大東学園高等学校が生徒に求めることはただ一つ、「なりたい自分」を見つけること。なりたい自分が明確にイメージできたその先に待っているのが、「行きたい大学」の存在です。“総合型選抜に強い”と言われる独自の進路指導について、進路指導主任と高1の担任を務める先生方に語っていただきました。
大東学園高等学校が生徒に求めることはただ一つ、「なりたい自分」を見つけること。なりたい自分が明確にイメージできたその先に待っているのが、「行きたい大学」の存在です。“総合型選抜に強い”と言われる独自の進路指導について、進路指導主任と高1の担任を務める先生方に語っていただきました。
小梢先生本校の進路指導の基本は、目の前の進学や就職だけでなく、もっとその先にある生徒一人ひとりの未来を考えていくものです。具体的には「高校卒業後の5年後、10年後に、自分はどうなっていたいか」ということを念頭に置いて進路選択をしていくという考え方です。
小梢先生そうです。本校は“人とのつながり”のなかで「学ぶ」ことを大切にしている学校です。大東学園には生徒会活動とともに、生徒・保護者・教職員でつくる『三者協議会』(三者協)があり、一人ひとりを成長させる場所として機能しています。そのような独自の学園環境のなかから、“「つながり」×「学ぶ」=「なりたい自分」”を見つけていくイメージです。
小梢先生進路指導は1年次から始まります。具体的には高1の『探究基礎』、高1から3年間かけて取り組む『探究総合』、そして2年次からスタートする4種類の『フィールド』という授業を通して、自分の意見をまとめ(文章化)、みんなで意見交換し、発表などを行っています。本校にはあらゆる場面で自分の意見を文章にまとめる機会があります。
小梢先生『探究』の授業をはじめ、『体育祭』や『大東祭』(文化祭)といった学校行事の終了後にも、自分の感想や意見を書いてもらっています。本当に楽しそうに長文を書く生徒もいれば、まるで興味がない生徒もいます。執筆内容は成績評価の対象ではありませんが、3年間かけて自分の考えを整理し、それを他者に伝え、さらに理解を深める実践的な活動を通して、大学合格への突破口とする生徒が多いのも本校の大きな特徴と言えます。
小梢先生圧倒的に「総合型選抜」が多いです。“大東学園は総合型選抜に強い”と言ってもいいと思います。
小梢先生そもそも総合型選抜では、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・協働性)」を多面的、総合的に評価していきます。これは本校が長年にわたり培ってきた“学びの基本”と重なる部分が大きいと捉えています。
小梢先生自分の考えをまとめ、それを発表する力や小論文を書く力のほか、興味・関心を自ら見つけ出し、探究する力を学びのなかで追求しています。グループワークやペアワークでのディスカッション、プレゼンテーションも大切にしています。こうした学びや教員によるていねいな進路指導が、各大学が実施する総合型選抜を勝ち抜く力のベースになっていると考えています。
小梢先生一言でいえば「素直」です。そして「まじめ」です。ただ、本校を受験する生徒のなかには中学時代、不登校だった生徒もいれば勉強面で満足な結果を出せなかった生徒もいます。だからといってそれは取り返しのつかない失敗ではなく、「なりたい自分」になるための“失敗という名の経験”として捉えてもらっています。
小梢先生そのとおりです。高校受験を機に、「休まずに学校へ行こう」「勉強に一生懸命取り組もう」という前向きな気持ちがある生徒なら、時に失敗することがあっても必ず周りの人たちが助けてくれます。
今春の大学進学者のなかで、偶然にも総合型選抜で第一志望校の合格を勝ち取った生徒たちも皆、そういうポジティブな思考をもっていました。そしてもう一つ、彼らに共通しているのは“人懐っこさ”でした。
小梢先生はい。担任や教科担当の教員だけでなく、クラスや部活動の仲間たちがお互いに励まし合って合格という名のゴールをめざすのです。そういった意味でも本校の大学受験は個人戦でなく、団体戦であるということができるのではないでしょうか。
牛坂先生は昨年度、高3の担任を務めていました。48%の生徒が4年制大学へと進学したなか、特に印象に残っている生徒の一人が、國學院大學法学部法律学科の現役合格を勝ち取ったA.Iくんでした。
「最初はおとなしく、まじめな印象だったA.Iくんでしたが、クラス担任として接するようになると、誰とでもコミュニケーションがとれて、学校行事にも積極的に取り組む明るい生徒でした」
「法学部です。ご両親が警察官ということもあり、もともと法律に興味があったようです。初めての進路面談は高3の5月に実施した3者面談で、1学期の終わりには受験校を絞り込み、実際に意中の大学を見に行き、夏休みの前半には志望校が確定しました」
「そうです。もともとは指定校推薦も考えていたのですが、やはり自分の学びたいものが学べる大学に行きたいということで、指定校推薦のない國學院大學をあえて受験校に決めました。
受験形態は総合型選抜です。“選べる大学”ではなく“行きたい大学”を選択したことがとても重要で、A.Iくん自身もそのこだわりを、後輩たちへのメッセージとして伝えてくれました」
「法学部の受験ということで、まずは日本における現行の法制度や社会的な課題などについて、自分の意見を文章化することに取り組みました。また、指定された本を読んで自分の意見を書くことも多かったですね。そうした課題の準備に追われていたのが、高3の7月終わりから8月にかけてのことです。
とはいっても受験は一人ではできません。『課題を見てください』とA.Iくんからリクエストされるたびに、私たち教員はそれに協力し、面接で聞かれるようなところはしっかりと絞り込みながら、さらに面接練習の機会も複数回設けて総合型選抜に向かいました」
「そうですね。小梢先生のお話にもあったように、本校の日常には“書く”という作業がたくさんあります。その力にはとても大きなものがあり、実際にA.Iくんも本校での“書く”という日々が大学合格につながった話を後輩たちにしてくれています。A.Iくんは受験のために塾や予備校へは通っていませんでしたから、私たちは大東学園が一丸となっての勝利と捉えています」
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