Profile
橋本勝衛 校長
1981(昭和56)年生まれ、福島県出身。國學院大學文学部史学科卒業。大学卒業後、塾・予備校勤務を経て、2010(平成22)年より潤徳学園にて勤務。
「北千住は今、大学のキャンパスが増え「学生の街」へと変貌しています。古き良き商店街の方々と、新しい世代である生徒たちが交流し地域を盛り上げていく。そうした活動のなかで、生徒たちは多様な世代の人とコミュニケーションを取る力を自ずと身につけていきます」(橋本校長)
1981(昭和56)年生まれ、福島県出身。國學院大學文学部史学科卒業。大学卒業後、塾・予備校勤務を経て、2010(平成22)年より潤徳学園にて勤務。
「北千住は今、大学のキャンパスが増え「学生の街」へと変貌しています。古き良き商店街の方々と、新しい世代である生徒たちが交流し地域を盛り上げていく。そうした活動のなかで、生徒たちは多様な世代の人とコミュニケーションを取る力を自ずと身につけていきます」(橋本校長)
本校は東京都足立区、北千住という活気ある街に位置し、2023年に創立100周年を迎えました。100年という歴史の重みを感じると同時に私が常に心に留めているのは、この学校が“地域の方々につくっていただいた学校”であるという事実です。1924(大正13)年、地元の有識者を中心とする千住町教育会が、「この地に女子教育の場を」という熱い思いで設立に尽力したのです。次の100年に向けて、私たちは地域に恩返しをしつつ、これからの社会で輝く自立した女性を育てていきたいと考えています。
本校の教育の根幹にあるのは、建学の精神「徳は身を潤す」に基づいた“三つの心”という生徒の実践目標です。「美しい愛の心」「たすけ合う心」「たえず向上する心」の三つは、日々の学校生活や行事のなかで具体的に実践していくものとして本学が大切にしてきたものです。
「美しい愛の心」は、少し抽象的に聞こえるかもしれませんが、私たちはこれを「地域貢献」という具体的な行動として捉えています。 例えば、荒川河川敷で行われる「足立フレンドリーハーフマラソン」では、多くの生徒がボランティアとして参加し、荷物の預かりやドリンクの配付など、ランナーが快適に走れるようサポートします。夏の北千住駅周辺のお祭りでは、地元の子どもたちと“おみこし”を担いだり、山車(だし)を引いたりして盛り上げます。千住神社に伝わる「神楽(かぐら)」の継承や、吹奏楽部の出張演奏まで、さまざまな生徒が地域で活動し、誰かのために動く喜びや、地域の方々と触れ合う大切さを肌で感じています。地域に愛され、支えられてきた本校だからこそ大切にしたい精神です。
「たすけ合う心」は、学校行事、特に文化祭などで発揮されます。本校は『うるおい祭』(文化祭)が年2回あり、1回目の6月はクラブ活動を中心に、2回目の9月はクラス中心の活動発表を行います。クラブ活動では先輩・後輩の縦のつながりを、クラスでは同級生との横のつながりを大切にし、互いに協力して一つのものを作り上げる経験をします。青春の1ページとして、仲間と助け合う心をここで磨いてほしいのです。
そして「たえず向上する心」。これは学習やクラブ活動において、常に高みをめざす姿勢を意味します。しかし、それは進学先を決めることだけにとどまりません。私が生徒や保護者の方にお伝えしたいのは、「10年後、20年後にどうなっていたいか」という長いスパンでの将来像を描いてほしいということです。その未来のために今、向上心をもって取り組む。それが潤徳の学びの姿勢です。
かつて本校には「商業科」や「福祉コース」がありましたが、時代の変化と共に進学をめざす「普通科」の高校へと大きく舵を切りました。現在は「進学コース」「特進コース」「美術コース」の3コース制を敷き、生徒一人ひとりの適性に合わせた教育を行っています。
「進学コース」は私立大学への現役合格をめざし、幅広い学習で自分の可能性を広げ、進路を決定するコースです。自分の適性を見極めながら、のびのびと高校生活を送り、推薦入試なども活用して希望の進路をつかみ取ります。そのために何より大切にしているのは、「多様な経験」と「自律」です。1年次よりキャリア講演会を開催し、社会で活躍する女性の話を聴く機会を設けています。また、ユニークな取り組みとして2年次の「生徒プロデュース研修」があります。これは校外学習の行き先や内容、予算などを生徒自身が企画するものです。「楽しければ何でもいい」のではありません。社会に出れば必ずルールがあります。ルールのなかで、いかに自分たちで楽しみを作り出し、周囲と合意形成をしていくか。そうした社会性を養ってほしいと考えています。
「特進コース」は国公立大学や難関私立大学への一般入試での合格をめざす、少人数制のコースです。1年次より志望大学を意識し、「なぜその大学で学びたいのか」をじっくりと考えていきます。私が「特進コース」の生徒に期待しているのは、「苦手なことでも、努力すれば成果が出る」という成功体験を積むことです。現代は「好きなことを伸ばせばいい」という風潮がありますが、社会に出れば誰しも課題に向き合わなければならない場面が多々あります。受験勉強という高いハードルに対し、逃げずに努力して結果を出す。その経験は、将来どのような道に進んでも必ず自信になります。少人数だからこそ選択科目も細分化して手厚く指導しますし、夏には学習合宿で集中して学習に取り組む環境を整えています。
「美術コース」は本校の大きな特色の一つです。美術大学への進学をめざす生徒はもちろんですが、「絵を描くのは好きだけれど、進路は普通の大学に行きたい」という生徒も大歓迎です。実際、約3割の生徒は文系の一般大学へ進学しています。2年次からは、「日本画」「油画」「デザイン」「彫刻」の4分野から選択し、専門の教員がていねいに指導します。講評会では作品に対して厳しい評価が下されることもありますが、そこで自分の実力や適性をリアルに知ることができるのも、このコースの特色です。
また、地域連携活動も盛んです。北千住の商店街に飾られる「地口行灯(じぐちあんどん)」の制作や、文具デザインコンクールへの参加など、自分の作品が社会とつながる喜びを実感できる機会をたくさん用意しています。2026年度からは希望制で「パリ研修」も導入し、本物のアートに触れる機会も提供していきます。
江戸時代に流行した言葉遊び「地口」を絵にして貼り付けた行灯は千住の伝統文化。これからの社会で活躍するためには、広い視野も必要です。本校では独自科目として「グローバル教養」を設置しており、そのなかの「イングリッシュアイランド」では、生徒一人ひとりがタブレット端末を使い、海外の講師とマンツーマンでオンライン英会話を行います。英語が苦手な生徒でも“話す”経験を積むことで、英検の二次試験や大学入試の面接に役立つ度胸とスキルが身につくのです。
「ユニバーサルフォレスト」ではSDGsをテーマに、ジェンダーや貧困問題などについて議論し、自分の意見を発表する力を養います。 ほかにもロータリークラブを通じた1年間の交換留学や、セブ島語学研修なども実施しています。海外からの留学生も受け入れており、校内にいながら異文化交流ができる環境も整えつつあります。
4年制大学への進学率は90%を超え、「特進コース」はほぼ100%の進学率です。「美術コース」においては、東京藝術大学をはじめとする美術大学への合格者を毎年輩出しており、一般大学への進学も安定しています。本校の進路指導の特徴は、その“面倒見の良さ”にあると自負しています。担任との面談はもちろん、年3回の三者面談、進路指導部の教員との面談など、とにかく生徒と話す機会を多く設けています。
そして私がこだわって実施しているのが、「校長面談」です。1年生から3年生まで毎年、全生徒と私が1対1で面談を行います。1年生の時は「通学は大変?」「家ではどのように過ごしている?」といった雑談から始めます。ペットの話で盛り上がることもありますよ(笑)。そうして信頼関係を築きながら、学年が上がるにつれて進路の悩みや学習状況について深く話を聞いていきます。 校長室というと敷居が高いかもしれませんが、生徒たちが気軽に夢や悩みを話せる、そんな距離感を大切にしたいのです。生徒の小さな変化に気づき、選択肢を広げてあげること。それが私たちの役割だと思っています。
かつての女子校は「良妻賢母」をめざした時代もありましたが、今は違います。結婚しても、しなくてもいい。企業で働いても、海外で働いても、パソコンひとつで在宅ワークをしてもいい。女性の生き方が多様化している今だからこそ、生徒には“自分の幸せ”を自分で選び取れる力を身につけてほしい。そのために、まずは大学進学という選択肢を確実に手に入れられるよう、全力でサポートしています。
本校の生徒たちは実にのびのびとしています。異性の目を気にせず、自分の意見をはっきりと言い、好きなアニメーションやゲームの話で盛り上がり、冗談を言って笑い合う。そんな“素の自分”を出せる場所がここにはあります。
中学校時代、自分を出せずに少し遠慮していたり、リーダーシップをとる機会がなかったりした人はいませんか? 本校では学校説明会のプレゼンテーションも、校舎案内も、全て生徒たちが主体となって行います。失敗してもかまいません。何度も経験するうちに、驚くほど堂々と話せるようになります。「潤徳に来てから性格が明るくなった」「娘が楽しそうに通っている」ー保護者の方からそんな言葉をいただくのが、私にとって最大の喜びです。
本校の教員は、生徒のやりたいことを否定せず、一緒に考えてバックアップしてくれる優しい教員ばかりです。「北千住」という変化し続ける街で、地域の方々にも温かく見守られながら、私たちと一緒に新しい自分を見つけましょう。勉強でも、クラブ活動でも、ボランティアでも、何かひとつ「これをやってみたい」という気持ちがあれば、全力で応援します。
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