2025年度、岩倉高等学校の修学旅行(高2対象)が『DISCOVERY JOURNEY』として生まれ変わりました。単なる「観光」を卒業し、新しい視点や考え方を探究することで自己の成長へとつなげる、次世代型の教育プログラムです。第1回として実施された「沖縄」(4泊5日)と「シンガポール」(3泊5日)の選択制コース。その運営を支えた4名の実行委員に、旅を通して見つけた「新しい自分」について話を聞きました。
2025年度、岩倉高等学校の修学旅行(高2対象)が『DISCOVERY JOURNEY』として生まれ変わりました。単なる「観光」を卒業し、新しい視点や考え方を探究することで自己の成長へとつなげる、次世代型の教育プログラムです。第1回として実施された「沖縄」(4泊5日)と「シンガポール」(3泊5日)の選択制コース。その運営を支えた4名の実行委員に、旅を通して見つけた「新しい自分」について話を聞きました。
Iさん(高2)Iさん一番の理由は、訪れたことのない沖縄の雄大な自然や美しい海を自分の目で確かめたかったからです。参加にあたっての目標は二つありました。一つは琉球文化に触れて視野を広げること、もう一つは沖縄戦の跡地を訪れ、平和の尊さを深く胸に刻むことです。
なかでも力強い「エイサー」の鑑賞や「三線」の演奏体験を心待ちにしていました。これらを通じて、沖縄ならではのエネルギーを吸収したいと思いました。
Wさん家族で旅行にはよく行くのですが、実は私もIくんと同じで、沖縄はまだ行ったことがないんです。私の住んでいる県には海がないので、沖縄の美しい海を見てみたいと思い、このコースを選びました。
今回の目標は、沖縄の自然を思い切り楽しむこと! なかでも「美ら海水族館」に行くのを、ずっと楽しみにしていました。
Sさん今回の旅行では、シンガポールと隣国のマレーシアを訪れました。実は幼い頃に家族でマレーシアへ行ったことがあるのですが、当時の記憶があまり残っておらず、「いつか自分の足で再訪したい」と考えていたことが今回の大きなきっかけです。また、多くの目標もありました。そのひとつが、アジア有数の国際都市として発展を続けるシンガポールの躍動感を、肌で体験することでした。
Nさん幼い頃、家族と訪れたグアムで美しい自然や異文化に触れ、海外の素晴らしさを知りました。「いつかまた海外へ行きたい」という想いから、「シンガポールコース」を選択しました。
このコースには、現地の高校生や名門校であるシンガポール国立大学の学生の皆さんと英語で交流するプログラムがあります。私の目標は、ミスを恐れず積極的に話しかけること。たとえ完璧な発音や文法ではなくても、一人でも多くの人とコミュニケーションを図りたいと考えました。
Iさん実行委員の大きな役割のひとつに、学年全員に向けた「2回のプレゼンテーション」があります。1回目は出発前です。訪問先について事前に調べた内容をスライドにまとめ、みんなに共有します。そして2回目は旅行の終了後。旅を通じて得た成果や気づきを発表します。
僕は事後のプレゼンテーションを担当したのですが、沖縄で撮影した写真や動画を自分で編集し、「何に感動し、何を学んだのか」を自分の言葉でみんなに伝えました。
Wさん(高2)Wさん私たちはプレゼンテーションのほかに、企画の立案も行いました。特に「沖縄コース」の2日目、班別研修の後には「生徒レクリエーション」を企画しました。具体的にはクイズ大会や、屋上で日頃の思いを叫ぶ「未成年の主張」というスピーチ大会です。この企画はとても盛り上がりました。
Sさん「マレーシアの高校生に、本当の日本を伝えたい!」そんな思いで、僕は出発前にマレーシアの公用語であるマレー語のミニ講座を自ら開催しました。
旅の2日目、現地高校訪問のプレゼンテーションでは、練習したマレー語で挨拶し、日本の食文化、名所、そしてアニメキャラクターを英語で紹介。現地の生徒たちが僕のつたないマレー語で笑ってくれた時、一気に心の距離が縮まったのを感じました。
Nさん私はプレゼンテーションのスライドや台本づくり、そして旅行のしおりの表紙イラスト制作などに携わりました。
Iさん太平洋戦争の末期、アメリカ軍の上陸によって多くの住民が犠牲になりました。この悲劇を「沖縄戦」と言います。特に被害の大きかった南部を訪れ、「ひめゆりの塔」と、その隣にある「ひめゆり平和祈念資料館」に足を運びました。
沖縄戦には看護要員として「ひめゆり学徒隊」が戦場へ駆り出され、多くの方が命を落としました。彼女たちの遺品を目の当たりにし、ガイドさんから当時の壮絶な話を聞くうちに、言葉を失うほどの衝撃を受けました。 教科書だけの知識が、目の前の現実として迫ってきた瞬間、「戦争は絶対にいけない」という思いが心の底から湧き上がってきたのを今でも覚えています。
Wさん沖縄戦の事前学習で「こんな悲劇があったなんて」と大きなショックを受けました。広島の原爆についてはニュースなどで知っていましたが、沖縄戦の詳しい内容はあまり知らなかったからです。しかし、実際に現地を訪れて受けた衝撃はそれ以上でした。「ひめゆり学徒隊」として犠牲になったのは、私たちと同年代の女子学生たちです。勉強もできずに働かされ、命を落とさなければならなかった。その事実に言葉を失いました。
また、住民が避難した「ガマ」と呼ばれる洞窟も見学し、そこでも多くの命が失われたことを学びました。今回の訪問を通じて、平和の尊さを改めて心から実感しています。
Sさん(高2)Sさん3日目に、世界大学ランキングでも上位に名を連ねる「シンガポール国立大学」の学生の皆さんと、英語でディスカッションをするプログラムに参加しました。そこで目の当たりにしたのは、皆さんの圧倒的な優秀さです。彼らと対話するなかで、英語が“世界の共通語”であることを肌で感じ、英語を学ぶ重要性を改めて痛感しました。
また、多民族国家であるマレーシアも訪問しました。ムスリムの方々が多く暮らすこの国では、服装や食習慣など、日本とは異なるライフスタイルが根付いています。例えばホームビジット先で食事をいただいた際は、箸やフォークを使わず、現地の習慣にならって右手で食事をしました。
これからの時代、日本にいても海外の方と一緒に働く機会はますます増えていくはずです。今回の経験を通じ、自分とは異なる文化を尊重し、理解しようとする姿勢の大切さに気づくことができました。
Nさん3日目に私が選んだのは、シンガポール国立大学に通う学生の皆さんに観光名所を案内してもらう「B&S(ブラザー&シスター)プログラム」です。このプログラムを通じて、異文化理解がいかに重要かを肌で感じることができました。特に印象に残っているのは、大学生とフードコートで食事をした時のことです。そこで、ムスリムの方が使える「ハラール」の食器と、そうでない「ハラーム」の食器を、明確に分けて返却しなければならないというルールを初めて知りました。「ムスリム」の人たちは、「ハラーム」のものに手で触れることさえ許されないのです。
シンガポールやマレーシアの人たちの暮らしを間近に見て、自分たちの価値観を大切にしながら、同時に相手の異なる価値観を受け入れる環境がしっかりと整っていることに気づきました。こうした姿勢こそが、私たちがグローバル社会で生きていくために必要不可欠なものだと強く実感しています。
Iさん僕は新幹線の運転士になる夢を叶えるため、鉄道業界の即戦力をめざす「運輸科」に入学しました。今回の「DISCOVERY JOURNEY」では、仲間と協力して一つの旅行を成功させるプロセスを経験しました。これは、将来のビジネスの現場でも不可欠な要素です。チームワークの大切さを改めて深く実感できたことは、僕にとって大きな収穫でした。この貴重な体験を、将来の仕事にも全力で活かしていきたいです。
Wさんこの旅行は高1の事前学習から始まり、高2のプレゼンテーションで幕を閉じます。約1年という長い時間をかけて一つのゴールをめざしたことで、普通の行事では得られないような深い達成感を味わうことができました。旅の最中も、バスの時刻を調べたり予算を管理したりと、自分の力で動く場面が多くありました。こうした経験の積み重ねが、今の自分の成長や自立心につながったと思っています。
Sさん実行委員として、300人もの同級生の前でプレゼンテーションを重ねたこと。そして、マレーシアの高校で日本を伝えたこと。これらのかけがえのない経験が、私の大きな自信になりました。校内では、就職準備に励む運輸科の生徒たちの発表からも刺激を受けています。彼らの“わかりやすく明確に伝える技術”を吸収するなかで、自分自身のプレゼン能力も着実に身についてきたと実感しています。
今後は、このスキルを武器に総合型選抜での大学入試に挑みたいと考えています。大学合格、そしてその先の学びでも、この“伝える力”を最大限に活かしていきたいです。
Nさん(高2)Nさんシンガポール国立大学の皆さんは、本当に温かく迎えてくれました。交流を通じて、英語を学ぶ大切さはもちろん、言葉を超えて心が通じ合う喜びを肌で感じることができました。帰国した今も、現地で出会った大学生のお姉さんたちとSNSで連絡を取り合っています。
これから入学を考えている皆さんも、ぜひ岩倉高校のシンガポールコースで、この感動を体験してほしいです!
「DISCOVERY JOURNEY」のしおり。表紙のデザインやイラストはNさんが手がけました。
沖縄コースの4日目は「選択制アクティビティ」。Iさんが選んだアクティビティは「伊江島サイクリング」でした。透明度の高い美しい海にIさんは感銘を受けたと振り返ります。
「『美ら海水族館』ではジンベイザメの大きさ、悠々と泳ぐ姿に感動しました。飼育員さんが与えるエサを、縦になって食べる姿は衝撃的です」(Wさん)
4日目にWさん(写真左)が選んだアクティビティは「ジップライン&バギー」。バギーとは悪路を走れる自動車。免許がなくても運転できます。
沖縄コースの最終日は、参加者全員で国際通りの散策を楽しみました。
マレーシアの伝統衣装を身に着けたNさん(写真右)。
シンガポール国立大学の学生に名所を案内してもらいました。写真左がNさん。背後にあるのはシンガポールのシンボル マーライオン像。
4日目は、シンガポール国立大学の学生と「ユニバーサル スタジオ シンガポール」へ。
シンガポールにある貯水ダム「マリーナ・バラージ」。その屋上庭園で記念撮影をしました。向こうには、シンガポールのランドマーク「マリーナベイ・サンズ」などの高層ビル群が建っています。
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