中高6年間を満喫しよう!~学校生活~
2025年3月29日㊏30日㊐に開催された第10回目の『ジャパンメトロポリタン模擬国連大会』。国内・海外から56校、420名が参加しました。
帰国生の存在が
学校全体の国際化を促す
洗足学園の特色の一つに、独自の英語教育と充実した国際交流プログラムがあります。同校は他校に先駆けて学校全体の国際化に取り組み、長年にわたり国際教育を推進してきました。その歩みについて、宮阪校長は次のように語ります。

宮阪元子校長先生
「本校は1924年に創立され、2024年に100周年を迎えました。そうした長い歴史のなかで、英語教育に早くから力を入れてきました。その一環として、海外からの帰国生も積極的に受け入れてきたことが、本校の国際教育の基盤となっています。“英語に力を入れている学校”という評判が広まるにつれ、海外経験を有する生徒たちが自ずと集まるようになりました。そうした背景から、“本校には帰国生を受け入れる使命がある”と考えるようになり、本格的な受け入れ体制の整備に踏み出したのです。
帰国生入試は1994年に制度化しましたが、それ以前から毎年数名が入学していました。帰国生は英語力が高く、学習にも意欲的で、そのイキイキとした姿勢が周囲の生徒たちに好影響をもたらしていたのです。帰国生の力をさらに伸ばせるよう、カリキュラムを充実させていきました。
初期の英語プログラムは、洗足学園大学のネイティブ教員と協力して構築され、当時としては非常にハイレベルな内容でした。その後も毎年見直しを重ね、より実践的なプログラムへと進化を続けています。現在も続いているイギリスやアメリカでの語学研修も、帰国生の受け入れを契機に始まった取り組みです。こうした積み重ねが、国際教育を支える柱となっています」
独自の留学・研修プログラムで
生徒の挑戦を後押し
短期語学研修はもちろん、より高度な学びを求める生徒に向け、同校では独自のルートで教育レベルの高い学校と提携し、本格的な留学プログラムも充実させています。
「英語力の高い生徒向けには、アメリカやイギリスの名門校と連携した3種の留学プログラムを用意しています。アメリカでは『Monterey Bay Academy』と『Pacific Collegiate School』に、そして最近ではイギリスの名門『Christ College Brecon』も加わりました。いずれも生徒たちが高いレベルで充実した学びを実感できる環境が整備された学校です」
学校主催の語学研修プログラムも毎年人気で、用意された5つのコースはすぐに定員が埋まってしまうほど。また、神奈川私学協会が主催するプログラムにも参加しており、こちらは『メリーランド大学ボルティモアカウンティ校』(UMBC)と提携し、各加盟校より集まった30名の生徒が現地で学ぶというもの。引率には神奈川私学の教員が同行し、安心して参加できる内容となっています。
さらに近年では、自ら学外で開催されるプログラムを探し出し、参加を希望する生徒も増えていると言います。
「そうした『他流試合』(※)も、校長の私がきちんと目的と動機を聞いたうえで許可し、推奨しています。出発前には、なぜそのプログラムに参加したいのか、その理由を私の前で発表してもらい、帰国後に英語でレポートを提出してもらいます。そうすることで、自分の経験をしっかり振り返ることができるのです。みんなイキイキとした表情で帰ってきて報告してくれます。そういう姿を見るにつけ、心から応援したくなります」
こうしたさまざまな機会を活用し、年間で中高合わせておよそ100名の生徒が海外へと飛び立っています。なかには長期留学に挑戦する生徒もいますが、その場合も学びを止めることはありません。
「長期留学をしても学年を下げることなく、在籍していたクラスメートと一緒に進級できるようにしています。ただし、その間の学習は自分で計画を立てて進める必要があります。かつては、“長期留学を経験してから理系に進むのは難しい”と言われていましたが、最近では理系を選ぶ生徒も増えてきました」
大学受験においても「指定校推薦」に頼ることなく、「一般選抜」をめざす生徒が多い同校では、留学中も含め、日々の学びを自ら考えて積み重ねる“自立した学習姿勢”が自ずと育まれているのです。
- 同校では校内・校外を問わず各種コンクールやコンテストに挑戦する学外交流活動を『他流試合』と称し、積極的な取り組みを推奨しています。
教育水準の高い進学校と独自のネットワークで提携し、高度な留学プログラムを展開。
写真は、提携校の1つであるアメリカの名門『Monterey Bay Academy』での様子。
生徒主体で国際的な
模擬国連大会を実現
模擬国連活動が盛んな同校で2025年3月、生徒主催による『ジャパンメトロポリタン模擬国連大会(JMMUN)』が開催されました。
第10回を迎えたこの大会に国内外から56校・420名の生徒が参加。海外からは12カ国の参加があり、JMMUNは名実ともに国際的な模擬国連大会へと成長しています。
「JMMUNのきっかけは2004年、ニューヨークのUNIS(国連国際学校)で開催された学生会議『UNIS-UN』に本校の生徒が参加したことでした。その素晴らしい経験をほかの生徒にも広めたい、という思いから始まりました」
第1回大会は、神奈川県と東京都から2校を招いて3校での開催。しかし当時は模擬国連の認知度が低く、議事進行の複雑さに戸惑う生徒も多く、参加校からは厳しい声もあがったと言います。
「そうした反省を踏まえ、今では初心者・中級者・上級者と3つのレベルで議会を設け、初めての生徒でも楽しみながら参加できるように工夫しています。講習会の開催など、事前のサポート体制も整えました」
2019年はコロナ禍で中止となりましたが、翌年はオンラインで開催。以降は対面に戻り、内容の見直しや改善を重ね、着実に大会の質を高めていきました。
大会を主催するのは、生徒たちによる模擬国連同好会。日々の活動のなかで、『Harvard MUN』や『Oxford MUN』といった海外の大会にも参加し、そこで得た学びをJMMUNに還元しています。『Harvard MUN』では卒業生が現地で案内をしてくれるなど、国際的なネットワークを活かした交流も行っています。
「同好会のメンバーは中高合わせて約100名。当日は卒業生もスタッフとして参加してくれます。生徒たちはそれぞれの役割に責任、自信、誇りをもって準備に取り組んでいます」
生徒たちの熱意と行動力によって、JMMUNは今や日本を代表する高校生の模擬国連大会へと発展しました。
国境を越えて意見を交わす経験は生徒たちの視野を広げ、将来への確かな糧となっています。
海外からも多数の生徒が参加した今大会。「当日は英語が飛び交い、生徒よりも教職員のほうが圧倒されていたほどでした」(宮阪校長)
大会の様子を伝える全14頁の英語冊子は、『JMMUN Press』と呼ばれるメンバーによって作成。基調講演の内容や参加者へのインタビューなどが盛り込まれており、会期中に取材・編集が行われ、大会終了後すぐに発行されます。
海外大進学のみならず
一人ひとりの挑戦を応援
同校には毎年40名ほどの帰国生が入学します。共に学び過ごすなかで、一般生は帰国生の語学力や国際的な視野に刺激を受け、語学研修や留学へ積極的にチャレンジするようになります。そしてその延長線上に、海外大学進学という選択肢が自ずと見えてくるのです。
「2010年にアメリカの名門・アイビーリーグの加盟校であるコーネル大学に合格したのは、実は帰国生ではなく一般生でした。日本の高校から現役で合格するのは非常に珍しく、『帰国生でなくても海外のトップ校に行ける』という希望を示してくれました」
このことをきっかけに、ハーバード大学やイエール大学に進学する生徒も登場。その後も毎年コンスタントに海外大学への進学者が続き、コロナ禍を経ても途切れることなく実績を積み上げてきました。2025年にはアイビーリーグ加盟校に2名が進学。さらにイギリスやスペインなど、世界各国のトップ大学にも生徒たちが羽ばたいています。
こうした海外大学への進学実現には、さまざまなサポートが不可欠です。
「多くの生徒が『柳井正財団』や『孫正義育英財団』などから支援を受けています。そして本校創立100周年を記念して『前田若尾記念奨学金』も設立されました。エッセーや奨学金の応募書類など、海外大学進学に必要な準備は非常に高いハードルですが、英語のネイティブ教員を中心にサポート体制を整え、蓄積されたノウハウを活かして一人ひとりに対応しています」
また、学校内の支援だけでなく、保護者との協力体制も大きな力となっています。保護者のなかには実際に娘を海外大学へ送り出した経験のある方もおり、父親の有志団体『ファーザーズ』などを通じて、情報や体験談の共有が行われています。
「生徒たちがどのように海外大学へ挑んだのか、苦労した点やモチベーションの保ち方など、リアルな声がとても参考になると好評です」
最後に宮阪校長は、「名門海外大学進学者や“他流試合”に挑戦して注目を浴びる生徒だけが特別なのではない」と強調します。
「海外大学に進学する生徒がいる一方で、海外研修に一度も参加しない生徒もいます。でも、参加しない生徒は参加するクラスメートの姿を見て、『自分も頑張ろう』と感じて、目標を見つけて歩き出す生徒がたくさんいる。それが本当にうれしいのです。学校は表舞台で輝く生徒だけを応援しているわけではありません。それぞれが自分のペースで学び、成長していくことこそ、私たちが大切にしていることです」
同校には海外進学への夢を叶える生徒もいれば、身近なことへの第一歩を大切にする生徒もいる。どちらの歩みも同じように価値があり、それを学校全体で支援し、一人ひとりが自分の意志で未来を選び取っているのです。









