高校授業料無償化のしくみ
●授業料だけでなく入学金の補助も
近年の高校への進学率は98%となっており、文部科学省が調査した「平成30年度子どもの学習費調査」によると、高校にかかる学校教育費は、公立が年間平均額約28万円、私立が約72万円となっています。2010年度から始まった高校の授業料無償化制度はご存知の方も多いでしょう。正式には“就学支援金制度”といいます。授業料だけでなく修学旅行費や教材費、入学金まで補助の範囲が広がってきているのです。公立高校だけでなく私立高校に進学する場合でも適用されます。
日本はOECD加盟国の中で家庭の教育費負担が多く、公的な給付型奨学金が少ないことが指摘されていました。国が補助する就学支援金の基本部分は都道府県共通で、所得により金額が異なります。
さらに2020年4月からは、私立高校に通う生徒の就学支援金制度が改正され、年収が約590万円未満の世帯を対象に、支給上限額が私立高校の平均授業料を勘案した水準まで引き上げされました。これは在校生(2020年度以前に入学した生徒)にも適用されています。利用するためには、入学時などに学校から案内があるので、必ず申請書類を提出しましょう。
●各府県の支援補助金は?
また、国の補助のうえに、府県が独自で定める追加の支援補助金があります。これは私立高校に通う場合に、家庭の所得格差が子どもの学力格差とならないよう、教育費の家庭負担を軽くする施策が広がったのです。詳細は各府県、ホームページ等にてご確認ください。
●大阪府 https://www.pref.osaka.lg.jp/shigaku/shigakumushouka/
●兵庫県 https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk35/pa15_000000008.html
●京都府 https://www.pref.kyoto.jp/bunkyo/1335331059139.html
●奈良県 https://www.pref.nara.jp/54792.htm
●和歌山県 https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/022100/gakkou/shigaku_futankeigen.html
●滋賀県 https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kosodatekyouiku/kyouiku/11035.html
●初年度は「立て替え」に注意が必要
2014年4月に入学した現・高校1年生から、授業料以外に入学金や教材費なども対象に追加されるようになりました。ほっとした保護者も多かったのではないでしょうか。
ただし、利用にあたっては注意点もあります。入試後の合格手続きから初年度にかけては、ある程度まとまった額のお金を準備する必要があるということです。というのも、就学支援金の支給額は前年分の世帯年収をもとに計算しますから、具体的な額が決定するのは入学後になります。それまではいったん所定の入学金や授業料を払っておき、納めすぎた分を相殺するのは年
度の後半以降になります。
また、実際の就学支援金は国や県から直接家庭に振り込まれるわけではありません。授業料から就学支援金分を差し引いた額を、学校が保護者に請求します。高校入試が終わり、入学手続き時に「入学金補助が出る」、4月に振り込む「授業料が安くなる」わけではありませんので、注意してください。
高校生への支援にはどんなものがある?
●高等学校等就学支援金
国が行う授業料支援のしくみで、授業料以外の教育費支援のしくみです。
受給資格は、高校等(高専・高等専修学校等を含む)に在学する、日本国内に住所を有する方が対象。年収のめやす910万円未満の世帯に支援します。支給額は、公立の場合は一律118,800円、私立の場合は年収のめやす590万円未満の世帯に私立高校の平均授業料の水準の金額が支給されます(上限396,000円)。利用するためには、入学時等に学校から案内があるので、必ず申請書類を提出するようにしましょう。提出された書類をもとに、各府県が認定を行います。
●高校生等奨学給付金
教科書や教材費など、授業料以外の教育費支援のしくみです。
高等学校・高等専門学校に通う生徒がいる生活保護世帯、住民税所得割非課税の世帯が対象となっています。
●府県独自の私立高校授業料軽減制度
国の補助のうえに、府県が独自で定める追加の支援補助金です。対象は府県および年収により異なります。
各府県のホームページ等にてご確認ください。