時代に応じて生き抜く柔軟な心と強い精神力をもち、幸福を追求し、人生を自ら切り開いていく聡明な女性の育成をめざし、新しい女性教育を実践している駒沢学園女子高等学校。「生き抜く力」「未来を切り開く力」を養う、同校ならではの探究型授業「ライフデザイン」と「Komajo Quest」について担当の先生からお話を伺いました。
時代に応じて生き抜く柔軟な心と強い精神力をもち、幸福を追求し、人生を自ら切り開いていく聡明な女性の育成をめざし、新しい女性教育を実践している駒沢学園女子高等学校。「生き抜く力」「未来を切り開く力」を養う、同校ならではの探究型授業「ライフデザイン」と「Komajo Quest」について担当の先生からお話を伺いました。
新村香先生(国語科)「ライフデザイン」と「Komajo Quest」は、2018年からスタートした同校独自の探究プログラム。生き方やキャリアにはさまざまな考え方や価値観があることを理解し、自分で人生を切り開く力を身につける「ライフデザイン」と、プロジェクト型学習(PBL)を通して将来を生きていくうえで必要な発信力と思考力を身につける「Komajo Quest」を、毎週土曜日1コマずつ展開しています。
ライフデザインでは「キャリアプラン」「ジェンダー」「マネープラン」「コミュニケーションスキル」「ウィメンズライフ」という5分野を設け、3ステップ(種をまく→芽を出す→これが私の生きる道)に沿って体験学習を重ねることで、10年先、20年先の将来像を思い描き、女性の視点から社会を見据え、自分の生き方を考えたうえで進路選択ができる生徒の育成をめざしています。体験学習の一例を、ライフデザイン担当の新村香先生に教えていただきました。
「例えば『マネープラン』では、将来どのタイミングでどれぐらいのお金がかかるのか、人生ゲームを楽しみながら計算します。『子どもが2人いるから学費はこれくらい必要、出費が多いけど幸福度はアップするよね』というように、実感を伴った将来へのお金に対する意識づけをねらいとしています。
『コミュニケーションスキル(アンガーマネージメント)』では、グループやペアでの実践を交えながらストレスマネジメントの方法や傾聴するスキル、アサーティブコミュニケーションなどを学びます。
『キャリアプラン』では、国内外で活躍する社会人と意見交換をする『社会人ワークショップ』や、働くということについて考えを深める『職業人インタビュー』など、外部の専門家や社会の第一線で活躍する方々からさまざまな知見を得て、将来について考える機会を多く設けています。
昨年の『ジェンダー』『ウィメンズライフ』では、トランスジェンダーの方に『性の多様性』をテーマにお話しいただき、助産師の先生の出張授業では、性にかかわる意思決定や行動選択、性的同意といった『自分の行動に責任をもつ重要性』『パートナーとの良好な関係の築き方』を学びました。生理についての正しい知識と悩みを共有する座談会も開催しています。いずれも生徒たちが主体的に考え、意見を共有し合う参加型であることを大切にしています」
そのほかにも「カラダを知ろう! 妊娠・出産編」「生き方を考える」といった講演会や、「自己PRをしよう」「コンビニスイーツを考えよう」など、5分野をバランスよく網羅した体験型授業を展開しているライフデザイン。「人生には就職、結婚、出産といった岐路があり、道を選ばなくてはいけないタイミングがやってきますが、そこに絶対的な正解はなく、人によって道はさまざま。その時々で自分が納得できる道を選ぶ力、人生を切り開く力の育成がこのカリキュラムのめざすところです」(新村先生)
渡部佳乃子先生(国語科)もう一つの探究型学習「Komajo Quest」は、さまざまなプロジェクト型学習を通して、答えのない問いに対して考えていく授業です。その考えを形にし、発信するというプロセスのなかで自分の興味・関心を明確にしながら、思考力、発信する力を養います。渡部佳乃子先生に数多あるプロジェクトのなかから代表的なものを紹介していただきました。
「高1の最初に行う『コマリオバトル』では、ポップを作って愛読書の魅力を皆に伝えてもらい、人前で話す、発信する力を育成します。どんな本を選ぶかによってその人の個性が明確になり、それは自分の興味・関心を自覚することにもつながりますし、新しい本に出会える大変貴重な機会ともなっています。
高2で実施する『My favorite Project』では、生徒が自分の興味・関心に沿ってテーマを設定し、探究を深め、スライドを作成して発表します。研究内容を成果物として大学の総合型選抜入試に活かすこともできますし、進路選択へとつながる興味・関心がより明確化する生徒も少なくありません。
高2もしくは高3で行う『Movie Project』では、専門家による指導のもと、生徒自身が監督、カメラマン、脚本などの役割を担い、学校のCM制作を行います。授業の最後に発表会を行うのですが、“駒女の魅力を紹介する”という一つのテーマに対する各チームの解釈はさまざまで、上映中は歓声あり爆笑ありの楽しいひとときになります。
今年度の優秀作品は学校説明会で上映する予定です。そのほか“より良い社会のためにこんな会社があったらいいな”をテーマに企業理念や事業内容を考えプレゼンテーションする『会社を作ろうプロジェクト』、企業から与えられた課題に対して企画を考える『企業インターンワーク』など、キャリア教育につながる取り組みも行っています」(渡部先生)
「ライフデザイン」と「Komajo Quest」を2本柱とする独自の探究学習を始めて7年。生徒の変化、成長を両先生は次のように語ります。
「発表の機会が非常に多いので、人前で話す技術が格段に上達し、伝える力、発信力が向上していると感じます。『Komajo Quest』での経験は、自己PRエッセーやプレゼンテーションが必要な総合型選抜や推薦型選抜に活かすことができるので、外部の大学に挑戦する生徒が増えている印象です」(渡部先生)
「併設大学には経済学や社会学を学べる学部がないという理由もありますが、外部大学に挑戦する生徒が増えているということは、探究学習によって生徒たちの興味・関心が幅広い分野にまで広がっているということだと思います。『ライフデザイン』でジェンダーについて学んだことで興味をもち、女性学が学べる大学に進学した生徒もいますし、『My favorite Project』で『月齢に合ったおもちゃは何か』をテーマに研究を深め、幼児教育の道に進んだ生徒もいます。また、企業インターンをきっかけに進路の方向性が定まった生徒もいます。探究学習で興味・関心が明確になり、進路選択へとつながっている手応えを感じています。
以前は国語の授業で行っていてなかなか盛り上がらなかったディベートが、探究学習を実施してからは論理的かつ活発なやり取りで盛り上がるようになるのです。探究学習で培った幅広い視点、発信力、表現力の賜物だと思います」(新村先生)
各教科の担当教員が連携し、時代に合わせてブラッシュアップしながら進化を続ける「ライフデザイン」と「Komajo Quest」。今後の展望を両先生は次のように語ります。
「両プログラムの連携をより深め、協働できる部分は横断的に行い、効果を高めていきたいです。また動画や論文、発表資料など探究学習での成果物を大学入試でさらに活用できるようレベルを上げていきたいですね」(渡部先生)
「ジェンダーやウィメンズライフでは男性の視点も取り入れて、本校の男性教員が男性の育休について経験談を語ったりしています。今後は男子校とコラボレーションしたりするのも面白いと考えています」(新村先生)
「コマリオバトル」では高1生全員が愛読書のポップを作成し、本の魅力をクラスメートの前で伝えます。言葉・文字・イラストなどさまざまな方法を用いて発信力を養います。
ポップの優秀作品は稲城市図書館に飾られ、市民の方からも好評を得たそうです。
「ライフデザイン」で行った、コンビニスイーツの商品開発。前半は今売れている商品の特徴について考え、後半は自分たちで売れるコンビニスイーツを開発。ポスター発表を行いました。
●ライフデザインカリキュラム(学校HPより)
●Komajo Questの起業企画案のプレゼン(学校HPより)この学校の掲載記事をピックアップしました。