2025年7月19日(土)。夏休み初回の開催となる駒澤大学高等学校の学校見学会が行われました。当日は学校概要・入試要項の説明に加え、校内見学ツアーや個別相談も実施。最寄りの東急田園都市線「桜新町」駅や「用賀」駅から多くの受験生と保護者が足を運びました。
参加者は4グループに分かれて各会場へ。新館地下ホールで行われた井上誠二校長先生による説明会の模様をレポートします。
2025年7月19日(土)。夏休み初回の開催となる駒澤大学高等学校の学校見学会が行われました。当日は学校概要・入試要項の説明に加え、校内見学ツアーや個別相談も実施。最寄りの東急田園都市線「桜新町」駅や「用賀」駅から多くの受験生と保護者が足を運びました。
参加者は4グループに分かれて各会場へ。新館地下ホールで行われた井上誠二校長先生による説明会の模様をレポートします。
曹洞宗の精神を受け継ぐ駒澤大学高等学校は、禅の教えに基づく「信誠敬愛」「行学一如(ぎょうがくいちにょ)」を建学の理念に掲げています。説明会の冒頭、校長先生からこの理念について説明がありました。
「『信誠敬愛』の『信』は、教えを信じ、また自らを信じること。『誠』は、その信念に基づいて誠実に努めることを意味します。『敬』は、自分自身と他者の尊厳を明確に意識し尊重すること。『愛』は、慈愛の心を持って自己の学びを周囲へ 還元していくことです。『行学一如』とは、日常生活における全ての活動(行)と学業(学)は一体であるという意味です。日々の生活全てに真剣に取り組むことで、人間としての総合的な力、そしてこれからの時代を生き抜く力を身につけるのです」
この考えは、同校が大切にする“心の教育”にも通じています。校長先生はパンフレットの表紙にある禅語「啐啄同時(そったくどうじ)」(※)を紹介しながら、こう語りました。
「生徒の心に火がついた時、やる気が芽生えた時にそっと寄り添い、背中を押す。そんな教育をめざしています」
※禅の言葉で、鳥の雛が卵から孵化する際に内側から殻をつつく「啐(そつ)」と、親鳥が外側から殻をつつく「啄(たく)」が、ちょうど同じタイミングで起こることで雛が生まれる様子を表している。
続いて進路指導について説明がありました。2025年3月の卒業生の進学先は、駒澤大学への推薦67%に対し、他大学が29.4%。駒澤大学への推薦枠を保持しつ、年々、他大学への進学を希望する生徒が増えていると言います。
「サッカーだけに打ち込んでいたある生徒は、部活動が思うようにいかなくなったことをきっかけに、勉強にも力を入れるようになりました。最終的には部活動と勉強の両立によって総合型選抜で慶應義塾大学法学部に合格しました。まさに『行学一如』を体現した好例と言えます」
このように、生徒一人ひとりのチャレンジに応じたきめ細やかな進路指導が行われていることも、特長のひとつです。
学習面においては“教え合う文化”が根づいているのも印象的でした。午前7時から開く学習室に生徒たちが自主的に集まり、互いに教え合いながら学ぶ姿が見られると言います。
また、「林間学校」や「箱根巡見」「沖縄研修」「カナダ・オーストラリアへの海外研修」といった多彩な行事・プログラムも用意されています。こうした体験を通じて、他者との対話力や自己理解を深める「人間力」「自主性」が養われることが強調されました。
「仏教校である本校ならではの宗教教育は、日々の生活のなかに息づいています。例えば昼食時には、『五観の偈(ごかんのげ)』を唱えて食事への感謝の心を育み、『脚下照顧(きゃっかしょうこ)』の教えを通して足元を見つめ、自己を省みる姿勢を大切にしています。こうした教育の一環として、昼食はお弁当を持参していただく形をとっており、『保護者の皆様にはご負担をおかけしますが、ご理解とご協力をお願い致します』」との説明もありました。
さらに週1時間の仏教の授業、永平寺・總持寺での「本山拝登」体験、坐禅実習「臘八摂心(ろうはつせっしん)」や各種法要なども紹介。宗教教育が道徳的な枠に留まらず、生徒一人ひとりの内面に向き合う学びとして、ていねいに行われている様子が伝わってきます。
説明会の終わりに、校長先生から受験生に熱いメッセージが送られました。
「過去は変えられませんが、未来は自分の力で変えられます。受験は“どこの高校に受かったか”ではなく、“どこまでやり抜けたか”が大事。パンフレットの表紙にもある“たすき”のモチーフには、高校受験というたすきを受け取ったからには、最後まで走り抜いてほしいという願いを込めています」
11月には駒澤大学のキャンパス(駒沢公園近く)でも説明会が開催される予定。立派な校舎とともに、大学とのつながりや、より深い学びの場に触れるチャンスです。
「心の教育」について熱心に語る井上誠二校長先生
副校長・広報部部長の横山勇先生
駒澤大学高等学校は、仏教の教えを土台にしています。公立校にはない私立ならではの教育理念が根底にあるということを、まず知っていただきたいですね。施設をご覧いただくのはもちろんですが、例えば『坐禅体験』のように、他校にはない取り組みがあるのも特徴です。
駒澤大学の附属校であることも、本校の魅力の一つです。内部推薦という安心感を得ながら、『もっと上をめざしたい』という生徒の希望にも応えられる柔軟さを知っていただきたいですね。そして何より、まずは本校の生徒たちを見てください。生徒こそが私たちの自慢なのです。説明するよりも実際に生徒の姿を見ていただいたほうが、本校の雰囲気が伝わると思います。
入学後に「この学校、なんとなく合わないな」という違和感をもつことは危険です。「このくらいの内申だからこの学校」ではなく、最後まで諦めずにチャレンジしてほしいのです。もし内申が足りなかったとしても、一般入試で入ってくる生徒もたくさんいます。学校の雰囲気や校風に魅力を感じたなら、そこに挑戦してみる価値は十分にあると思います。最後まで挑戦することの大切さをお伝えたいと思います。
一般教室の紹介。普段の授業、文化祭でのクラス発表の様子などの紹介もありました。窓からは馬事公苑や東京農業大学が望めます。
本館屋上に配置された『坐禅堂』。静謐な「禅」の空間が広がります。
屋上からは人工芝のグラウンドや体育館、テニスコートなどの施設全体を一望できます。最寄りの用賀駅や桜新町の街並みも見渡せ、開放感あふれる眺望が印象的。
美術・家庭科など、各種実習室も見学。
学校見学会終了後の個別相談も大盛況。
この学校の掲載記事をピックアップしました。