2024年4月、100余年の歴史・伝統を持つ明浄学院高等学校と、質の高い看護教育で知られる藍野高等学校が統合し、
新しいスタイルの男女共学校へと生まれ変わります。
「“新しい学校”ができるというイメージを持っていただきたい」と、力強く語る渡邊雅彦校長にお話をうかがいました。統合に伴い、単なる男女共学化にとどまらず、より多彩で実践的な学び、それを実現するための空間と、進路実現のバックアップ体制を確立させます。
最大のトピックは、藍野高等学校と一体化することで実現した【衛生看護科】の新設です。大阪府下で唯一の、高校3年間で准看護師の資格を取得できるカリキュラムが特徴。また、学校法人藍野大学の設置校である藍野大学短期大学部第一看護学科(全日制2年課程)へ進学すれば、最短5年で正看護師になることが可能です。
【普通科】は、希望進路や興味に合わせて選べる2コースからなります。『総合キャリアコース』には、4年制大学・短期大学への進学を目標とする「総合進学専攻」、保育士・幼稚園教諭としての現場力を身につける「幼児教育専攻」、調理・製菓の本格的な技術やフードデザイン・食に関する知識を深める「クッキング専攻」、ファッションや美容に関する知識・技術・感性を養う「ファッション・メイクアップ専攻」、PC操作やホームページ作成、動画編集など情報社会で活躍できるスキルを育む「ITビジネス専攻」の5専攻が用意されています。
もう一つの『看護メディカルコース』は、看護師・理学療法士・作業療法士・臨床工学技士など、医療分野を目指すコース。3年間、広い視野で進路を見極められるのが特徴です。
特筆すべきは、一定の基準を満たすことで藍野大学短期大学部第一看護学科に進学できる【衛生看護科】だけではなく、【普通科】においても、進路実現を後押しする体制が強化される点にあります。
「従来からある各コース・各専攻の指定校制(指定校推薦)に加えて、『総合進学専攻』以外の4専攻については、指定校制以上に有利な形で進学可能な提携校を拡充しました。授業と進路、両面で連携を図っていきます」(渡邊雅彦校長)
100余年受け継がれる面倒見のよさと、准看護師試験合格率100%の実績を誇る質の高い看護教育を融合させた【衛生看護科】。行事は【普通科】と合同で実施されるため、多様な目標を持つ普通科の生徒との交流を通して幅広い視野・価値観を養い、人として成長しながら、夢の実現を目指すことができます。藍野大学短期大学部第一看護学科への内部進学により最短5年で正看護師になれる点も大きな魅力。
「さまざまな医療職から自分に合う道を考えたい」「部活動も頑張りたい」という生徒のニーズに応える普通科『看護メディカルコース』からは、看護学科・理学療法学科・作業療法学科・臨床工学科がある藍野大学や、3年制の藍野大学短期大学部第二看護学科などへの内部進学が可能です。
普通科では、授業交流だけではなく進学においても連携する提携校を拡充。「幼児教育専攻」は常磐会学園大学・大阪キリスト教短期大学、「クッキング専攻」は辻調理師専門学校、「ファッション・メイクアップ専攻」は上田安子服飾専門学校・西日本ヘアメイクカレッジ、「ITビジネス専攻」は清風情報工科学院などと提携しています。
新生・明浄学院の学びのステージとなるのは、現在の同校所在地である大阪市阿倍野区の文の里エリアに誕生する、真新しいキャンパスです。
コンセプトは“心に寄り添い、志を育む母校”です。専門分野を学ぶための特別教室「ファッションメイクルーム」「看護実習室」「クッキングルーム」「音楽室」を完備。加えて、ガラスの間仕切りを採用した開放感のある教室、クラス・学科を越えて交流できる「コミュニティラウンジ」、教員との距離がぐっと縮まるオープンな職員室「ティーチャーズステーション」など、校内のコミュニケーションをより活性化させる空間設計が大きな魅力です。
すでに藍野高等学校の生徒とは、新制服を決める『制服プロジェクト』やオープンスクールでの連携を通して、交流を深めているそうです。
「制服のファッションショーなどを一緒に行い、仲良くなっていくようすが見られます。『制服プロジェクト』を経て、制服もリニューアル。女子は、伝統のセーラー服と新しいブレザースタイルから、好みに合わせて選べます」
新生・明浄学院として思い描くのは、自分らしさを大切にし、多様性に触れて視野を広げながら、夢や目標に向かって学び、お互いを高め合う学校生活。部活動加入率は約80%と盛んで、強豪として知られる吹奏楽部をはじめ18のクラブ・同好会がそろいます。仲間・教員・社会とつながり、真に充実した毎日を送ることのできる環境が整っているのです。
新校舎には、ベッド20台が配置可能な「看護実習室」、通常の音楽の授業のほか、「幼児教育専攻」の生徒の個別ピアノレッスンにも活用できる「音楽室」、豊富な実習を行う「クッキング専攻」のための「クッキングルーム」、プロの講師からメイクアップやヘアメイクの技術を学べる「ファッションメイクルーム」を設置。さらに、礼儀作法やゆかたの着付けなどを学べる「礼法の授業」などで使用する和室も備えています。
2022年度から、地域や企業とタッグを組んだ夏祭り、近隣の小学校に通う児童を対象とした子ども食堂を開催し、地域交流を推進している明浄学院。そのねらいについて、渡邊雅彦校長はこう語ります。
「2024年度からは、統合により、現在、茨木市の藍野高等学校に通っている生徒たちもこちらに移ってくるので、全校生徒数が約900名に増加します。さらに2025年度には藍野大学短期大学部も移転してくるので、学生・生徒約2000名が集うキャンパスとなります。本校にとって大きな転換期と言えますが、文の里エリアをも一変させる可能性を秘めているのではないかという思いがあります。その実現を願い、地域とのつながりを育み、大切にしていきたいと考えています」
地域活性も視野に入れ、新たな一歩を踏み出す明浄学院の今後に、注目が集まります。