私立中高進学通信
2021年特別号
熱中! 部活動
巣鴨中学校
「今できる形で発表を」
巣園祭で知る文化部の取り組み

正門を入ってすぐのところに、美術班が製作したパネルが飾られていました。
2年ぶりの開催となる今年の巣園祭(文化祭)のテーマは「IGNITION」。コロナ禍においても心の火を絶やさないという意志が込められています。それぞれが今できる形を模索し、展示や発表の場を実現。そのなかで、茶道班、書道班、化学班を見学しました。各班の活動日は1週間で3日が基本。兼部しやすい環境となっている点が特徴です。
茶道班
茶道班は心が落ち着く第二の家
例年の巣園祭ではお茶会を催してきた茶道班ですが、今年は班員のアイデアで、お茶席の途中の様子を展示することに。室内で配布された用紙には、千利休が残した茶道に対する想い「和敬清寂」の説明や、茶道班の活動内容、お茶会に参加するときの注意点が書かれていました。
「茶道班は創設から6年ほどの新しい班です。僕が中1で入ったときは創設直後で班員も少なかったのですが、徐々に数を増やしてきました」と説明してくれたのは班長の蓮見剛さん(高2)。お母さまが茶道をたしなんでいて抹茶に親しみをもっていたことから、「入ってみよう」と思ったそうです。「いろいろな道具が出てくるのに、使用した道具が無駄な動きなく、いつの間にか片付けられているお点前の流れに驚きました」と当時を振り返ってくれました。
同校では、高1の夏と冬に2時間ずつ、家庭科集中授業で茶道に触れる機会があります。茶道班員は、その際にお点前を披露するのが恒例です。
「同級生に『おー!』と言ってもらえたのがうれしかったですね。過去の文化祭で、知らない方からお点前を褒めてもらえたときもうれしかったです」(蓮見さん)
活動日は週に3回ですが、事前に連絡をしておけば、休みを取りやすい雰囲気なのだそう。ほかの班と活動日が重なってしまった場合にも融通を利かせやすいため、兼部している班員も多くいます。
茶道に触れてみて良かったことについて、蓮見さんは「おもてなしの心が身についた気がします」と語ります。また、「心を落ち着かせられるのも、茶道の魅力です。課題や授業で落ち込んだときも、お点前をすることで気持ちが整い、スーッと芯が通る気がします。無駄なものを落とせる、いい時間が過ごせますよ」とも教えてくれました。茶席を通して、先輩・後輩の距離も縮まっていくそうです。茶道班は、班員たちにとって第二の家のような存在となっています。

中1で入班したときは学年で蓮見さん1人だった班員も、高2となった今では同学年が7人に。





■活動日 | 水・木・土 |
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■活動時間 | 最終下校時刻まで |
■部員数 | 中1・5人 中2・4人 中3・2人 高2・7人 |
書道班
きれいな字は一生ものの財産です
書道班では活動する曜日を固定せず、1週間のうち最低2回というペースで練習に励んでいます。班員ごとに活動曜日の調整が可能なこともあり、他班と掛け持ちしている班員も多いそうです。先輩・後輩の上下関係はほぼなく、優しく和やかな雰囲気が書道班の持ち味。先生も優しく、「こうすればもっと良くなる」といった指導を行っています。
入班前の書道経験は小学校の授業で触れた程度という班員が多く、班長の齋藤幸平さん(高2)もそのうちの一人です。「展示されていた先生の作品に憧れを抱き、こんなふうに書いてみたいと入班を決めました」と入班の動機を話してくれました。先生の添削や先輩部員からのアドバイスを受けて実力を伸ばした結果、中1の頃に憧れたような作品を手掛けられるまでになった齋藤さん。今年の文化祭に出品した作品「本阿弥切(ほんあみぎれ)」は、12枚の料紙に細やかな文字を書き連ねた大作で、学校が選出する「高等学校長賞」にも選ばれました。例年であれば合宿で集中して書き上げられたのですが、今年は学校でコツコツ仕上げたそうで、「そのような状況のなか、集大成の作品が賞に選ばれてうれしい」と感想を聞かせてくれました。先輩のなかには、高校生の書の大作の展覧会「全国高校大作書道展」に出品している人もおり、最近では齋藤さんの1学年上・2学年上の先輩が受賞しました。地道な努力が成長につながる様子がうかがえます。
書道班の魅力について、齋藤さんは「中学からでも、練習すれば字は上手くなります。僕も元は字が下手で、書道班に入ってから上達しました。きれいな字が書けるに越したことはないので、それだけでも入班して良かったと思っています。字が下手だと思っている人にも、ぜひ気軽に入ってきてほしいです」と語ってくれました。






「今年は合宿ができませんでしたが、集大成となる作品を仕上げられて良かったです」
■活動日 | 週2日(先生と調整し、曜日は各班員が決定) |
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■活動時間 | 最終下校時刻まで |
■部員数 | 中学生19人 高校生10人 |
化学班
「やってみたい」を尊重し、実験に取り組む
白衣姿の班員たちが出迎えてくれた化学班。例年の巣園祭であれば化学室での実験披露がメインでしたが、今年は現地とオンライン、双方の良さを活かす方法を採用。オンラインでは班員たちが自作した実験実況動画が見られます。「実験の様子が見られないと物足りないかなと思い、アイデアを出し合いました。動画作成は初めてだったので、特に実況動画を作るのが難しかったですね。YouTuberの大変さが身に染みました。巣園祭を通じ、一つの物事をまとめ上げる力が身についた気がします」と班長の水野祐希さん(高1)が語ってくれました。
化学室前方では、中学生の班員たちが来場者に展示品の説明をする姿も見られました。中学生にとって授業でまだ触れたことのない内容も扱いますが、先輩や先生のアドバイスを受けながら自由に活動しています。
「後輩たちが楽しそうに実験している様子を見られるのがうれしいですね。僕が化学班に入ろうと思ったのは、化学への興味からではなく、先輩たちが和気あいあいと実験している雰囲気の良さに魅力を感じたからなんです。そこからさまざまな実験をするようになり、化学への興味が深まりました。手頃な部費で、貴重な薬品を使って実験できるのも化学班の魅力だと思います」(水野さん)
結果を求めて実験することもありますが、基本は「やってみたい」が入り口です。水野さんは「変化が目に見える実験が好きです」と語ります。班員個々がやってみたい実験に取り組むことが化学班の基本スタイルですが、時には目標をもって取り組むことも。今年度は感染予防のためできていないそうですが、他校と成果を発表し合う場や、小学生向けの化学イベントへの出展など、対外的な活動への参加機会も設けられています。
時には実験に失敗し、試行錯誤することもありますが、自分の取り組みたい実験に「まずはやってみよう」と挑戦できる、主体性を尊重した雰囲気に満ちているのが化学班です。






今関心があるのはAIなどと教えてくれました。
■活動日 | 火・金・土 |
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■活動時間 | 最終下校時刻まで |
■部員数 | 中学生9人 高校生1人 |
巣鴨中学校
〒170-0012 東京都豊島区上池袋1-21-1
TEL:03-3918-5311
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