中高6年間を満喫しよう!~学校生活~


栄光ゼミナール教務部
藤田 利通先生

栄光ゼミナール教務部
鈴木 登美子先生
偏差値だけではなく
“わが子に合う学校選び”がより重視される傾向に
中学受験における学校選びは何を大切にすればいいですか?
藤田先生中学受験をするご家庭の学校の選び方は、この10年で大きく変わりました。10年前の2015年前後は、中学受験生の数が少なかった時期です。そこから大学入試改革や、多くの私立中高で教育改革などがあったことで、中学受験生数は増加に転じ、伸び続けてきました。2年ほど前にピークを迎え、昨年度~今年度は微減にとどまっている状況です。背景には、VUCA(ブーカ=変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代といわれる現在、将来に対する保護者の不安な気持ちがあると思われます。だからこそ、大学に進学しやすい大学附属校が人気になったり、時代に合った新しい教育を行う学校への期待感が高まったりしているのでしょう。
私立中学の入試制度も多様化しています。4教科入試が主流ではありますが、1教科入試など新タイプ入試を実施する学校も増えてきました。
ここ2年ぐらいは「堅実入試」といわれる、“わが子に合った学校に確実に合格すること”を目的とする受験スタイルが目立っています。学校選びは偏差値や大学進学実績だけではなく、“わが子に合うこと”をより重視するようになってきているのです。
鈴木先生私学の人気が高まった理由のひとつには、コロナ禍における学校の対応を見た保護者が、私立志向になったことも大きいと思われます。公立よりも私立のほうがコロナ禍での教育に早く取り組み、面倒見よく対応したことが評価されたのでしょう。
どうすれば、“わが子に合った学校”が
見つかるのでしょうか?
鈴木先生校風を肌で感じることがいちばん大事ではないでしょうか。お子様、あるいはご家庭と学校の雰囲気が合っているかどうかは、実際に学校へ足を運ぶとなんとなくわかります。在校生を見て、「うちの子もこの生徒のようになりそう」というイメージがもてるなら、その学校とは相性がいいといえます。
藤田先生コロナ禍を経て、インターネットを活用するなど学校側の情報発信力は高まってきています。以前と比較して、受験生・保護者は情報を集めやすくなったのではないでしょうか。ただ、情報収集の際には、偏差値や大学進学実績だけではなく、教育の中身をしっかりと見ることが大切です。サイエンス教育やグローバル教育に力を入れている、医学部進学対策が充実しているなど、教育内容の特色を把握して、“わが子に合う学校選び”に結びつけられるといいですね。
鈴木先生学校の教育内容はどんどん更新されていきますから、現在の状況だけでなく、将来どうなるかも確認しておきましょう。そのためには、学校説明会などで先生のお話を聞くことが重要です。私学は、基本的に学校の教育理念を大切にしています。その教育理念に共感できるかどうかも大切なポイントです。
藤田先生学校説明会における校長先生をはじめとする先生方のお話が、10年後、20年後の世の中を見据えた教育を意識しているかも、ぜひチェックしてください。
在校生に憧れの気持ちを持つとやる気につながる
夏の学校訪問は、何を目的にするといいでしょうか?
鈴木先生夏休みには、オープンキャンパスや部活動体験会などのイベントを行う学校もあります。ぜひ親子で足を運んでみてください。
ただ、本来小6の夏は、勉強を最優先にしてほしい時期です。貴重な時間を使って学校訪問をするのですから、やる気につながるような、有意義なものにしていただきたいですね。学校訪問から帰ったら、ネガティブな感想ではなく、「いい学校だったね」「素敵な先輩だったね」など良かった点を親子で楽しく語り合い、「明日からまた頑張ろう」とモチベーションを高められたら言うことなしです。
藤田先生学校訪問をしても、お子様はあまり感想を言わないことが多いかもしれません。そこは保護者から、「私はここがいいと思ったけど、どう思う?」と問いかけたり、「あの学校はあなたに向いていると思うよ」と感想を述べたりして、お子様の気持ちをうまく引き出してください。マイナス面ばかり気にする保護者もいますが、それでは志望校がなかなか決まりません。学校の長所を親子で共有し、良いイメージをもつことが、志望校選びに役立ちます。
鈴木先生無理に誘導するのではなく、保護者自身がいいと思った気持ちをお子様に伝えましょう。ご家庭に合うかどうかは、各家庭で大切にしている価値観に関わるので、保護者が気に入った場合は、お子様も気に入る確率が高いのです。保護者が学校を褒めて、お子様の意見を引き出す。そしてお子様が「自分で志望校を決めた」という感覚をもてれば、受験勉強のモチベーションは上がります。夏休みにこれができると、9月以降の過去問演習など、入試本番を意識した勉強でも力を発揮できるのではないでしょうか。
学校を訪問した際には、在校生に質問をしてもいいですか?

藤田先生夏休みに行われるイベントは在校生と触れ合う機会も多い内容ですから、積極的に話しかけてみるといいですね。ご家庭で質問を用意しておいてもいいですし、何か発表をした生徒に、その内容について「それはどんなことに役立つものですか?」など、気になったことを聞いてみるのもいいでしょう。
鈴木先生あまり相手を困らせるような質問は避けてほしいですね。「生徒間のトラブルはあるの?」とか「勉強は大変?」など、生徒が答えにくいようなことは、生徒ではなく先生に尋ねるといいでしょう。生徒相手には、たとえば「学校で好きな場所はある?」というような、答えやすい質問をお勧めします。
中高6年間でどのような経験ができるのかを
しっかりと確認しよう
教育内容の特色を知るには、どのようなところを見ればいいですか?
藤田先生昨今の教育において重要な位置づけにある「グローバル教育」「サイエンス教育」「探究学習」について、それぞれの内容はもちろん、特に探究学習はどのような方法で学ぶのかをチェックしておきましょう。
また、グローバル教育でも、具体的にどのような特色があるかを調べておきましょう。ネイティブの先生が常駐している学校もあれば、英語の学習に特化した建物で学ぶ学校もあります。海外の学校と提携しているケースもあり、内容は多岐にわたります。
鈴木先生海外研修がある場合も、その内容や方法は学校によって違いがあります。全員が参加するのか希望者だけなのか、あるいは選抜制か、確認しておいたほうがいいですね。どのような実施形態がよいかはご家庭によって異なるでしょう。
サイエンス教育では、理科室がたくさんあり、実験や観察に力を入れている学校もあります。お子様の好きな教科を大いに学べる環境があるかどうかは、ぜひチェックしたい項目です。
大学進学指導のフォロー体制や
高大連携についても気になります。
鈴木先生大学進学指導については、多くの学校でフォロー体制を工夫しています。放課後補習に、予備校などの先生や大学生チューターを登用している学校もありますし、自習室が充実している学校も多いです。
藤田先生一般的に高大連携を行う学校は、大学の専門的な学問を体験できるので魅力と感じる保護者は多いようです。ただ、一言で高大連携といってもタイプはさまざまです。キャリア教育の一環で、学部紹介や学部体験のようなことを行う場合もあれば、教育面で交流を盛んに行うケースもあります。また、提携大学への推薦入学枠を確保している学校もあります。高大連携の中身を調べるとともに、お子様が中高6年間でどのような経験ができるのかをよく見ておきましょう。
学校らしさが表れる
部活動や施設・設備面にもぜひ注目を
受験生や家庭が求めるものに合う環境があるかどうかを知るにはどうしたらよいですか?
藤田先生当然ながらご家庭やお子様が学校生活に何を求めるかによって、好ましい環境は異なります。サイエンス棟や実験室の充実を高ポイントと捉えるお子様もいるでしょう。また、運動系の部活動に注目するなら、グラウンドや体育館の設備が気になるかもしれません。
最近は共働きの保護者が多いので、給食や食堂、お弁当販売の有無も重視されるようになってきました。食堂がある場合でも、中1から使えるかどうかなど、実際の利用状況を確認しておくことが大切です。
鈴木先生学校を実際に訪問したときには、無理なく通えるかどうか、通学経路もチェックしておきましょう。学校周辺の環境も、気になる点がないか見ておくといいですね。
校内では、掲示物にも注目してください。課外活動への参加や生徒主体の活動など、校内の活気が伝わってくるでしょう。また、巧拙に関係なく生徒全員の作品を展示している学校もあります。規律正しくきちんとしているのか、自由でのびのびしているのか。掲示物などからも、学校の雰囲気は伝わってきます。
部活動の充実度はどうすればわかりますか?
鈴木先生学校生活のなかで部活動を重視している場合は、活動日や時間、活動場所、設備の利用状況などを調べておきましょう。運動部は、都心の学校では遠方のグラウンドまで行って練習するケースもありますし、ナイター設備などがある学校もあります。また、中入生が高校でも活躍できているかどうかも確認してみましょう。
藤田先生文化部志向のお子様も多いと思います。文化部は、やはり文化祭がいちばんの晴れ舞台になるでしょう。文化祭の発表を見て憧れをもつ受験生もたくさんいます。文化祭に出かけて、活躍する在校生に将来の自分の姿を重ねて楽しむといいでしょう。夏休みには、部活動体験会などを実施する学校もあります。
鈴木先生私学には、特色ある部活動もあります。その学校ならではの部活動に注目するのも面白いですね。
藤田先生ただ、文化祭が行われるのは秋が中心。小6の秋はもう入試が近いので、学校選びが目的の文化祭訪問は、なるべく小5までに行うことをお勧めします。
鈴木先生小6のお子様の場合は、できるだけ夏休みまでに学校訪問を行い、志望校を確定できるといいですね。もちろん秋以降も、志望順位の高い学校で入試体験会などを開催している場合は参加してみてもいいでしょう。
夏の間に学校見学をして
志望校の決定を!
小6の9月以降、お子様は過去問演習や公開テスト、保護者は受験準備で忙しくなります。秋から目標をもって頑張るためにも、夏休み中にお子様と一緒の学校見学は終わらせ、第1・第2志望を決めておきましょう。
何か一つご家庭が大切に思う“軸”があると、学校選びは容易になります。「教育内容」や「部活動」、「高大連携」など、ご家庭なりの「これだけは外せない」というものを見つけて学校歩きをしましょう。
学校選びはお子様主体でありながら、家族が“チーム”となって考えることが大切です。“チーム”が協力して複数の学校で合格をつかみ、そのなかからお子様が納得して進学先を選べれば、その後の充実した学校生活につながり、本当の意味で「中学受験の成功」になるはずです。









