行事にはどのように取り組んできましたか?
野﨑さん正則は学校行事が盛んで、体育祭や学院祭は実行委員会が中心となって企画・運営をしています。体育祭はクラス対抗で競技を行い、学院祭もクラス単位で映画・演劇、ダンス・パフォーマンスなどの企画・準備を進め、最高の栄誉である最優秀企画賞(グランプリ)賞をはじめとする賞も授与されるので、学年が上がるにつれ前年を上回る成果をめざそうという意識が強くなります。
堀先生このクラスははじめから「創意工夫しよう」「オリジナリティのある企画をしよう」という意識が高く、1年目の学院祭は比較的うまくやれていたように思います。でも2年目の学院祭ではクラスの団結がうまくいかず準備が間に合わず、当日の朝になって「劇のパフォーマンスを中止しようか……」というところまで追い込まれました。
野﨑さんうまくいかないことがあっても、翌年にまた同じメンバーでリベンジできるので、前年の良かったところは活かして、反省するべきところは改善して、翌年はより良いものにしていくことができます。クラスに軋轢が生じてしまうこともありますが、その経験を一つひとつ乗り越えていくからこそ絆が強くなっていき、最終学年になると行事への思い入れが強くなっていくんです。
最終学年で『最優秀企画賞』は受賞できませんでしたが、体育祭も学院祭もこれまでにない最高の取り組みができ、クラス全体で感動を分かち合うことができました。
ここまで主に行事への取り組みについて伺ってきました。勉強が苦手な野﨑さんを、学校はどのように導いてくれたのでしょうか。
野﨑さん中学の頃から勉強は苦手で、先生に「他人の3倍やらないと追いつけない」と言われたこともあるほどです。がんばってもなかなか成果が出ず、勉強が嫌いになってしまいました。
そんなとき、学校説明会に参加した際の先生の言葉に励まされました。自分は単願の第一志望で正則に入学しましたが、クラスには自分よりも成績の良い生徒ばかりで、「第一志望校に合格できなくて正則に来た」という生徒もいました。そうしたクラスメートに「負けたくない!」という気持ちがモチベーションとなり、結果も出せるようになっていきました。「努力は報われるんだ」と感じるようになると、成績もぐんぐん伸びていきました。
堀先生週に1度、『学習手帳』を介して生徒たちがどんな学習をしているのかを確認していました。彼は実に努力家で、授業以外の時間の多くを勉強に費やしていることは知っていたのですが、授業の様子を見ていて「不器用だな……」と感じていました。
私の指導教科である数学は暗記学習も大切ですが、内容が難しくなるほど問題の本質を見抜いて解答することが重要になっていきます。多くの時間を暗記学習に費やしていることが得点につながっている面もあり評価するべきことではあるのですが、このままだと伸び悩んでしまうのではないかと心配でしたね。そこで、2年次からの選択授業では数学はあえて、『発展クラス』を選択するように勧めました。
野﨑さん発展クラスを勧められたときは、「自分も『発展』に行っていいんだ」と、認められた感じがしてとてもうれしかったです。ただ、堀先生以外の先生には『標準クラス』を勧められましたし、自分でも『発展クラス』についていけるのか不安がありました。
実際、『発展クラス』ではまったく授業についていけなくて、成績も下がってしまい、3年生になってから『標準クラス』を選択することになったんです。ただ、『発展クラス』で学んだことは本当に多く、とてもいい経験になりました。クラスメートがどんな学習方法をとっているのか学ぶことができ、自分が伸び悩んでしまうことに気づくことができました。