大正14年に武蔵野女子学院として創立した武蔵野大学高等学校は、令和2年に共学となり、新しい時代を迎えました。平成30年に就任した日野田直彦校長先生の「世界を救う勇者になりたい人、自分の人生の舵を自分で握っていたい人、ぜひ本校に来てください」との呼びかけに、生徒たちはワクワクしています。
新しく設置されたコースは3つあります。「ハイグレード」コースは生徒が主役となるインタラクティブな授業を中心に、グローバルマインドを本格的に学びます。めざすのは国公立大学・難関私立大学、海外大学などです。
「PBLインターナショナル」コースはPBL(Project Based Learning)の手法を用いて、さまざまな課題や問題を解決できる思考力を育てます。企業や社会と連携する特別講座や、長期留学制度が設定されているのが特徴です。
「本科」コースのミッションは“自分のやりたいことを見つける”こと。勉強も部活動も学校行事も大切にしながら、幅広く将来を見つめます。
3コースで行っているなかで、今回はPBLインターナショナルコースの「Project Wayfinder」の授業を拝見。教材はアメリカ合衆国の名門・スタンフォード大学のd-School(※)から作られたプログラムで、自己理解をして世界とつながるマインドセットをするのが主な目的です。授業に臨むのはアメリカ人のダグラス先生が担任を務める高2生です。
この日のテーマは「困ったとき、自分にはどんなサポートがあるか?」を考える授業でした。ダグラス先生が「今、不安に思っていることは何か?」を尋ねると、生徒たちはテスト、将来、大学受験、お金などの英単語を書き込みます。ダグラス先生は「COVID」という文字を付け足しながら、「家族、と書いた人がいないのは驚きだね。アメリカの大学生たちは、寂しい、お金がない、家族のことが上位3つを占めているよ」と話します。
次に、自分にはどんなサポートがあるかを考えます。精神的なサポートをしてくれる友達、勉強を教えてくれる人、塾の先生など、文字にすることで自分を助けてくれる人たちの姿も見えてきました。
Project Wayfinderのテキストは、スケッチブック大で書き込みもできる25ページです。授業はペアワークやグループワークも行うアクティブなスタイル。さらにダグラス先生が語るエピソードからは、アメリカ人としてのものの見方や、海外の高校生の価値観、日本の学校とは違う「先生」や「授業」のあり方を知ることができます。
Project Wayfinderの授業は、高1、高2を通じてさまざまな角度から自己理解を深め、ワークショップを行いながら将来の選択を考えるきっかけとなります。
※d-Schoolとは、スタンフォード大学の講座でHasso Plattner Institute of Designの略。Hasso Plattnerという人が創設したデザイン研究所の意味で、問題解決のプロセスなどを「デザイン思考」で身につけるのが目的。どの学部でも大学院生でも受講できる。
国内ではKatuiku AcademyがProject Wayfinderの研修と教材を取り扱っています。