2025年4月、武蔵野大学附属千代田高等学院から千代田高等学校に校名変更。それに伴い「研究コース」と「開発コース」を新たに設置。高2から選択できる「IBコース」とともに構成された“未来をつくる”3コース制にも注目が集まっている“新生・千代田”です。今回は同校が誇る3コースの中から、千代田高等学校がめざす「生徒が未来をつくる」学びの実践に取り組む「研究コース」のカリキュラムにフォーカスします。
2025年4月、武蔵野大学附属千代田高等学院から千代田高等学校に校名変更。それに伴い「研究コース」と「開発コース」を新たに設置。高2から選択できる「IBコース」とともに構成された“未来をつくる”3コース制にも注目が集まっている“新生・千代田”です。今回は同校が誇る3コースの中から、千代田高等学校がめざす「生徒が未来をつくる」学びの実践に取り組む「研究コース」のカリキュラムにフォーカスします。
講師の安井一成さん千代田の「研究コース」では通常の授業のほか、大学の研究室に所属するように、医師や研究者、起業家など、多様な分野のトップランナーが講師を務めるラボ(グループ)に所属して研究活動を行います。所属するラボは、入学当初にガイダンスを行い、見学を経て決定。活動は授業時間や放課後を使って行われています。「環境DNAラボ」「経営戦略ラボ」「共創AI・英語サイエンスラボ」「ものつくりラボ」など、2025年度のラボは12種類あります。今回紹介する「メディアラボ」もその一つです。
メディアラボの講師を務めるのは、テレビ局でアニメ『ヒーリングっど♥プリキュア』や「朝だ!生です旅サラダ」等をプロデュースしてきた(株)ABCアニメーション エグゼクティブプロデューサーの安井一成さんです。
「これまでテレビなどが蓄積してきた動画制作の技術やテクニックを、惜しみなく生徒たちに伝えるよう心がけています。技術が進化していくなかで、彼らなりの感性で受け止め、吸収してもらいたいと思っています」
安井さんは毎週、メディアラボの生徒たちと向き合うなかで、生徒一人ひとりの確かな成長を感じています。
「彼らは思っていた以上に発想が柔軟で、かつ才能にあふれています。こちらが驚くような“切り口”を見せてくれることが多々あります。その一方で、“自分の声を出すこと”にはまだ慎重さがあり、そこを越えるきっかけづくりが大切になると感じています」
生徒と接するなかで、自分自身も多くの刺激をもらっていると語る安井さんです。
「そんな生徒たちからの刺激をさらなるモチベーションに進化させて、とりわけメディアラボの核となる動画制作においては、単に技術だけでなく、“誰に”“何を”“どう伝えるか”を、常に考える姿勢を大事にしてもらっています。それは自分のアイデアを形にして、世に出す行動力につながります。そのような学び自体が、今後彼らが生きていくうえでの糧になると考えているからです」
外部のスペシャリストが講師を務めるラボですが、必ず千代田の教諭も運営に関わっています。メディアラボを担当しているのは、国語科の伊藤博之先生。
「例えば、現代社会は誰もが自分の意見をSNSなどの身近なメディアを通して自由に発信することができます。LINEのスタンプを押すことや、『おはよう』『ありがとう』といった日常の挨拶も、全てが“伝え方”であるという認識のもと、どう発信するのか、どういったものが効果的なのか、そうしたメディアにおける身近な疑問を、メディアラボを通して考えていきます」(伊藤先生)
そもそも「研究コース」の学びは0から1を生み出す、探究マインドを磨くためにあります。“0から1”というとなんだか難しそうですが、要するに“誰もやっていないことに触れる”ということでもあります。
「言葉にこだわるメディアラボでは、“0から1”を生み出す活動の一つとして、“学校のPRドラマ撮影”に取り組んでいます。指導者は現役のテレビマンをはじめ、プロデューサーや演出担当の方々です。ちなみに、ドラマのシナリオをつくるのも、キャストを演じるのも生徒たちです」(伊藤先生)
「メディアというツールを通じて、次世代における“想いの伝え方”や、人間的な成長について探究してほしい」と語る伊藤先生。
講師の安井さんの授業風景の一コマ
生徒たちが全面的に参加して作り上げた脚本。演劇の世界では通称「本」と呼ばれる大切なものです。
メディアラボの生徒たちは、今年度学校をPRするためのドラマ制作に挑んでいます。現在は学校を舞台にした学園もののオリジナル脚本を完成し、撮影を開始したところ。制作に関わる生徒の皆さんに話を聞きました。
メディアラボの存在が面白いと語るKさん(高1)
「映像というものに興味をもったのは、大阪万博のテーマソングに関連した企画へ、個人で参加したことがきっかけでした。プロのダンサーチームが考えた振り付けに基づき、ボランティアダンサーが自由に動画を撮って盛り上げるというものです。映像制作に参加する人も、それを鑑賞する人も、みんなが笑顔になる映像制作の世界へ、学校にいながら参加できるメディアラボはとても面白い存在だと思います」(高1・Kさん)
自身の成長ぶりを語ってくれたNさん(高1)
「学校説明会に参加した際、“0からストーリーを考える”というメディアラボの活動に魅力を感じました。自分たちで脚本をつくるところから始まり、それを実際に演者として表現し、最終的には映像作品として残すことができるなら、絶対に参加したいと思いました。これまでのメディアラボの活動を通して、今まではどこか消極的だった私自身の性格が、何ごとにも積極的に挑戦できるように変わっていきました」(高1・Nさん)
映画や動画の魅力を楽しく語るTさん(高1)
「もともと映画鑑賞が趣味で、特に裏方と呼ばれる撮影スタッフの仕事に興味があったのでメディアラボに入りました。最近はカメラマンや演出指導者の活躍に焦点を当てたYouTubeにもハマっています。そんな僕が千代田に入り、数あるラボの中からメディアラボを選んだのは必然でした。ストーリーを組み立てる苦労、演じる側の葛藤、さらには“見せる”ということに対するこだわりなど、多くのことを学んでいます」(高1・Tさん)
生徒たちの演出指導にあたる比佐一平さん。
取材した日、生徒たちが取り組んでいたのは、オリジナル脚本の1シーンを配役を変えて演じてみること。今後、ドラマを撮影するために必要な演技や演出について学んでいました。演出指導するのは、俳優・演出家・演技トレーナーとして活躍している特別講師の比佐一平さんです。
「メディアラボで出会った生徒の皆さんは皆、お芝居の経験はありません。ですが、経験していないからこそ経験することは何よりも大事です。各自が演じることを通して、脚本家の眼、監督の眼、カメラマンの眼、そして役者の眼といった多様な“眼”で取り組んでもらっています」
比佐さんの演技指導は終始、温かな激励で包まれています。「今の表情は良かったよ」「もうちょっと目線にこだわってもいいかもしれないね」などと、生徒一人ひとりと優しく、真剣に向き合う姿が印象的でした。
最後に、講師を務める安井さんに、メディアラボを通して学んでほしいことを伺いました。
「動画はあくまでも表現の手段です。手段の前に目的があり、制作した動画の先にあるコミュニケーションや、社会とのつながりを意識してほしいです。何もないところから生み出す世界を楽しみながら、自分たちの学校の良さをどんどんアピールしてほしいと思っています」
演じる経験は“0から1”を生み出す種となって、それぞれの未来へとつながっていきます。
監督として役者に演出ができるように、演技について学ぶために演じてみます。
小道具を使った演技の様子。「千代田」という学校をPRするために全力で取り組みます。
演じた後、自分たちの演技について、比佐さんとディスカッション。
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