創立以来、多くの生徒を医学部や東大、早慶などの難関大学に生徒を送り出してきた秀明高等学校。高い進学実績の背景には、「全寮制」という教育環境があります。今回、その寄宿舎(寮)を
創立以来、多くの生徒を医学部や東大、早慶などの難関大学に生徒を送り出してきた秀明高等学校。高い進学実績の背景には、「全寮制」という教育環境があります。今回、その寄宿舎(寮)を
まず、草別さんに男子寮を案内してもらいました。草別さんはお父さんが内科医、お姉さんは同校の卒業生で、現在、歯科医になるために東京歯科大学で学んでいます。お姉さんから同校のイギリス英語研修の楽しさを聞いた草別さんは、医師をめざして高校から入学しました。高校時代は美術部に所属。2019年の文化祭のチケットには、草別さんが描いた絵が採用されました。
「こちらが男子寮の外観です。地下1階地上5階建てで、本校の敷地内にあります。学校までは、歩いて5分です。通学にかかる時間を、たっぷりと勉強にあてることができ、医学部合格という目標を達成できました」
原則として生徒は、土曜に自宅へ帰り、月曜に寮へ戻りますが、群馬県に自宅のある草別さんは高2から受験勉強に専念するため、月に1回程度帰宅していたそう。
「男子寮の案内図です。建物の中央に大食堂があります。男子寮は、このように大食堂を中心にして1号館から6号館まで6棟が食堂を中心に放射線状に建てられています。中1から高3まで、1つの棟に同じ学年の生徒が生活しています。中心に大食堂があるのは、どの棟からも行くのに便利だからです。お腹がすくと早くご飯が食べたくなります(笑)」
なお、女子もこの大食堂で食事をとります。
「こちらが大食堂です。食事の時間は朝食が7時から、昼食が12時から、夕食が6時からです。僕はここのカレーライスとスパゲティー、ラーメンが好きです」
今は新型コロナウイルスの感染防止対策としてアクリル板がテーブルに設置されています。夕食後、勉強していてお腹がすいた生徒には、パンやヨーグルトなどの夜食が用意されています。以前は各棟にあるおやつ準備室に取りに行きましたが、現在はコロナのため、夕食時に配られます。
「6号棟にある僕の部屋です。高3になると受験勉強に集中できるように一人部屋になります。それまでは二人部屋ですが、今はコロナのため、全学年の生徒が一人部屋で生活しています」
「部屋にテレビはありません。寮にスマ―トフォンを持ち込むことも厳禁です。洗濯は寮からクリーニングに出すことができます。部屋の掃除は1週間に2回程度、自分で行います」
朝は6時30分に起床。朝食を食べてから授業の準備をして、7時40分に寮を出て学校へ向かいます。
放課後の2時間は部活動。夕食を食べ、教室で行われる「夜間学習」から戻った後は入浴を済ませ、この部屋で勉強します。消灯は11時。
「電話をかけたいときは電話室にある公衆電話を使います。僕は3日に1度、両親に電話をかけて近況を知らせています」
「テレビでサッカー中継を見たり、友達とおしゃべりを楽しんだりしています」
「文房具からお菓子までそろっています。購入するには購買カードを利用します」
購買カードには購入金額が記録され、保護者の銀行口座から引き落とされるしくみになっています。そのため、寮では現金を持たずに生活できます。
続いて、宮地ひなのさんが女子寮を案内してくれました。宮地さんのお母さんは内科医。母親の働く姿を見て育った宮地さんは、幼い頃から医師の仕事に憧れていました。
「私がこの学校を選んだのは、母のお友達のお医者さまが秀明の卒業生で、その方から寮生活が生徒を伸ばしてくれると聞いたからです」
中学から入学した宮地さんは剣道部に所属。高校時代は、寮長や学級委員を務めました。寮長は、消灯時間を守っているかをチェックしたり、洗面所などの掃除をしたりします。
「こちらが高校女子寮です。男子寮と同じくキャンパス内にあります。校舎とは屋根付きの渡り廊下で結ばれているので、雨の日も傘をささずに通学できます」
高校女子寮は、地上3階建て。道をはさんで隣には、地上5階建ての中学女子寮があります。
「私のお部屋です。男子寮と同じように、高3になると一人部屋になります。高校生になってからは土日も帰宅せず学校に残って勉強するようになりました。家族と離れて暮らすことで、両親への感謝の気持ちが生まれました」
多くの生徒たちが机の上に家族の写真を飾っています。家族のことを思いながら、生徒は勉強に日々励んでいます。
「シャワーが完備されています。広々として気持ち良くお風呂が楽しめます」
大浴場は高校女子寮に2つ、男子寮に6つあります。現在は新型コロナウイルスの感染防止対策として時間帯を決め、分散して少人数で入浴しています。
「ドライヤーがあるので、すぐに髪を乾かせます」
「ここで洗濯機や乾燥機を使って洗濯をします」
自分のことは自分でする寮生活によって、生徒はたくましく成長していきます。
「男子寮ほど広くありませんが、高校生専用なので、ゆったりと使えてくつろげます」
「中華まんが人気ですが、コロナ禍で今は販売されず残念です」と話す宮地さんは、チョコレートがお気に入りなのだとか。
寮内を案内してもらった後、2人に寮生活の意義を聞いてみました。
「同じ医療の道をめざす仲間たちと寝食をともにすることで、切磋琢磨できることです。みんなで励まし合ったり、受験情報を交換したりできます」(草別さん)
「規則正しく、メリハリのある生活を送ることができること、一生親しくできる友人を得られることです。また、寮での共同生活や学級委員と寮長を務めた経験から、リーダーシップが身についたのではないかと感じています」(宮地さん)
最後に、どんな医師になりたいかという質問に2人は次のように答えました。
「総合医になって、地域医療に貢献したいと思います」(草別さん)
「今はチーム医療で患者さんを治療します。医師一人の力だけでは何もできません。そこで秀明で学んだことを糧にして、ほかのスタッフと心を一つにして治療にあたれる医師になりたいと思っています。そして母のように患者さんのことを第一に考える内科医になることが目標です」(宮地さん)
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