私立中高進学通信
2023年特別号
未来を切り拓くグローバル教育
巣鴨中学校
世界に通用する人間性を身につけ
幸せな人生を歩んでいくための国際教育
巣鴨が主催する国際教育プログラム『ダブル・ヒーリックス』を通して、他校の生徒との交流も生まれています。
人間力に焦点を当てた巣鴨ならではの取り組みを行い、注目を集めている同校の国際教育について、国際教育部長で英語科主任の岡田英雅先生に伺いました。
世界のどこにいても通用する
真の国際人を育てる取り組み
国際教育部長で英語科主任の岡田英雅先生。巣鴨は「努力することで自らの可能性を花開かせる」という硬教育(努力主義)による男子英才教育を伝統とし、医学部・医科歯科系大学に多くの合格者を輩出するなど、輝かしい大学合格実績でも知られています。進学校というイメージの強い同校ですが、将来を見据え、実社会で力強く活躍できる学力、人間力、国際力の育成にも力を注いでおり、巣鴨ならではの国際教育を確立しています。
高1の3学期をイギリス、カナダ、オーストラリアで過ごすターム留学や、2018年にFriendship Agreementを結んだイギリスの名門校クライスト カレッジ ブレコンへの長期留学といった多彩な留学の機会があり、留学を経てオックスフォード大学へ進学した生徒も出ています。
世界屈指の名門イートン校との交流は深く、イギリスの文化と歴史を体感しながら一流の人間教育に触れる『イートン校・サマースクール』を2002年から実施。それと同様の体験をできるだけ多くの生徒に味わってもらおうと、『巣鴨サマースクール(Sugamo Summer School、略称:SSS)』という国内研修プログラムも行っています。SSSはイートン校との人脈を活かして第一線で活躍するイギリス人を講師に迎え、6日間寝食をともにして、グループディスカッションやアクティビティを行うという取り組みです。
「グローバル化が急速に進む今、国際語である英語の素養は必須ですが、英語体験や英語に関連する学びだけが国際教育ではないはずです。
真の国際人として何よりも重要なのは、世界のどこにいても通用するような “思いやり” “教養” “忍耐力” といった部分だと考えています。だからこそ、カリキュラムや授業、部活動、学校行事といった全てが、世界で活躍する人を育てる世界レベルの取り組みになっていなければならない。それが私のめざす巣鴨の国際教育です」(岡田先生)
人間力に焦点を当てた
巣鴨ならではの国際教育
「SSSに参加する生徒たちに英語力は求めていませんし、いわゆる“英会話”を身につけることだけが目的ではありません。
ある生徒はSSSに参加して一流のイギリス人講師と過ごし、『あんなにかっこいい人たちに会ったことはない!』『自分も一歩でも近づきたい』という感動が原動力となり、『イギリスで学びたい』とターム留学を希望しました。その際、条件とされていた『英検準1級』に満たない英語力だったので受け入れ先のクライスト カレッジ ブレコンに相談したところ、『巣鴨の生徒は伸びるから大丈夫』と信頼してもらい留学が実現しました。その生徒は現地校でも力を発揮し、得意な数学は成績上位、オックスフォード大学やケンブリッジ大学をめざせるほど学力を伸ばしています。
本校のFriendship Agreementを活用して英国の名門校にターム留学も可能ですが、その希望者は必ずしも英語が得意な生徒ではないんです。単に英語ができる・できないということではなく、『巣鴨の生徒は海外でも学んでいけるしっかりとした学力がある』『自分の目標をもち努力ができる』といった部分で、本校の生徒は海外でも高い評価を得ています。そのことに手応えを感じるとともに、誇りに思っています」(岡田先生)
SSSでは一流のイギリス人講師と寝食をともにし、水泳・合唱などのアクティビティやオリジナル授業に取り組みます。例えばすべての講師が行う「モチベーション・カーブ」という授業では、講師たちが自分の人生を振り返り、失敗経験やそこからどう立ち直ったのかを語ります。そこから失敗を恐れない気持ちやチャレンジ精神を学ぶのです。
初めは緊張気味の生徒たちも、講師の皆さんの温かな人柄に触れながら日々を過ごすうちに、
キラキラと瞳が輝き出します。
他校の生徒とともに行う
オンラインプログラムDH
巣鴨では、世界の超一流講師によるオリジナル授業をオンラインで行う『ダブル・ヒーリックス(Double Helix=二重らせん、略称:DH)』というプログラムも主催しています。
「Double Helix=二重らせんとは、知識を一方のらせん、創造力などの高次思考力をもう一方のらせんとし、それらが二重らせんのように絡み合いながら成長していくという意味です。参加すると『勉強したくて仕方がない!』というやる気がみなぎるプログラムになっています。
講師は、名門校の教員、医療従事者、研究者として世界的な活躍を見せる一流の人物たちです。それぞれの専門分野における深い知見に基づいて、さまざまな角度から問題提起をしたりアドバイスをしたりして、生徒たちに考えるヒントを与えてくれます。
生徒たちはディスカッションにあたって膨大な書籍や論文を読み込み、知識を深めながらディスカッションを重ねていきます。また参加生徒とは個別に『リフレクション・セッション』を行い、知識と高次の思考、双方の関係を意識しながら振り返り、理解を深めていけるようにもしていします」(岡田先生)
DHは巣鴨の生徒のみならず他校の生徒も参加できるため、お互いにとって良い刺激になることはもちろん、他校の学校文化に触れて改めて自分の学校の取り組みを評価する機会にもなっているそうです。
「他校のある生徒は、DHに参加して『学校で行っていることが役に立ちこれまで以上に意欲的に取り組めるようになった』という感想を聞かせてくれました。また、将来の目標がもてず学習意欲も低下気味だった本校の生徒も、DHへの参加をきっかけに火がつき、他校の生徒に呼びかけて一緒に勉強をするようになりました」
2021年、コロナ禍のなかでスタートしたDH。
DHでの取り組みに改良を加え、2023年には『Craft Your Life』という新しいプログラムも始まりました。
あらゆる分野において
人の幸せに貢献する人を育てたい
国際教育というと海外での活躍や海外大学への進学に目が向いてしまいがちですが、「将来海外で働く生徒はごく一握りでしょう。国内・国外を問わず国際化が進む社会で、生徒たちがそれぞれの幸せを感じながら生きていけるようにしたいと願っています。そのためのベースづくりを行っているつもりです」と話す岡田先生。
そして2023年、新たな国際教育の取り組みとして『Craft Your Life』がスタートしました。
『Craft Your Life』とはこれまでDHに参加した生徒たちのために実施されていた取り組みに改良を加えた約5週間のオンライン・プログラムで、英語力の向上をめざすとともに、時間管理や人生設計などを含めたライフスキルを学べることが大きな特徴です。
「イートン校などの英国名門パブリックスクールには、生徒一人ひとりの心身の状態を気遣ったり、相談に乗ったりして生活全般をサポートしてくれるチューター制という仕組みがあります。今回のプログラムはイートン校で実際に教えていた先生にご協力いただき、オンラインを通じて直接そのようなサポートが受けられるというものです。
世界レベルのエリート教育を熟知した経験豊かな先生から提示される、“睡眠・食事・運動などの生活習慣と健康の関係”といった課題に取り組みながら、英語4技能を向上させるとともに、人生100 年時代とされる現代でますます重要になるライフスキルを身につけることができます。また、先生に直接質問したり、相談したりする機会も設けられています。
何よりも、『何のために生きるのか』『何のために勉強をしているのか』『自分にとって幸せとは何か』といったことを考える期間にしてほしいと思っています。そして大学入試の合否といった比較的近々の目標ではなく、『自分はこれで人を幸せにしたい』というような、社会貢献を目標として学んでいけるようになってほしいと願っています。
本校の国際教育はイートン校など英国の名門パブリックスクールを参考にしていますが、決してハーバード大学やオックスフォード大学に進学させることを目標としているわけではありません。イートン校は政治家・学者・役者・冒険家など多彩な人材を輩出し、さまざまな形で社会に貢献しています。生徒自身が『これだ』と思える何かを極めるために一流大学をめざしてもいいですし、パン屋さんやパティシエをめざしてもいいのです。『巣鴨の卒業生はあらゆる分野で活躍して、多くの人の幸せに貢献している』。そのような意味で名門と評される学校でありたいと思っています」
巣鴨中学校
〒170-0012 東京都豊島区上池袋1-21-1
TEL:03-3918-5311
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