亀田先生秋元さんは、中学生の頃から本校サッカー部の練習を見に来ていました。成績も優秀だったため、奨学生として本校に入学しましたね。
秋元さんはい。とにかくサッカーで全国大会に行きたくて、駒大高に入学しました。
亀田先生入学したのは2021年、本校サッカー部は毎年ではないけれど、2018年まで「全国高校サッカー選手権」に4回出場している状況でした。“全国大会に手が届く高校”として認識していた?
秋元さん2018年の選手権のことは、よく覚えています。当時は中1だったので、“東京都のリーグで1部にいる学校”という認識でした。私は神奈川県に住んでいるので、神奈川の高校もいくつか見学したのですが、そのなかで“文武両道が実現できる高校”として、駒大高を選びました。
亀田先生勉強ができることとサッカーが上手なことは、別ものと思うかもしれませんが、勉学との向き合い方と、サッカーへの取り組み姿勢は同様だと思います。本校は、その部分を大切にしている学校です。
全国大会出場と難関大学合格を成し遂げられるのは、勉強とサッカー双方の歯車がカチリと合った時。実際に勉強もサッカーも伸びていく部員が多いので、一人ひとりの特性を活かしながら伸ばしていくのが、本校のスタイルと言えます。
秋元さんが中学生の頃、別のコーチが練習を見に行って、「特徴のあるいいプレーをする」と報告を受けました。体格もいいし、これから成長する予感がしました。
秋元さん練習は厳しかったですね(笑)。でも、トップの1人が頑張るのではなく、チームとしてまとまった練習を作り上げていく部でした。
亀田先生サッカー部員は1学年70人くらいで、全体では200人を超えます。そのなかにはいろいろな役職があって、秋元さんはその役職を統括する立場でしたが、振り返ってどう思いますか?
秋元さん役職がたくさんあるので、いろいろなところに目を配る必要がありました。とにかく全体を見渡すのが大変でしたね。でも、キャプテンがしっかりしていたので、まとまっていたと思います。私と同学年のキャプテンは明るくて正義感もあって、全体をまとめる力を備えたリーダーでした。
亀田先生昨年のキャプテンは駒澤大学へ進学し、中学生にサッカーを教えています。自ら社会に出て、学びのフィールドを求める生徒が増えているように感じます。
本校は2年次より、駒澤大学への進学に特化した「進学コース」と、他大学受験に特化した「受験コース」に分かれますが、秋元さんが在籍していた「進学コース」から、他大学受験に挑戦する生徒も多くいます。秋元さんは総合型選抜で慶應義塾大学に進学しましたが、その理由は?
秋元さん1年生の時、3年生だった先輩が慶應義塾大学へ進んだので、自分も同じところをめざそうと思いました。総合型選抜入試が法学部とSFC(環境情報学部・総合政策学部)だったので、両方にチャレンジしました。
亀田先生神奈川県から通学して、サッカーもやって、帰宅時間は遅かったと思いますが、時間のやり繰りができていたから、両立が可能だったのでしょう。
秋元さん1年生の時から総合型選抜で受験すると決めていたので、児童養護施設のボランティアにも関わっていました。
亀田先生キャリア体験ですね。学校が「この施設を訪問しなさい」ということはないので、秋元さん自身が考えて起こした行動でしたね。
秋元さんはい。最初はとにかく児童養護施設がどんなところかを知るために、色々な施設に電話をしてみました。もちろん断られることもあったけれど、職員の人と話すところから始めました。
施設の子どもたちのなかには専門的なサポートが必要な子もいたので、職員の方々と話すなかで、働く環境や待遇面についての政策を考え、自治体に提言したこともあります。
亀田先生秋元さんのように、色々なことに取り組んで総合型選抜に挑戦する生徒がいますね。ほかにも高校時代にアフリカへ渡ってサッカーを経験したり、貧困問題を肌で感じる経験をしたりした部員もいました。
秋元さんその彼は今、立命館アジア太平洋大学に進学して、ゴミ問題に取り組んでいるようです。
亀田先生保育士をめざしていたサッカー部マネージャーは、実際に保育園へ行って職業体験をしていましたね。それも自分で保育園を探して行ったはずです。皆、自ら起こすアクションが身を結んでいます。
進路を決める際は、勉強と部活動の両輪が合わさって回っていくものだと思います。だからサッカーに集中しながらも成績は伸びていくし、自分をマネジメントする力も上がっていく。後輩たちは、そんな先輩たちの背中を見ているから「自分も同じように頑張ろう」という思いを強くするのでしょう。
秋元さん亀田先生は公民を担当されていたので、私が取り組んだ課外活動に関する知識をたくさん与えてくださいました。授業はディスカッションを中心に進んでいくので、色々な人の意見を聞くことができて、ためになりましたし、面白かったです。
亀田先生本当かな(笑)。でも、知識をインプットするだけでなく、得た知識を活用することを考えて授業を組み立てていました。それはサッカーも同じです。今はサッカーのプレーに関する動画がたくさんあるので、知識だけならいくらでも得ることができるけれど、それをどう自分のプレーに活用するかが大事ですね。