学校でも自宅でも、今や高校生として欠かせないアイテムとなっているICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)。ICT機器の導入から5年目を迎えた花咲徳栄高等学校のICT教育の“今”を、先生方に語っていただきました。
学校でも自宅でも、今や高校生として欠かせないアイテムとなっているICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)。ICT機器の導入から5年目を迎えた花咲徳栄高等学校のICT教育の“今”を、先生方に語っていただきました。
「ICT教育」とは、デジタルやITテクノロジーを学校教育に導入することで、双方のメリットを最大限に引き出す21世紀型の教育方法のことです。花咲徳栄高等学校の各教室には、最新の電子黒板やプロジェクターが標準装備されており、生徒はタブレット端末(iPad)を介して、アナログとは一味違うワンランク上のICT教育を受けています。
情報教育主任であり、吹奏楽部のコーチとしてもiPadを活用している関山達之先生は、同校におけるICT教育の現状について次のように話します。
「本校が一人1台のiPadを導入してからすでに5年目に入りました。頭がやわらかい生徒たちは皆、iPadをはじめとする各種ICT機器を完全に使いこなしていますし、私たち教員も知的好奇心に満ちた生徒たちの期待に応えようと、ICT関連の各種研修会などを通して、より質の高いICT教育のさらなる定着に努めています」
運動部を中心に、部活動加入率が高いことでも知られている花咲徳栄高等学校の生徒たちは、誰もがiPadをカバンに入れて登校しています。数学科教諭として日々、文武両道の高校生活を楽しむ生徒たちと接している白土典嵩先生は、ICTがいつも身近にある日常を次のように解説します。
「2024年度は全教員のiPadにも、学校のICT化を多角的にサポートできる教育プラットフォーム『Classi』(クラッシー)を導入しました。これにより多種多様な学習コンテンツとその理解状況を確認するツールの活用が容易になり、例えば、Webテスト(CBT)で単元の定着度を常時測定することが可能になったほか、学習動画とそれに対応する配信用の問題を提供することにより、さらなる実力向上と弱点克服の精度が上がってきています。また、教科によってはデジタル採点ができるようになり、一部の教員の間では、答案の返却も紙ではなくデジタル上で行われるようになるなど効率化も図られています」
先生方が生徒一人ひとりの学習進捗状況を共有することで、大学進学からその先の未来へ向けた進路サポートの質も向上しているのです。
授業の特色のひとつに、iPadをフル活用した協働学習(グループ学習)など、アクティブラーニング型の“主体的×対話的な深い学び”を展開している点が挙げられます。その効果について、地理歴史・公民科の阿部眞美先生は次のように解説します。
「例えば、私が担当する『世界史探究』や『歴史総合』の授業では、リアルタイム授業支援アプリの『MetaMoji ClassRoom』(以下、メタモジ)をフル活用しています。そのメリットのひとつが、グループワークにおける意見交換のしやすさです。友人の意見を画面上で確認しながら、それに対して自分の意見を自由に書き込むことができるので、授業内での意見交換やアイデアを出し合うことが活発になります」
阿部先生の授業では、小テストはデジタルでなく“紙”で実施するのが基本です。その理由について伺うと、「生徒のアンケートの回答では紙の小テストのほうが良かった、やる気が出るなどが多く挙げられていたのが印象的でした」(阿部先生)。
大学入試はまだアナログが主流なだけに、来たるべき“入試本番”に備えた日常的なトレーニングがここにありました。
ICT機器の活用は授業だけに留まりません。各先生方が受け持つクラスでは、指導と学習の一元管理ツール『Google Classroom』(以下、クラスルーム)を用いた多様な取り組みも定着し始めています。
「例えば、クラスルームを長期休業中の『PDCA(※)手帳』のチェック用に活用している教員もいます。また、私が担当する吹奏楽部の生徒たちもそうですが、勉強と部活動の両立に向けたスケジュール管理にも役立てています。YouTubeの閲覧など一部に制限をかける場合もありますが、“ChatGPTは使えるようにしてほしい”という生徒たちのリクエストを受けて解禁したケースもあります。これからも生徒の要望や教員間の意見交換を踏まえて、本校らしい有意義なICT教育の充実に努めていきたいと思っています」(関山先生)
生徒たちにも、先生方にも、誰にとっても必要不可欠なICT教育の醍醐味がここにありました。
※PDCA:「Plan(計画)」「Do(実行)「Check(調査)」「Action(改善)」の頭文字をとったもので、絶え間ない改善を追求するためのサイクルを示す管理手法
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