たとえて言うなら「急がば回れ」。今春、早稲田大学に合格した小幡夏希さんの“学び方”は、まさに本質を究めるための究極の“遠回り”でした。そんな教え子の想いを未来につなぐべく、一心にサポートした教員の1人が進路指導科の大橋正明先生でした。教え子と恩師の2人が、埼玉栄高等学校での学びの一場面を語ります。
たとえて言うなら「急がば回れ」。今春、早稲田大学に合格した小幡夏希さんの“学び方”は、まさに本質を究めるための究極の“遠回り”でした。そんな教え子の想いを未来につなぐべく、一心にサポートした教員の1人が進路指導科の大橋正明先生でした。教え子と恩師の2人が、埼玉栄高等学校での学びの一場面を語ります。
今春、早稲田大学教育学部教育学科に合格した小幡夏希さん
部活動は3年間、マンドリンギター部でした。私たちの代から活動が盛んになり、大会にも精力的に出るようになりました。放課後2時間くらいの練習を週3~4回続けていましたが、顧問の先生のモットーが、“勉強と部活動の両立”だったこともあり、最難関大学の現役合格をめざす「αコース」でも部活動を思いっきり楽しむことができました。
休み時間はみんなでおしゃべりして過ごしていますが、例えば誰かが勉強していても、じゃまはしないというか、そういう生徒がたくさんいるので、「自分も頑張らないと」と刺激をもらえるクラスでした。
埼玉栄の特徴でもあると思いますが、「αコース」にも全国レベルで活躍する運動部の生徒がいて、勉強との両立に頑張っている姿も日常的にありました。そういう意味でも刺激をもらいながら成長できた、とても良いクラスだったと思います。
もともと子どもたちと触れ合うことが好きで、“不登校”や“引きこもり”など、悩みを抱えている子どもたちに対する教育に興味がありました。実は、私自身も小学5・6年生の頃、不登校を経験しています。
私の弟も学校へ行くことができなかった時期があり、そういう“苦しみ”を理解できる支援者になりたいと考えていました。ちなみに私の場合、国立大学1校と私立大学5校全てに合格することができ、選んだ学部・学科は私が思い描くキャリアデザインにつながるものばかりです。
当初は国立のお茶の水女子大学が第一志望でしたので、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)での受験が前提でした。私立大は共通テストだけで受けた大学、共通テストと一般選抜を併用した大学、最終的に進路先に選んだ早稲田大学だけは一般選抜で受験しました。お茶の水女子大学は共通テストの後、国語と英語の二次試験があったので、進路指導科長の大橋先生に英語を見ていただきました。
塾や予備校へは通っていません。勉強は“全て自分でやる”という感じでした。とにかく中学時代から徹底した暗記力の定着に努め、高1からは、その日に学んだことはその日のうちに理解することを心がけていました。
特に歴史の年代や出来事、理科や数学の公式を暗記する際は、“テスト前だから”という理由で単に詰め込むのではなく、テストがあってもなくても毎日きちんと覚えていって、短期記憶にならないように、記憶をしっかりと定着させるように努めました。そのおかげで高3になった頃には復習に時間を割くことがほとんどなく、実践的な受験勉強に効率よく取り組むことができました。
私はわりと自宅で勉強に集中するタイプです。通学時間が長いこともありますが、土・日を含め、いつも自宅で勉強していました。
進路指導科の大橋先生は、いつもたくさん褒めてくださいました。国立だけでなく私立でも共通テストを利用するので、そのプレッシャーに負けそうでした。二次試験ではさらに緊張したので、入試直前まで大橋先生が褒めてくださったことは、大きな自信につながりました。
部活動が盛んなところが魅力だと思います。その一方、生徒によって最適な学び方ができる“コース制”を敷いているので、勉強と部活動の両立がしっかりできる環境が整っています。
進路指導科(科長)の大橋正明先生
担任として接したことはありませんが、はじめは英語検定の一次対策で英語の指導に関わらせてもらいました。これから大学受験をする生徒一人ひとりにとって、最も参考になるといっても過言ではないほど優秀な生徒でした。
受験勉強ではよく、「基礎力の上に応用」といわれますが、実際は「基礎の完成が応用になる」と、私は授業を通して生徒たちに伝えています。小幡さんの勉強の仕方は、例えていうなら“勉強レンガ職人”と表現できるもので、基礎の“積み上げ”(=基礎の完成)が完璧にできた人は、そういるものではありません。
「高3になってスムーズに受験勉強に入ることができた」と小幡さんが確信をもって言えるのは、まさに土台となる基礎のパーツが全てそろっていたからでしょう。基礎がしっかりした建物は、ちょっとやそっとでは倒れません。小幡さんはまさに基礎の積み上げに徹した“勉強レンガ職人”なのです。
そのとおりです。ちなみに小幡さんの文字は実に小さいです。よく見ると、解答用紙に正解は書いてありますが、そのほか解答に対する疑問点や自分なりの考察などが細かく記入されているのです。簡単に言うと、“完成された質問のできる人”が小幡さんなのです。私も負けじと小さな文字で添削して返していましたが、まさに自己アセスメント力のある受験生が小幡さんでした。
なかなかいません。例えば世の中には、「2-6-2の法則」がありますが、6割の生徒は正解を書くことができます。2割の生徒はどこかに理解不足があり正解が出せません。もう一方の2割の生徒は、「合っていると思うけどこれが正解かどうかわからない」と記します。最難関私立大学レベルが求める学力には、実はそういった“正解”に対する客観的な捉え方がポイントになるのです。そうした意味においても、小幡さんのように“正解”に対して徹底的に踏み込んで考える生徒を、私は今まで見たことがありません。「全ての芸術は模倣から始まる」と言われますが、受験生の皆さんには、中学時代は徹底して暗記に努め、高校受験に挑戦してほしいと思います。
埼玉栄高等学校の普通科には現在、3つのコースがあります。①国公立大学、早慶上理及び医学部などの難関大学をめざす「αコース」。②GMARCHや国公立大学への現役合格をめざす「Sコース」。③日東駒専および芸術系への現役合格をめざす「特進コース」です。
「コース分けを明確にしたことにより、本校の現役合格率は8割を超えており、そのうち7割の生徒が第一志望の大学に合格しています」(大橋先生)
どのコースも大好きな部活動をやりながら、勉強にも効率よく臨めるカリキュラムが整っています。これが文武両道をモットーとする埼玉栄高等学校の魅力です。
「2026年度より、αコースのさらに上の位置づけとして、『α選抜コース』を設定します。特待生(同校では『学力奨学生』と呼ぶ)のみで構成するクラスで、東京大学を含む国内外の最高学府の現役合格をめざします」
「α選抜コース」の設定に際し、埼玉栄高等学校では3つのポイントを明確にし、担当教員を選定しました。①授業評価アンケートで最上位にいる教員が専任で指導。②各教科から推薦された教員による教科指導。③教務主幹と呼ばれる管理職が推薦した教員による学習指導です。
「上記の①・②・③が“集合の輪”となるイメージです。10名程度の少数精鋭のクラスには担任団を置き、正担任の上に“α統括”と呼ばれる教員が年間を通して進路指導のアドバイザーとして加わります。
さらに、HR担当として本校のネイティブ教員が加わり、年間を通して生の英語に触れる環境を整え、埼玉栄らしく勉強と部活動の両立を奨励します。興味のある方はぜひ、本校のHPで確認してください。「αコース説明会」では、小幡さんのお話をしようと思っています」
小幡さん(左)と大橋先生。医学部 7名/歯学部 5名/薬学部 25名/看護 54名/体育系大学35名/芸術系大学 32名
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