実技に欠かせないのが仕事着。専用のワークパンツと合わせます。
手織りでていねいに作られたネクタイ。中学生はエンジ色、高校生は紺色を着用します。
1954(昭和29)年の制定から少しずつ改良を加えながらも原型を変えずに愛されてきた制服。時代に左右されない機能的な美が特徴。ジャケットとジレ(ベスト)は4つボタン、スカートは「箱ヒダ6本」で、現在まで80年以上にわたり着用されています。「座ってもヒダが崩れず、きれいに常に美しい状態で着用できます」(高1生徒)。
シンプルなデザインですが、袖口が折り返しになっていたり、襟にベルベット地が使われていたり、さりげないデザインが光ります。
体操着は紺を基調に水色と白の細いラインが特徴で、若々しいさわやかな印象を与えます。半袖Tシャツにあしらわれた紺色のラインは、体を細く見せるデザインです。ほかにハーフパンツもあります。
「美術館に出かける際など、リュックが作品や人に触れたりして鑑賞の妨げにならないよう、手提げタイプの『JOSHIBIバッグ』を使用します」(高1生徒)。画材など持ち物が多い女子美生の必需品です。
女子美術大学付属高等学校では、桑沢洋子さんデザインによる制服が60年以上にもわたり、現在も変わることなく着用されています。桑沢さんは、『桑沢デザイン研究所』および『東京造形大学』の創立者として知られる昭和時代に活躍したファッションデザイナー。そして、女子美術学校(現在の女子美術大学)の卒業生であり、制服をデザインした当時は、女子美術大学の教員でもありました。
「1930(昭和5)年に和服型制服から洋服型制服が導入され、現在の制服の原型となる制服が採用されたのは1954(昭和29)年。それから少し改良を加え、1958年(昭和33)年に『丸襟の白ブラウス』『4つボタンの上着』『ネクタイ(中学はエンジ色、高校は紺色)』『ジレ(ベスト)』『オーバーコート』という現在のスタイルになりました。流行に左右されない機能的な美が特徴で、そのデザインは時代を越えて多くの生徒たちに愛されてきました。本校で学んだ歴代の卒業生たちも、『大好きな制服』と話しています」(主幹教諭・生徒指導部主任/水口圭先生)
女子美生のシンボルとも言える特徴的なデザインが、『ネクタイ』。実はこのネクタイは女子美術大学工芸科の卒業生によって手織りで製作されています。糸染めから完成までに1日8時間、週7日作業した場合、ネクタイ500本を作るのに5~6カ月かかるそうです。
制服のみならず、バッグデザイナーの卒業生がデザインした『リュック』、生徒の意見を取り入れて改良されてきた『女子美バッグ』などの“女子美アイテム”には、卒業生・先生・生徒が協力して自分たちの手でより良くしていこうという女子美らしさが表れています。
大先輩をはじめ、関係者の方々が丹精を込めてデザインしてくれたアイテムに対して、高1生たちも「私たちは、学校で身につける制服、バッグ、ネクタイ、ジャージに至るまで、女子美のすべてに愛着を持っています」と話します。
「正しく身にまとうことで『統一の美』を作り出す一方で、シンプルだからこそ私たち一人ひとりの個性や持ち味を活かした着こなしもできます。デザインの美しさはもちろん、『女子美の生徒らしさ』を感じられる大好きな制服です」(高1生)
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