2023年4月、木村健太先生が武蔵野大学千代田高等学院(※)の校長に着任しました。多方面から教育改革に携わってきた木村先生は、校長として新しい学校づくりをめざします。
※2025年度より『千代田高等学校』に校名変更予定
2023年4月、木村健太先生が武蔵野大学千代田高等学院(※)の校長に着任しました。多方面から教育改革に携わってきた木村先生は、校長として新しい学校づくりをめざします。
※2025年度より『千代田高等学校』に校名変更予定
千代田国際中学校・武蔵野大学附属千代田高等学院校長
東京大学先端科学技術研究センター客員上級研究員
広尾学園中学校・高等学校で医進・サイエンスコースを立ち上げ、学習者の主体性を軸とした研究的な学びを進めてきた。学外では、内閣府総合科学技術・イノベーション会議、経済産業省産業構造審議会、同省未来人材会議、同省未来の教室、科学技術振興機構次世代科学技術チャレンジプログラム等の委員を歴任。初等中等高等教育と社会の連続性を意識しながら学びの本質について多方面から追求している。2024年度より現職。
「本校の生徒たちは豊かな発想やアイデアにあふれ、何事にも一生懸命に取り組む純粋な心をもっています。私は、そんな生徒たちが主役となり、ワクワクするような時間を過ごせるクリエイティブな場を提供したいと考えています。
生徒たちは本当にたくさんの気づきを与えてくれます。生命の輝き……と言うとちょっとおおげさに聞こえるかもしれませんが、生きていることの意味を確認できるような感動を与えてくれるのが生徒たちです。
教員は「Doing」よりも「Being」。つまり、生徒の人生において大切な時期にそばにいられる存在として、教員自身のあり方そのものが重要な職業なのだと思っています。実際、生徒たちに教えるというよりも、生徒たちから学ばせてもらえることのほうが多いように感じます。私自身の生き方を教えてもらえているんです。私にとって生徒たちは、自分もみんなもしあわせになる未来を、ともに問い続け、考え続けるためのかけがえのない仲間なのです。
校長という立場になり、残念ながら授業を受けもっていないため、生徒と話す機会が減ってしまいましたが、登下校時などに校内を歩き回り、生徒と直接関わる機会をつくるようにしています。生徒の話を聞きたくてうずうずしています(笑)」
「私が教員になりたいと思い始めたのは、大学・大学院で生命科学を研究していた時です。その過程で、科学の進歩が日々飛躍的に進んでいること、そして、その最先端の研究成果が社会へ迅速に実装されていることを目の当たりにしました。しかしながら社会一般における認識の速度は遅く、正しい情報が広まらないまま感情的な議論が行われている現状があります。研究室の中だけでなく、誰もが正しい情報を手に入れ、冷静に判断する力を身につけることが重要だと感じています。
そのことを、高校生にも伝えたいと感じるようになりました。生命科学の専門知識を高校生に「教えたい」のではありません。進化し続ける最先端の研究について、生徒たちが自ら情報を手に入れ、信憑性を評価し、判断するための「学び方」を学ぶサポートをしたい。何よりも「学びたい」と思える機会を提供したいのです。
私は大学に入るまで勉強を面白いとなかなか思えませんでした。しかし、大学・大学院での研究は未解決の問題を解決し、新しい価値を生み出す取り組みが楽しく、必要な知識や技術を学ぶことも苦ではありませんでした。学ぶことを心から楽しいと感じたのです。そして『もっと早く、この楽しさを知りたかった!』と思いました。
学びには『楽しい』と思えることが重要です。しかし、高校時代の私はそのことに気づけませんでした。この気づきを高校生にも伝えたいという強い思いが強くなり、教員免許を取るために大学に入り直し、教職を志しました。」
「校長として学校経営に取り組むにあたり、企業に関わっていた経験は非常に役立っています。また、本校では研究者、起業家、ソーシャルイノベーターなどと数多く協働しています。その際、これらの方々と学校がWin-Winの関係になるようなしくみをつくる上でも、企業人としての経験が大いに活かされています。
前任校では、研究活動を通して楽しみながら学ぶ生徒を数多く見てきました。自分の興味を軸に高校生ならではの発想で素晴らしい研究テーマを立ち上げ、どんどん研究に没頭していきました。例えば『iPS細胞で再生医療の分野に貢献したい』と夢をもつ生徒は、生物が好きだという単純な興味から始まり、研究を深めていく過程で『山中伸弥先生が初めてiPS細胞を作製した時の論文を読みたい』という目標が生まれました。そこで査読の通った学術論文は英語で書かれているという事実に気づき、『英語を使いこなせるようになりたい』という強いエネルギーが湧いてきたのです。
このような生徒に触れるうち、全ての教科を万遍なくできるようにするために、苦手を克服しながら広く浅く掘っていくような学びだけでは勉強が嫌いになってしまうのではないかと感じるようになりました。狭くても良いから興味のある1つの分野を大学や研究機関と同等レベルまで深く掘り下げ、それを横に広げていく学び方もできるはずです。
そこで本校では生徒たちが研究を掘り下げる過程で、“学問の楽しさ”を最優先にした『研究活動』と『LAP(リベラルアーツプロジェクト)』を軸としたカリキュラムを導入します。
高校の新コースとして、研究活動を通して0から1を生み出す『研究コース』と、LAPを通して1から10を作る『開発コース』を設置し、高2・高3では『IBコース』も選択できる3コース制となります。これにより、海外・国内における本質的な進路選択ができるようにし、生徒一人ひとりの目標を実現できるようにしていきます。
研究活動やLAPでは、さまざまな分野における専門家とともに、多彩なプログラムを展開しています。そのような場を通じて、多様な視点から生徒の興味・関心を引き出し、それぞれの生徒の意欲に個別最適化できる体制を構築していきます。」
「本校は“楽しい”を大切にしながら“生徒が未来をつくる学校”です。未来をつくるためにはチームを組むことが重要です。ここで強調したいのは、ただの“グループ”ではなく、互いに補完し合う真の“チーム”ということです。それぞれの強みを活かし、苦手を仲間とサポートしあう。その過程で互いにリスペクトが生まれ、自分がチームに貢献できているという実感が得られる、そんなチームならきっと未来をつくっていける。だからこそ、本校には多様な生徒が集まってほしいと思います。
教員もチームであなたをサポートします。千代田高等学校は、研究者、起業家、ソーシャルイノベーターなどとも協働し、高校生のうちから、人類が未だ解決できていない問題を解決したり、世の中にまだ存在しない新しい価値をつくっていく学校です。受験生の皆さん、私たちと一緒に、楽しみながら自分もみんなも幸せになる未来をつくっていきましょう!」
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