまざまな取り組みを実施しています。校内にはカウンセリングルームが設置されており、臨床心理士の資格を有するカウンセラーが生徒や保護者の相談にあたるほか、中高6年一貫のプログラム『親と子で学ぶライフサイクル講座』(以下、ライフサイクル講座)を実施していることも大きな特徴です。
「ライフサイクル講座は、生徒の成長はもちろんのこと、保護者も親として成長し、お子さんを支えていけるよう、本校が作り上げてきた6年間のプログラムです。授業という枠組みを越えて、親子一緒に、あるいは生徒だけ、親だけ、とテーマにより対象を設定し、学年ごとの成長とその課題について心理学的・医学的な観点から学んでいきます。
中1は、新しい環境での生活に適応していくなかで、友人関係が大きな課題になります。5月には生徒を対象とした講座を設け、『誰だって、学校で楽しく過ごす権利をもっている』ということを学びます。
中2になると委員会や部活動では後輩ができ、学校内での役割も広がることから、エゴグラム(性格検査)を通じて自分の特質を知り、アサーション(※)・トレーニングを導入した適切なコミュニケーション法を学びます。
顕著な身体の成長が見られる中等科では、健康について専門家から学ぶ講座も用意しています。養護教諭から思春期の心と身体とダイエットの危険性について、また、産婦人科医からは女性ホルモンとの付き合い方や子宮頸がんワクチンの必要性などについて、それぞれ学びます。
高等科生になると、親子関係が難しくなることも増えてきます。特に高2以降は学校行事や部活動でリーダーを任されるなど責任や役割が重くなり、さらに勉強面での負担や進路の悩みも大きくなります。そこで高1のうちから、この時期のお子さんとの向き合い方について講座を実施するなど、保護者の皆さんに対するケアにも力を入れていきます。
生徒に対してはストレス・マネジメントを中心に、学校生活や勉強面でのストレスを乗り越えていくための指導を行います。高3では卒業後のライフスキルとしても役立つリラクゼーション法を学び、経験豊富な医師による講演を聴き、いのちについて考える機会をもちます」(長沼先生)
※アサーション……相手を尊重しつつ、自分の意見を主張するコミュニケーション方法。
現在の6年一貫のプログラムの前身となる第1回目の講座
『母娘関係を考えるー思春期の娘と思秋期の母の紡ぐ物語が、よりハッピーになるためにー』が開催されたのは2006年のこと。
ライフサイクル講座は、それから20年近く続いている取り組みです。(写真は、当初の講座内容をまとめた冊子)
カウンセラーとしての経験と
心理学の知見から生徒と保護者を支える
専任カウンセラーの中川真由美先生。併設の学習院女子大学のカウンセラーも兼任しています。「充実した大学生活を送るうえでも、中高時代にライフサイクル講座に取り組むことの重要性を痛感しています」 「中高の6年間は、子どもから大人へと成長する大切な時期でもあり、さまざまな悩みを抱えやすい年頃です。もちろん時代の変化とともに変わっていく部分もありますが、心理学においては発達段階によって課題があると考えます。
漠然としたスローガンや、根拠があいまいな精神論を示しても生徒たちは納得しません。失敗した時に自分を責めてしまったり、自分のことがわからずに悩んだり、相手のことがわからなくて不安になってしまったり……さまざまなトラブルに対して、科学的アプローチとして心理学を用いることが、解決の糸口になるのです。
生徒たちには講座を聴講して心理学の知識を学ぶだけではなく、具体的にどのように行動をすればいいのかを示すことも大切にしています。
例えば中1・5月のライフサイクル講座では、友達づくりで心がけたいことやいじめを知った時にどのように行動すればいいのかを学びました。そして、その内容を『大事な約束』という生徒手帳サイズのカードにして配布しました。
また、今回の高2を対象とした講座では、『コーピング・スキル』(ストレスに対応するスキル)を生徒に学んでもらい、それと合わせて保護者の皆さんには『褒める』『適正な距離をとる』『信じる』といったポイントに絞って、今だからこそできることをアドバイスさせていただきました。
これからも、カウンセリング室を訪れる生徒たちの実態に合わせ、生徒も保護者もサポートしていきたいと考えています」(中川先生)
「凜として社会に在る人間」へと成長していく思春期のわが子を、安心してあずけることのできる学校。そんな印象を抱きました。
ライフサイクル講座は現場の先生とカウンセラーの協力体制のもとに成り立っています。
「ライフサイクル講座は、臨床心理士としての専門的知見と、専任カウンセラーとして長年にわたり
生徒と向き合ってきた中川先生の経験があってこそのプログラムです」と長沼先生。
学習院女子中等科
〒162-8656 東京都新宿区戸山3-20-1
TEL:03-3203-1901
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