
近年、私学では学校説明会などの公開行事で在校生が生徒目線で自校の魅力について発信する、生徒広報の活動が増えてきています。なぜこうした動きが見られるのでしょうか。今回はその活動を通して成長していく生徒たちと、それを支える先生方の思いを紹介します。
生徒広報として活躍する
動機はそれぞれ
生徒が広報活動をする動機には、「大好きな学校の魅力を伝えたい」「志望校選びで迷う受験生・保護者の力になりたい」などという社会貢献への思いがあります。その思いに加えて、「憧れの先輩、熱心な後輩と交流できる」「みんなでワイワイ話すのが楽しい」という仲間づくり・居場所づくりの機能もあるため、忙しい高校生・中学生も時間をやり繰りして意欲的に取り組んでいます。集団のなかで「さまざまな個性」をもつ生徒の活躍は、受験生にとっては自分と似たタイプのロールモデルとなる先輩を見つけたり、また在校生・同級生同士においては異なる分野で努力する姿が互いに切磋琢磨する関係づくりにつながったりするようです。
そして私学の先生方が生徒の広報活動を後押しするのは、広報活動を一種のキャリア教育として捉えているからに他なりません。やがて大人に成長する生徒が、いろいろな年代、性別、考え方や価値観の異なる人と一緒に過ごすことを見据え、教員や保護者以外の大人と関わる機会を設けているのです。
生徒広報は
さまざまな役割で活躍
生徒広報の主な活動として、学校説明会での司会進行、校内アテンド、資料の作成・発表、来場者からの質問応対などさまざまな役割があります。どの役割も生徒目線を意図しており、受験生は在校生のイキイキとした姿に刺激を受けます。私学は生徒の主体性を重視していますが、その内実は学校によってバラつきがあるようです。説明会のなかでは、生徒の主体性について注目してみるのもよいでしょう。
学校HPやSNSでも
受験生とつながる
説明会などの場ではもちろん、学校HPやSNSを使ったコミュニケーションでも生徒広報は活躍しています。在校生を橋渡し役にし、学校が大切にしている教育観、日々の行事・教育活動の様子をより親近感をもって伝えることが可能になるのです。受験生にとって、入試の緊張が高まるなかで、憧れの先輩と定期的にコミュニケーションが取れること、憧れの先輩に励まされて入試に挑めることは、大きな力になるようです。
生徒広報まとめ
紹介校について
今回紹介する7校のうち、カリタス女子はカトリックの教え、女子聖学院、玉川聖学院はプロテスタントの教えを基盤としています。いずれも女子校で、まさに生徒が「他者のため」を実践していると言えます。跡見学園、品川翔英、東京家政大学附属女子、日出学園の4校は、女子校・共学校のなかでも社会貢献と仲間づくりの場として生徒広報が大いに機能している例と言えるでしょう。なお、男子校においても生徒広報が活躍する私学は見られます。今後の学校選びの際には、ぜひ「生徒広報」の存在に注目してみてください。各校の記事文末には、生徒広報が活躍する動画へのリンクを掲載しています。
2025年4月号特別企画

生徒目線で語るからこそ伝わる真実で来校者の心をつかむ噂の“キャンツア”
跡見学園中学校

大好きな学校の魅力をビジュアルに! 常に生徒目線の
『パンフレット制作チーム』
カリタス女子中学校

主体性と責任感が原動力!
“仕事”として学校説明会を運営
品川翔英中学校

「語ることばをもつ生徒」を育む 受験生のための『お手伝いしたい隊』
女子聖学院中学校

「玉聖大好き!」な生徒たちが集まり 受験生を応援する『広報スタッフ』
玉川聖学院中等部

受験生憧れの多様なロールモデル “生徒が生徒を育てる”
『アドミッションスタッフ』
東京家政大学附属女子中学校
