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社会で生きていく力をつけるための「総合」の授業で
『人間の性と生』を学ぶ

正則高等学校

〒105-0011
東京都港区芝公園3-1-36

TEL:03-3431-0913

学校情報 学校HP

高1生3名が語ります!
『人間の性と生』を学ぶ伝統の授業

佐藤卓先生(社会科) 授業担当の一人である
佐藤卓先生(社会科)
「2000年度よりスタートした『人間の性と生』の授業は、今年で24年を迎えます。『ジェンダーや性に対するとらえ方について考えてほしい』『性にかかわる基本的な知識について考えてほしい』という目的で始まりました」(佐藤先生)

 今年で創立135年を迎える正則高等学校の教育理念の一つに、「社会で生きていく力をつける」があります。この力をつけるために沖縄への「学習旅行」や、「農業」「看護」「介護」「保育」といった職業体験など、さまざまな課外活動が行われていますが、正則高等学校独自の教育と言えるのが、高1「総合」で取り組む『人間の性と生』の授業です。

 この授業がスタートしたのは、男子校から共学校になった2000年のこと。高校のカリキュラムに「総合」の授業が盛り込まれたタイミングでした。

「その頃、共学化に備えてどのような教育が必要かと、教員のあいだで議論を重ねました。そこでまず必要なのは、男女それぞれが自分の身体について知り、自分の性に対して肯定的な意識をもつことであると考えました。その先に人権に基づく価値観を形成し、男女が対等な人間関係を築くために、『人間の性と生』をテーマとする授業を行うこととなりました」(社会科/佐藤卓先生)

 2023年度、高1の「総合」で行われた『人間の性と生』の授業は23回。1学期は、①セックスとジェンダーを考える ②すり込まれる性とメディアリテラシーなどがテーマとなり、CMや映画ポスターで描かれるジェンダーを題材に自分たちのジェンダー意識を確認しました。1学期の終わり頃から2学期にかけては、③多様な性のあり方を考える をテーマに、SOGIなどの多様な性のあり方について考えます。

 2学期は、④関係性・性交・身体の性がテーマとなり、男女それぞれの身体の違いについて考えました。2学期の終わり頃から、⑤支配と強制の性を考えるがテーマとなり、「デートDV」や「痴漢」などの性暴力をテーマに学びを深めます。性や男女の身体について話すのは、生徒にとって最初は戸惑いもあるようですが、生徒たちの意識は徐々に高まりつつある様子。テーマごとに行った振り返り作文の文字数も、徐々に増えていきました。

 この授業を担当して6年目という佐藤先生は、「例えばLGBTQという言葉について、年々認知度が高まっているように感じていましたが、今年度の1年生はほとんどの生徒が知っていました。社会全体が変化していることを実感しています」と話します。

 授業における目標の一つに、「知識や批判的な考え方の上に、関係性・性行動の適当なスキルを身につける」とありますが、これはまさに将来生きていくための力、正則高等学校における教育の軸をなすものではないでしょうか。そこで昨年度、『人間の性と生』の授業を受講した生徒3名と佐藤先生による座談会を実施。1年間を通して考えたことを語ってくれました。

『人間の性と生』の授業を受けて
私たちが考えたこと、感じたこと

佐藤先生1学期は「男らしさ、女らしさ」について、ジェンダーをテーマに多様な性について学びました。皆さんはどんな感想をもちましたか?

Aさん最初、「『総合』の授業ってどんなことをやるのだろう?」と思っていましたが、段々とグループの議論が活発になっていった印象です。

Bさん中学の総合学習とは全く違っていました。人間の性について考えるのは、最初は気まずさもあってみんなとあまり話せなかったけれど、「痴漢」や「恋愛」のテーマあたりから、自ずと話せるようになっていきました。

佐藤先生「痴漢」がテーマの授業の冒頭では、痴漢をする人、される人のイメージを自由に挙げてもらいましたね。その時、多くの人が痴漢をされる側のイメージとしては、肌の露出が多い女性のイメージを挙げてくれました。でも、実際は痴漢をする人は服装や肌の露出ではなく、大人しそうな人をねらっているのです。性被害の思い込みと実態のズレを考え合いました。

Cさんディズニー作品『塔の上のラプンツェル』の映画ポスターについて、日本版と海外版では随分と女性のイメージが違っていたことが印象的です。日本の広告だと、主人公は “可愛い女の子”というイメージだったけれど、海外の広告では、 “カッコよくて美しい女性”がポスターになっていました。日本と海外では女性に対するイメージが違うのだと感じました。

佐藤先生Cさんは “ジェンダーの違い” を感じるのはどんな時ですか?

Cさん「女の子のくせに」という言葉には、ジェンダー差別を感じます。あと、学年が変わって新しい教科書を配るために運ぶのを手伝うのは大抵男子です。女子だって教科書を持つことはできるのに、先生は男子を指名しています。「女子が手伝えないのはなんでだろう?」と思うこともありました。

佐藤先生振り返りの作文に、「男子と女子では座り方に違いがある」と書いていた人がいました。例えば、「女子は脚を開いて座ってはいけない」とか、「あぐらをかいていいのは男子だけ」とか。逆に「男子なのだから泣くなと言われた」と書いていた人もいましたね。

 社会科の授業でも、「女性よりも男性のほうが出世しやすいこと」「育休・産休のとりやすさはどうか」など、社会的なジェンダーギャップに触れる機会はありますが、「総合」ではより身近なジェンダーギャップについて学びます。

自分と社会とのつながりを考える
正則高等学校の進路セミナー

佐藤先生2学期の授業は、どんなことが印象的でしたか?

Aさん「デートDV」について、カップルが登場する漫画を読んだのを覚えています。高校時代、憧れていた男子と付き合うことになった女の子が主人公の漫画です。いざ付き合ってみると連絡の回数が多かったり、ほかの人の連絡先を消すように強要されたり……という内容でした。強要するのは相手を傷つけるためではなく、ちゃんとした恋愛感情があるからだと思ったのですが。

Bさん愛情が強いと、強要してしまうのかな……と。

Cさん嫉妬をプラスのイメージで捉えると、“まっすぐな愛”というイメージがあります。それはそれで素敵なことだけれど、そういう自分の感情がありながらも、パートナーと向き合うことも大事だし、難しい部分があると思いました。

Bさん最初は「セックスとジェンダー」という言葉が直球な感じがして、先生の口からその言葉が出たことに驚きました。保健体育の授業でも性がテーマだったので、友達と「なんか性についての授業が多くない?」と話していたんです。

 グループワークでは、それほど親しいわけではない友達と性の話をするのは気を遣うこともあったけれど、だんだんとコミュニケーションが取れるようになった気がします。

 2学期の最後には、クラスの仲間に匿名で質問を出して回答し合うアンケートがあって、隣の女子がたくさん書き込んでいたり、別の友達も「来週、アンケートの結果が出るから楽しみ」と言っていたりして、私も徐々に関心をもつようになっていきました。性の多様性について学ぶ前は、私のなかにも偏見はあったけれど、最近ではそれが個性だと認めることができるようになってきました。

Cさん私も性の多様性に関しては、小学校や中学校で聞いたりテレビドラマでも見ていたりしたので、自分にある程度の知識があると思っていました。でも、実際に授業を受けてみると、知らないこともたくさんありました。

 3学期の進路セミナーでトランスジェンダーの方の講演を聞いた時、授業の内容ともリンクしていて学ぶことがたくさんありました。そんな苦労をしながら生きてこられたのか……と、とても心が痛みました。

佐藤先生1年生の進路セミナーでは、ここ数年トランスジェンダーの当事者に講演をお願いしていました。単に性の多様性について講演をしていただくのではなく、自分らしく生きることを何が阻んでいるのか、ということに焦点を当ててお話いただいています。正則高等学校の進路セミナーは、単なる卒業後の大学や職業選びがテーマというよりは、社会のなかの自分の立ち位置や生き方について考えるものが多いですね。Cさんは将来、どんなことをしたいと考えていますか?

Cさん私はカウンセラーのように、人の心と向き合う職業に興味があります。人の心と向き合うのは難しい点もあるけれど、人間同士が向き合わなければ立ち直れないこともあるし、向き合ったからこそ解決することもあると思って。

 日常生活にしても、人の気持ちをわかったつもりになるのではなく、理解しようとする姿勢を示していきたいと思いました。そんなことを大切にしながら、進路選択を考えています。

Aさん進路を考えるうえで、例えば「看護師は9割が女性」という意識があることを知りました。短大に進学するのも男子は少ないような気がするし。でも、最近は保育系の分野に進学する男子も増えていると聞いて、社会は変わってきたのだと思いました。

 私は法律に興味があったのですが、テレビドラマなどで弁護士役をしているのは男性が多くて、女性である私には無理かと思っていました。でも、『人間の生と性』の授業を受けてから、諦める必要はないのだと思っています。

生徒が主体となって多様性を
受け入れてきた学校の歴史

佐藤先生そういえば今年から、制服を注文する際の名称が変わったのを、皆さんは知っていますか? “制服男子” “制服女子” ではなく、“制服A” “制服B” となったのです。

一同知りませんでした!

Cさん正則の制服にはスラックスがあって、女子にも選ぶ人が多くなってきたような気がしていたけれど……。

佐藤先生「男子もスカートを履いていい」としても、なかなか履けないかもしれない。でも、 “履いていい” という選択肢があるのとないのとでは、多様性を受け入れる意識が変わってくるかもしれないですね。実際のところ、本校では男子でも “柄のスラックス” を購入することはできます。最近では、「男子の頭髪に関する校則を変えたい」という要望が生徒から出てきて、それを受けて生徒会が議論を始めているようです。

 冬のコートも、以前は学校指定だったけれど、生徒会が議論し、学校に要望を出し、今は紺か黒であれば学校指定でなくてもいいことになっています。

 正則高等学校の歴史をたどると、生徒が主体となって学校を良くしようとしている歴史が見えてきます。

Bさん2学期最後の匿名アンケートで、男子が女子に聞いてみたいこととして、「生理が辛い時、男子はどう接したらいいのかな?」という質問が出てきたのが印象的でした。男子って、生理のことなんて気にしていないと思っていました。気にかけてくれているのがうれしかったです。

佐藤先生毎年アンケートに皆がたくさん綴ってくれるのがうれしいですね。話しづらい性のことでも、この機会だからこそ話し合い、理解し合えるのだと思います。身近にいる人がどんなことを考えていて、自分と同じ部分があって安心したり、違うからこそ気遣おうと思えたり。『人間の性と生』の授業を受けた後、少しでも「得たものがある」という感覚がもてるといいですね。その感覚は、きっとどこかで生きると思います。

昨年度、『人間の性と生』の授業を受けた高1生3名。難しいテーマですが、1年間を通して受講した感想を率直に語ってくれました。昨年度、『人間の性と生』の授業を受けた高1生3名。
難しいテーマですが、1年間を通して受講した感想を率直に語ってくれました。
身の回りのジェンダーや、性の多様性、性交・身体の性機能、性暴力など幅広いテーマについて、
1年を通して男女一緒に考えていきます。
計23回実施される授業では、レポート、課題作文、アンケート……と、
自分の考えや感じたことなどを書いて提出する機会を多く設定しています。

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