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私立中高進学通信

2021年特別号

インタビュー&メッセージ

北鎌倉女子学園中学校

型にはめず、生徒がもつ素質を最大限に伸ばす

北鎌倉女子学園学園長の柳沢幸雄先生。1947年生まれ。東京大学名誉教授、前開成中学校・高等学校校長。東京大学工学部化学工学科卒業。民間企業勤務の後、東京大学大学院工学系研究科化学工学専攻修士・博士課程修了。ハーバード大学公衆衛生大学院教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授を務める。『男の子を伸ばす母親が10歳までにしていること』(朝日新聞出版)、『子どもに勉強は教えるな』(中央公論新社)など教育論に関する著書多数。

北鎌倉女子学園学園長の柳沢幸雄先生。1947年生まれ。東京大学名誉教授、前開成中学校・高等学校校長。
東京大学工学部化学工学科卒業。民間企業勤務の後、東京大学大学院工学系研究科化学工学専攻修士・博士課程修了。
ハーバード大学公衆衛生大学院教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授を務める。
『男の子を伸ばす母親が10歳までにしていること』(朝日新聞出版)、
『子どもに勉強は教えるな』(中央公論新社)など教育論に関する著書多数。

 中高一貫の男子校である開成中学校・高等学校の校長から、2020年度に女子校である北鎌倉女子学園中学校高等学校の学園長に就任された柳沢幸雄先生に、同校の教育理念や男女別学の中高一貫校の利点などをお聞きしました。

――北鎌倉女子学園の教育の特徴は何でしょうか。

 本校の学園長に就任して感じたのは、この学校では、教員が生徒をていねいに扱っているということでした。全教員が生徒の話を実に親身になって、さえぎることなく聞いて対応しています。そのような姿勢が形になって現れているのが、職員室の構造です。本校の職員室にはドアがなく、中央に廊下があり、そこを生徒が通ると、教員が何をしているかがすぐにわかります。教員と目が合い、質問があればすぐに話ができるなど、物理的にも精神的にも教員と生徒の距離が近く、生徒から教員に何でも相談できる雰囲気に満ちています。

 以前の本校には良妻賢母を育てる学校というイメージがあったと思いますが、現在は伝統的なものと新しいものを融合させることにより「生徒の素質を最大限に花開かせること」を最大の目標にしています。礼法など、古きよき教育方法を残しつつ、英語教育やICTといった新しい手法を組み合わせています。

――英語教育はどのように行われていますか。

 よく「4技能をバランスよく伸ばす」と言われますが、どうやってバランスよく伸ばすかが求められます。本校では、英語に対する心のハードルを下げることを心がけています。英会話、ヒアリングなどと言われると、どうしても身構えてしまいますが、身構えないように遊びの中で英語を使う環境をつくっています。イングリッシュルームという施設で放課後、生徒はネイティブの教員とゲームを楽しみます。ネイティブ教員は英語しか話しませんが、生徒たちはゲームに夢中になっているので身構えることなくリラックスして英語を話し、そして少し英語が話せるようになると面白さを感じるようになります。このようにして、生徒の英語に対するハードルを下げているのです。

 また、中3でのニュージーランドへのターム留学や、高1・高2でのポートランド語学研修などがあり、希望に応じて海外で過ごし、英語に触れることができます(新型コロナウイルス感染症の影響で2020年度は休止)。

――ICTはどのように活用していますか。

 全員に1台ずつタブレット端末を支給しています。

 ICTにはいろいろなメリットがありますが、最大の利点は教員の時間の効率化です。たとえば、教員から保護者に伝達事項がある場合、紙で知らせるとなると、それを作成してプリントし、生徒に渡します。また、すべての保護者に伝わったかを確認しなければならないので、思った以上に多くの労力を費やします。しかし、ICTを利用すれば短時間で確実に伝達でき、そのおかげで浮いた時間を生徒への対応に使うことができます。

 2つ目に、生徒の個々の学力に応じた適切な対応が可能になります。私は、生徒の社会性を養うためには40~50人の集団をつくることが望ましいと思っていますが、知育の面から言うと、その規模では全員の学力の育成に対応することはなかなか困難です。しかし、ICTを活用することで、生徒は授業の振り返りをしやすくなり、教員も生徒個々の質問に対応しやすくなります。また、みんなの前で自分の意見を言うのが苦手というシャイな生徒も、タブレット端末を介して発言できます。知育の面で、少人数学級のように対応できるのです。

 リモート授業への活用は、重要度で言うと3番目のメリットでしょう。本校はコロナ禍以前からICTを導入していたので、リモート授業などにも比較的スムーズに対応できました。

――アクティブラーニングにもICTが有効とのことですが…。

 教員が教壇で一方的に話をしてこと足れりとするのは、教員の自己満足にすぎません。大切なのは、知識が生徒にどれだけ定着するかということです。知識を定着させるには、生徒が自ら発信することが大切です。

 本校の授業では、教員が出した課題を生徒がディスカッションし、まとめ、ほかの生徒にプレゼンテーションさせるようにしています。発信するためには、頭に入ってきたものを理解し、言葉の配列を考えなければなりません。アクティブラーニングは「能動学習」と訳されますが、私は「“脳”動学習」であると捉えています。いかに脳を使って発信させるかが必要であり、ICTはそれに適したツールだと思います。

 その一方で、昔ながらに手を動かす活動も大切で、それら両方を取り入れたハイブリッド型の授業を展開しています。

――学園長として、生徒をどのように育成したいとお考えでしょうか。

 先ほども言ったように、「生徒の素質を最大限に花開かせること」が重要です。学校が決めた方針に生徒を合わせるのではなく、それぞれの生徒がいちばん伸びそうなところを見極めて伸ばしていくということです。

 生徒に限らず、小さい子どもや会社の部下にもあてはまることですが、まず提案を受け止めること、拒否や否定をしないことが大切です。そして、少し足して返してあげること。「ここをちょっと変えるともっといいかもしれないね」と返すのです。すると相手は、自分が受け入れられているという自己肯定感が高まります。本校では、以前から教員がそのように接していますし、生徒同士の接し方も同様です。そうした環境で生徒はストレスや疎外感を抱くことなく、楽しそうに過ごしています。

――別学校や中高一貫校のよさはどのような点でしょうか。

 大人の社会が男女平等であることはまちがいありませんが、生物学的には男女間に差があります。特に心身が成熟していく中高生という期間は、それが顕著に表れる時期です。たとえば共学校ですと、どうしても女子は重いものを持たないといった傾向になりがちです。また、部活動で、男子部のマネージャーを女子がするのに、女子部のマネージャーを男子がすることはまずないでしょう。これらの例では、共学校でかえって男女の不平等が助長されていることになります。男女別学の学校にはそういったことはなく、それぞれの性がもつポテンシャルを最大限に発揮することができるのです。

 中高一貫校は現在、その重要性を増していると思います。昔は地域の集団を、年齢差のある子どもたちが構成しており、自然とその集団のルールをつくっていました。子どもたちはそこで人とのつき合い方などを経験し、社会性を身につけていきました。現在はそういうことがほとんどなくなってしまい、年齢差がある人と接する機会が減っています。中学と高校が別で、高校受験への対応を考えると、必要な経験を積むことが難しいでしょう。中高一貫校では、部活動などを通して年齢に差のある人たちとも接し、多くのことを学べるのです。

――どんな生徒に志望してほしいですか。

 自分が好きなことをもっている子、おぼろげでもやりたいことがある子に志望してほしいですね。年齢に応じて、花屋さんだったりケーキ屋さんだったり、変わっても構いません。本校では生徒の素質を最大限に伸ばすことを大前提にしているので、うまくマッチングするはずです。保護者の方も安心して預けていただけるでしょう。

アジサイの花が美しく咲く道で。

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