私立中高進学通信
2023年特別号
未来を切り拓くグローバル教育
東京成徳大学深谷中学校
中学の全学年が参加し、共通のテーマに取り組む
『イングリッシュキャンプ』

2023年『イングリッシュ・キャンプ』のテーマはSDGsです。
最終日にはチームに分かれてプレゼンテーションも行いました。
東京成徳大学深谷中学校では夏休み中の3日間、オールイングリッシュでさまざまな課題に取り組む『イングリッシュキャンプ』を実施しています。イングリッシュキャンプの企画・運営を担当するハウズ・スティーブン先生にお話を伺いました。
充実した英語の授業や日常英会話
日々の積み重ねで実践的英語力を育成
東京成徳大学深谷中学校では、グローバル社会をしなやかに生き抜き、未来の課題へと果敢に挑めるよう、6年間という期間を活かした実践的英語力の育成に力を注いでいます。
中2までに英検3級以上の取得をめざし、英語4技能をバランスよく育成できるように基礎を充実させるなど、各段階で明確な目標を定めることで確実に英語力を育成。通常授業のほかにも、同校オリジナルの教材を用いて楽しく学びながら英語力をアップさせていくプログラムや、CLIL(※)を導入したディスカッションやプレゼンテーションが中心の授業があり、放課後や休み時間などに英語でコミュニケーションが図れる環境も充実。また、中3の3学期には、希望者を対象にニュージランドで3カ月間にわたる学期留学も実施しています。
そして英語教育の一環として、中学の3学年全員が参加する『イングリッシュキャンプ』を独自に展開していることが大きな特色です。
※CLIL……Content and Language Integrated Learningの略称。 教科科目やテーマの学習と外国語の学習を組み合わせた学習法のこと。
イングリッシュキャンプの
バラエティに富んだ3日間
英語科教員が企画・準備などの全てを手がけ、生徒のために作り上げているというイングリッシュキャンプについて、プログラム主催者のハウズ・スティーブン先生は次のように話します。
「イングリッシュキャンプでは英語漬けの3日間を過ごし、リスニングやスピーキングといった授業のみならず、ゲームや音楽、スポーツなども取り入れることで、全ての生徒が楽しみながら英語への興味・関心を高められるように工夫しています。
ただし、イングリッシュキャンプは、に英語力の向上だけを目的とするプログラムではありません。
毎年テーマを設けていることで、異なる文化に触れたり、視野が広がる喜びや楽しさを味わったりもできます。また、最終日にはテーマに関連するスピーチやスキット(寸劇)を行い、学んだ成果を発表しています。他学年の生徒と力を合わせて英語でコミュニケーションをとりながら一つの課題に一緒に取り組むことも、イングリッシュキャンプの醍醐味です。
一つの目標に向かってともに活動する経験を通じて、人間関係の大切さや、組織の中で自分の役割を果たすことの重要性なども学んでほしいと考え、プログラムを練っています」(ハウズ・スティーブン先生)




イングリッシュキャンプを通して
学年の異なる生徒同士が交流
小学生時代から英語に親しんできた経験から、高い英語力を有しているAさん(中3)とHさん(中2)。両名はイングリッシュキャンプを次のように振り返ります。
「毎年テーマが異なるので、さまざまな分野に触れることができ、視野が広がります。今年はSDGsをテーマにクリーンエネルギーについて学びましたが、昨年はオーストラリアの伝統文化に触れ、小さなドットを使ってさまざまな事象を表現するアボリジナルアートに魅了されました。
またイングリッシュキャンプの3日間は楽しい雰囲気にあふれています。そのため普段の英語の授業と違い、全員が身構えることなく自然な感じで英語を話していて、アイデアや意見をシェアできたことがとてもうれしかったです。
最終日のパフォーマンスに向けて、英語のスクリプト(台本)を確認したり、発音をチェックしたりすることがチーム内での役割でした。自分の得意な分野を活かしてチームに貢献できたことがとてもうれしかったです」(Aさん)
「最も印象に残っているのは、昨年のイングリッシュキャンプで、ハウズ先生がオーストラリアで教えていた生徒さんとオンラインで交流したことです。オーストラリアの伝統楽器を紹介してもらい、初めて聞いた音色がとても新鮮でした。
イングリッシュキャンプを通して、日頃あまり接点のない後輩・先輩たちと交流でき、3日間で人と意思疎通する力がついたと感じています。英語・日本語に関係なく、普段話したことがない人と話すには勇気が必要でしたが、自分にできることは何かと考え、行動するように心がけました。チームで一緒に活動するうちにだんだんと打ち解けていき、コミュニケーション面で少し成長できたように感じています」(Hさん)

お話を伺ったハウズ先生とAさん(中3)・Hさん(中2)。
イングリッシュキャンプが実施された『集会室』にて。
3人は日頃から英語でコミュニケーションをとっているそうです。
グループワークによって
生徒個々にそれぞれの成長をもたらす
学年や英語の習熟度に関わらず中学生全員が参加するイングリッシュキャンプは、生徒一人ひとりに、それぞれの成長を促す場になっています。
「英語力や人間力の向上などイングリッシュキャンプにはさまざまな目的がありますが、このプログラムでは生徒全員に『楽しい!』と感じてもらうことを大切にしています。
英語の習熟度や興味・関心は生徒によって異なるため、オールイングリッシュでは全ての内容を理解できないというケースも出てしまいますが、それ自体は重要ではありません。
例えば、英語がうまく話せない生徒なら臆せず英語を話し自信を身につける、英語が得意な生徒なら英語を使って世界の出来事や社会的課題に関心を広げていく、というように、一人ひとりが自分なりの挑戦を通して成長できる場にしたいと考えています。
何よりも、ここで学んだことがきっかけとなって『英語がわかると楽しい』『英語をもっと学びたい』と感じたり、テーマについて『もっと知りたい』『もっと調べてみたい』という気持ちが芽生えたりすることが肝心です。
そのような気持ちこそが、大学受験に留まらない国際社会で通用する実践的な英語力を育むことにつながると、確信しています」(ハウズ先生)




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