小学校の6年間をマレーシアの日本人学校で過ごした私にとって、目白研心の留学プログラムや英語教育はとても魅力的でした。短期から長期までの留学プログラムは、自分が行きたい国を選んで、めざす将来に近づけるものでした。
しかし、高校で出会ったチアリーディングは、それまで考えていた自分の将来をまったく違う方向に導いてくれました。先輩たちは一つのことに向かって一生懸命熱中していて、私が入学した年に“日本一”になっていました。「自分も2年後、先輩たちと同じように優勝したい」という思いでチアリーディングに熱中した3年間でした。
大学でもチアリーディングは続け、2年で日本一になり、その後クラブチームに入りました。大学のチアリーディングチームは厳しい世界です。それでも辞めずに頑張ることができたのは、高校3年間で培った「チアリーディングが大好きだ」という気持ちがあったからこそ。その気持ちはブレることなく、今につながっています。
高校3年間は、好きなことに思いきり熱中することができました。運動会や文化祭の枠組みは先生が作ってくださっていましたが、生徒が自主性を持ってさまざまな提案をして、形にしていく校風は変わりません。
体育祭の思い出といえば応援合戦です。私の高校時代は3年生が1年生、2年生をリードして応援団を作り、朝も昼休みも練習して当日に臨みました。今は生徒たちのなかに「3年生になったらこんなふうに踊りたい」という思いがあるようで、「先生、当日を楽しみにしていてください」と言われます。
『目白研心POLARIS』の強さは、好きなことを思いきりできる環境と、どんな場所に出ても恥ずかしくない行動をしようというポリシーにあると思います。大切なのは大会の勝ち負けだけではなく、社会人になっても恥ずかしくない行動ができることです。だからこそ、勉強との両立も大切にしていますし、一般受験に挑戦して夢をかなえる部員も数多くいます。
現在、部員は104人。全員「Aチーム」として大会に出場できるとは限りませんが、部員の目標は大会出場だけではありません。もちろん日本一をめざしてチアリーディングを始める部員もいますが、引っ込み思案な自分を変えたいと入部する生徒もいます。自己表現をしたくてチアリーディングをはじめる生徒もいます。一人ひとりが目標を設定して「誰かの後ろに隠れない」をモットーに活動しているので、一人ひとりが「ここに存在する意味」を見出しています。
コロナ禍で休校になったとき、部活動ができない生徒たちの不安やショックは計り知れないものがありました。それでもオンラインミーティングやオンラインのトレーニングを始め、「みんなとつながっている」のを感じたとき、直接会えなくても生徒たちの絆はいっそう強まりました。学校が再開後は、保健体育の授業でiPadが活躍していて、生徒たちはダンスのフォーメーションや自分の動きを撮影し、より良い体の動かし方を確認することもあります。
近年、健康やスポーツ、身体と心の関連性などに対する関心は高まり、将来的に選択できる職業も増えています。そこで本校の教育実習生も、体育学部生も増えています。体育大学や体育系の学部は、生きていくために必要な学問を学ぶので、社会貢献の幅は広がったと感じています。
私は目白研心で生きる道を見つけることができました。いろいろな選択肢があるなかで目白研心を選んでくれるのは、教員としても先輩としてもうれしいことです。だからこそこのかけがえのない3年間、一生懸命に青春してほしいと願っています。