「探究学習では、自分の興味・関心のあることを深め、3年後の進路決定や大学での学び、そして実社会で活かせるようにします。
私が担任を務める1年生は、まず1学期に自分を知ることからスタートしました。まず、大きな紙の中心に『私』という文字を書き、その周りに自分に関係する言葉を数多く書き出して、マインドマップを制作します。こうして自分の核となっている興味・関心を導き出していくのです。そして同じ興味・関心を持つ生徒たちでグループを作り、社会が抱える課題解決に、自分たちの興味・関心がどう結びつくのかを議論していき、そのためにどう行動するべきかを考えていきます。
さらに2学期からは、短い文章で記述する“正解のない問題”を1題につき5分間、生徒に解かせています」(伊藤先生)
この学びと強く紐付けられているのがSDGsです。SDGsとは「Sustainable development Goals」の略称で、「持続可能な開発目標」と訳されています。2030年までに世界で達成すべき環境や開発に関する17の国際目標で、2015年に国連サミットで採択されました。17には「1.貧困をなくそう」「2. 飢餓をゼロに」「3. すべての人に健康と福祉を」「4. 質の高い教育をみんなに」などの目標が掲げられています。
「興味や関心に基づき、自分が起こしたい行動はSDGsの17の目標のどれにあてはまるか、あるいは17の目標を見たとき、どれに自分が興味・関心を持てるかを考えていきます。その結果を『SDGsアクション宣言』にまとめます。
たとえば、フードロスに興味・関心を持っている生徒は、SDGsの『貧困をなくそう』『飢餓をゼロに』の実現に向けて、“毎日のお弁当を残さない”ということが今自分にできることであるとして、この行動を宣言しています。1年生なので、まだこのような初歩的な行動しか思いつかない状態ですが、2年次の終わりまでには生徒の代表を模擬国連に参加させたり、国連大学での発表を目標に探究活動に取り組ませたりできるレベルにまで持っていきたいと考えています」
この生徒たちが2年生になると体験旅行に参加します。2021年度より、この訪問先を変えることになりました。進学コースは北海道・兵庫・愛媛・沖縄の中から選ぶことができます。そして訪問先の課題を見つけ、それを解決する方法を考え、現地の人たちに向けてプレゼンテーションすることを検討しています。